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2年生2学期
10月12日(月)晴れ 隣接する岸本路子その12
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期末テスト開始の月曜日。
今週はずっとテストになるので、学校の滞在時間は短いけど、気合を入れなければいけない。
そんな中、今日のテストが終わった後に、路ちゃんがテストで席が近くなっている僕と大山さんに声をかけてきた。
「2人ともちょっといい? 実は松永くんの件で進展があった……というか、たぶん欲しい物がわかったのだけれど……」
「えっ、マジ!? 凄いじゃん、ミチ!」
路ちゃんのお手柄に大山さんは喜びの反応を見せる。
一方の僕はちょっと申し訳ない気持ちになっていた。
「ごめん、路ちゃん。テスト直前までこんなことさせて。テスト中は聞かなくても良かったのに」
「ううん。休憩中とかに聞いてたからそんなに苦労してないから大丈夫。あっ、でも……松永くんからの返信は凄く早かったけれど」
「あいつ……」
「こら、うぶクン。申し訳なくなる前に言う事があるでしょ」
「そ、そうだった。ありがとう、路ちゃん」
「ま、待って。一応、聞いてもらってからじゃないと、本当に感謝されるべきかわからないから……」
路ちゃんは含みがある感じの言い方をする。
まさか松永は路ちゃんの前でも愛みたいな抽象的なことを言ったのか。
それとも……冗談交じりに写真集とか言ってしまったのか。
「い、色々話の流れはあったのだけれど、そこは省くとして……松永くんがクリスマスプレゼントとして欲しいのは……マフラーや手袋って言ってた」
「へ~ 案外ベタなところじゃん」
「そ、そうなの。だから、これってもしかして特に希望がなかったから一般論を言っただけの可能性があると思って」
「さすがにそれは深読みし過ぎじゃない? やっぱ男子的には手作りのマフラーとかが良かったりする的な。うぶクンはどう思う?」
「…………」
「うぶクン?」
松永の答えが自分と被っていたことに僕は驚いていた。
いや、一般論ではあるんだけど……もしかしたら僕が松永との会話で出していた可能性もある。
だとしたら、これは遠回しに僕がやったことを察せられているのか……さすがに考え過ぎか。
「ご、ごめん。松永の考えはわからないけど、口にしたということは貰って嬉しい物なんだと思う。テストが終わったら伊月さんに供給させて貰うよ。改めてありがとう、路ちゃん」
「うん。お役に立てたなら良かった」
そんなこんなで松永の欲しい物がわかった……ということで良いのだろうか。
路ちゃんの頑張りは素晴らしいけど、導き出され方によっては松永が何か別のことを考えている気もする。
まぁ、結局は何を貰っても喜べる男だと思うので、伊月さんには自信を持って伝えるとしよう。
今週はずっとテストになるので、学校の滞在時間は短いけど、気合を入れなければいけない。
そんな中、今日のテストが終わった後に、路ちゃんがテストで席が近くなっている僕と大山さんに声をかけてきた。
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「えっ、マジ!? 凄いじゃん、ミチ!」
路ちゃんのお手柄に大山さんは喜びの反応を見せる。
一方の僕はちょっと申し訳ない気持ちになっていた。
「ごめん、路ちゃん。テスト直前までこんなことさせて。テスト中は聞かなくても良かったのに」
「ううん。休憩中とかに聞いてたからそんなに苦労してないから大丈夫。あっ、でも……松永くんからの返信は凄く早かったけれど」
「あいつ……」
「こら、うぶクン。申し訳なくなる前に言う事があるでしょ」
「そ、そうだった。ありがとう、路ちゃん」
「ま、待って。一応、聞いてもらってからじゃないと、本当に感謝されるべきかわからないから……」
路ちゃんは含みがある感じの言い方をする。
まさか松永は路ちゃんの前でも愛みたいな抽象的なことを言ったのか。
それとも……冗談交じりに写真集とか言ってしまったのか。
「い、色々話の流れはあったのだけれど、そこは省くとして……松永くんがクリスマスプレゼントとして欲しいのは……マフラーや手袋って言ってた」
「へ~ 案外ベタなところじゃん」
「そ、そうなの。だから、これってもしかして特に希望がなかったから一般論を言っただけの可能性があると思って」
「さすがにそれは深読みし過ぎじゃない? やっぱ男子的には手作りのマフラーとかが良かったりする的な。うぶクンはどう思う?」
「…………」
「うぶクン?」
松永の答えが自分と被っていたことに僕は驚いていた。
いや、一般論ではあるんだけど……もしかしたら僕が松永との会話で出していた可能性もある。
だとしたら、これは遠回しに僕がやったことを察せられているのか……さすがに考え過ぎか。
「ご、ごめん。松永の考えはわからないけど、口にしたということは貰って嬉しい物なんだと思う。テストが終わったら伊月さんに供給させて貰うよ。改めてありがとう、路ちゃん」
「うん。お役に立てたなら良かった」
そんなこんなで松永の欲しい物がわかった……ということで良いのだろうか。
路ちゃんの頑張りは素晴らしいけど、導き出され方によっては松永が何か別のことを考えている気もする。
まぁ、結局は何を貰っても喜べる男だと思うので、伊月さんには自信を持って伝えるとしよう。
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