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2年生2学期
12月22日(木)曇り 前進する清水夢愛その5
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どんより天気が続く木曜日。
通常の授業は今日が最後であり、それぞれの授業でそれなりに冬休み中の宿題が出される。
僕としては宿題を早めに終わらせて読書や作品作りをしたいので、今日のうちから手を付け始めようと思う。
そんな授業が終わった後の放課後。
自転車に跨って校門を出ようしていると、この場所では久しぶりな姿が見える。
「おお、良助。今帰りか?」
清水先輩は驚いていたので、どうやら待っていたわけではないらしい。
最近は偶然会うことも少なくなったから、何だか懐かしさを覚える。
「ちょうど良かった。少し散歩をしたい気分だから付き合ってくれないか?」
「さ、散歩ですか」
「ああ。何か用事があるなら無理は言わないが」
清水先輩はそう言ってくれるけど、僕が微妙な反応になったのは用事があるからではない。
けれども、それを意識する方が馬鹿らしいと思って、僕は「大丈夫です」と言いながら自転車から降りた。
それから清水先輩と一緒に僕の家がある方角に向かって歩き始める。
その間に清水先輩は近況を話してくれた。
基本は勉強ばかりだけど、たまに息抜きで桜庭先輩と遊んだり、茶道部に顔を見せたりしていること。
両親と食事をする機会が増えたこと。
ここ最近のマイブームは、作る予定のない工作動画を見ること。
最後はどうリアクションすべきか難しかったえど、わりと充実した日々を送れているようだった。
「それと、今年のクリスマスは家族でディナーを食べに行けることになったんだ」
「へー……ディナーって言うからにはお高いヤツだったり……?」
「そうかもしれない。私は自宅でも十分だったんだが……まぁ、私のために張り切ってくれたと思えば悪くない気分だ」
「それなら良かったです」
「良助もクリスマスは家族で過ごすのか?」
「一応、晩ご飯はそうなる予定ですけど……それ以外は出かける予定です」
「そうなのか。当日は雪が降るかもしれないから、温かくしておいた方がいいぞ」
清水先輩はそう言いながらどこか楽しそうな雰囲気だった。
悪くないとは言っていたけど、恐らく家族と過ごせるクリスマスが普通に楽しみなんだと思う。
当日の天気や気温を覚えてくるくらいには。
「……よし、久しぶりに雑談できて楽しかったよ。付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ。少し早いですけど、ハッピークリスマスとよいお年を」
「あっ、そうなるのか。それじゃあ……また来年」
手を振りながら来た道を戻って行く清水先輩が見えなくなるまで見送ると、僕は再び自転車に跨った。
顔を合わせる機会が少なくなっても清水先輩が良く思ってくれているのが今日の会話からも伝わってきた。
来年を迎えると色々大変だろうけど、僕も陰ながら応援させて貰おうと思った。
通常の授業は今日が最後であり、それぞれの授業でそれなりに冬休み中の宿題が出される。
僕としては宿題を早めに終わらせて読書や作品作りをしたいので、今日のうちから手を付け始めようと思う。
そんな授業が終わった後の放課後。
自転車に跨って校門を出ようしていると、この場所では久しぶりな姿が見える。
「おお、良助。今帰りか?」
清水先輩は驚いていたので、どうやら待っていたわけではないらしい。
最近は偶然会うことも少なくなったから、何だか懐かしさを覚える。
「ちょうど良かった。少し散歩をしたい気分だから付き合ってくれないか?」
「さ、散歩ですか」
「ああ。何か用事があるなら無理は言わないが」
清水先輩はそう言ってくれるけど、僕が微妙な反応になったのは用事があるからではない。
けれども、それを意識する方が馬鹿らしいと思って、僕は「大丈夫です」と言いながら自転車から降りた。
それから清水先輩と一緒に僕の家がある方角に向かって歩き始める。
その間に清水先輩は近況を話してくれた。
基本は勉強ばかりだけど、たまに息抜きで桜庭先輩と遊んだり、茶道部に顔を見せたりしていること。
両親と食事をする機会が増えたこと。
ここ最近のマイブームは、作る予定のない工作動画を見ること。
最後はどうリアクションすべきか難しかったえど、わりと充実した日々を送れているようだった。
「それと、今年のクリスマスは家族でディナーを食べに行けることになったんだ」
「へー……ディナーって言うからにはお高いヤツだったり……?」
「そうかもしれない。私は自宅でも十分だったんだが……まぁ、私のために張り切ってくれたと思えば悪くない気分だ」
「それなら良かったです」
「良助もクリスマスは家族で過ごすのか?」
「一応、晩ご飯はそうなる予定ですけど……それ以外は出かける予定です」
「そうなのか。当日は雪が降るかもしれないから、温かくしておいた方がいいぞ」
清水先輩はそう言いながらどこか楽しそうな雰囲気だった。
悪くないとは言っていたけど、恐らく家族と過ごせるクリスマスが普通に楽しみなんだと思う。
当日の天気や気温を覚えてくるくらいには。
「……よし、久しぶりに雑談できて楽しかったよ。付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ。少し早いですけど、ハッピークリスマスとよいお年を」
「あっ、そうなるのか。それじゃあ……また来年」
手を振りながら来た道を戻って行く清水先輩が見えなくなるまで見送ると、僕は再び自転車に跨った。
顔を合わせる機会が少なくなっても清水先輩が良く思ってくれているのが今日の会話からも伝わってきた。
来年を迎えると色々大変だろうけど、僕も陰ながら応援させて貰おうと思った。
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