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2年生2学期
12月16日(金)曇り時々雪 松永浩太との歓談その11
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期末テスト最終日の金曜日。
テストは我ながら上々の出来だと思っているので、ひとまず明日から2日間は安心しながらゆっくり休めそうだ。
昨日は追い詰められていた大倉くんも今日はアーカイブ配信を楽しめることだろう。
そして、テスト終わりで特に用事がなかった僕が帰宅しようとすると、松永も部活が無かったので一緒に帰ることになった。
「いやぁ、今回も何とか乗り切れた~」
松永は呑気にそんなことを言っている中、僕は月曜に聞いたクリスマスプレゼントで欲しい物のことを思い出していた。
あれが本当の話かどうか確認したいところだけど、聞いてしまうとせっかくここまで色んな人に協力して貰ったサプライズが台無しになる可能性がある。
伊月さんには一応伝えているけど、最後の足掻きとして僕からも決定打が引き出せないだろうか。
「そういえば、りょーちゃんは今年のクリスマスなんか予定あんの?」
「えっ。特にないけど……」
「悲しいこと言わないでよ」
「別に悲しくはないだろう。例年通り家でクリスマスだよ」
「あれ? 明莉ちゃんは何もないの?」
「いや、晩ご飯以外は出かけるって言ってた」
「ほ~ん。やっぱりそうなりますかぁ。すっかりお兄ちゃん離れしちゃいましたな」
「離れてるわけじゃないだろ。それとこれとは話が別だ」
「そうかなー……って、そんな怖い顔しないで」
松永が指摘されて、僕は自分の頬を触って確認する。
怒っているつもりはないけど……いや、プレゼントの件で松永に翻弄されているイライラは積もっていたかもしれない。
「そういえばさ。最近、岸本さんが連絡してくれるんだけど、そのことでなんか聞いてる?」
「……聞いてないけど」
「そうなの? 本当に?」
「なんだよ。僕が関わる話なのか?」
「いやその……悪い。今の聞かなかったことにしといて」
松永は急にバツが悪そうな顔で言う。
それは恐らく欲しい物を聞き出す流れの会話なので、松永から話を切ってくれたのはありがたい。
でも、松永の聞き方から何かを探ろうとしていたのが気になる。
もちろん、人のことを言える立場ではないけど。
「わかった。お兄ちゃん離れの話から忘れとく」
「どうぞ、忘れる範囲はご自由に」
「じゃあ、話を戻して松永のクリスマスの予定は?」
「もちろん、茉奈ちゃんとデート。詳しい予定も聞きたい?」
「そこまで野暮なことはしないよ。ただ……」
「ただ?」
「……やっぱ何でもない」
「なんか今日は会話が噛み合わないな……これがテスト疲れってやつ?」
「そうじゃないとは思うけど……そういうことにしとくか」
悪いことをしているわけじゃないけど、やっぱり隠し事をしながら話すのはむずむずしてしまう。
松永がプレゼントを貰った後はサプライズのことを話して、今日の松永が言いたかったことをもう一度聞いてみようと思った。
テストは我ながら上々の出来だと思っているので、ひとまず明日から2日間は安心しながらゆっくり休めそうだ。
昨日は追い詰められていた大倉くんも今日はアーカイブ配信を楽しめることだろう。
そして、テスト終わりで特に用事がなかった僕が帰宅しようとすると、松永も部活が無かったので一緒に帰ることになった。
「いやぁ、今回も何とか乗り切れた~」
松永は呑気にそんなことを言っている中、僕は月曜に聞いたクリスマスプレゼントで欲しい物のことを思い出していた。
あれが本当の話かどうか確認したいところだけど、聞いてしまうとせっかくここまで色んな人に協力して貰ったサプライズが台無しになる可能性がある。
伊月さんには一応伝えているけど、最後の足掻きとして僕からも決定打が引き出せないだろうか。
「そういえば、りょーちゃんは今年のクリスマスなんか予定あんの?」
「えっ。特にないけど……」
「悲しいこと言わないでよ」
「別に悲しくはないだろう。例年通り家でクリスマスだよ」
「あれ? 明莉ちゃんは何もないの?」
「いや、晩ご飯以外は出かけるって言ってた」
「ほ~ん。やっぱりそうなりますかぁ。すっかりお兄ちゃん離れしちゃいましたな」
「離れてるわけじゃないだろ。それとこれとは話が別だ」
「そうかなー……って、そんな怖い顔しないで」
松永が指摘されて、僕は自分の頬を触って確認する。
怒っているつもりはないけど……いや、プレゼントの件で松永に翻弄されているイライラは積もっていたかもしれない。
「そういえばさ。最近、岸本さんが連絡してくれるんだけど、そのことでなんか聞いてる?」
「……聞いてないけど」
「そうなの? 本当に?」
「なんだよ。僕が関わる話なのか?」
「いやその……悪い。今の聞かなかったことにしといて」
松永は急にバツが悪そうな顔で言う。
それは恐らく欲しい物を聞き出す流れの会話なので、松永から話を切ってくれたのはありがたい。
でも、松永の聞き方から何かを探ろうとしていたのが気になる。
もちろん、人のことを言える立場ではないけど。
「わかった。お兄ちゃん離れの話から忘れとく」
「どうぞ、忘れる範囲はご自由に」
「じゃあ、話を戻して松永のクリスマスの予定は?」
「もちろん、茉奈ちゃんとデート。詳しい予定も聞きたい?」
「そこまで野暮なことはしないよ。ただ……」
「ただ?」
「……やっぱ何でもない」
「なんか今日は会話が噛み合わないな……これがテスト疲れってやつ?」
「そうじゃないとは思うけど……そういうことにしとくか」
悪いことをしているわけじゃないけど、やっぱり隠し事をしながら話すのはむずむずしてしまう。
松永がプレゼントを貰った後はサプライズのことを話して、今日の松永が言いたかったことをもう一度聞いてみようと思った。
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