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2年生2学期
11月27日(日)晴れ 本田真治の助言その4
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11月最後の日曜日。
引き続き松永にバレないように欲しい物を聞き出す方法を考える中、僕は本田くんにLINEで聞いてみた。
今同じクラスの本田くんなら何か聞いている可能性があるし、本田くんとの会話なら服やアクセサリーに関する会話が出てきてもおかしくはない。
そう思っていたけど……
――松永が欲しい物?
――大原梅子のサイン
――あっ、女優のね
本田くんは念のためそう付け加えてくれる。
つまりは本田くんともそういう会話をしてないようだ。
すると、本田くんから通話がかかってくる。
『良ちゃんが知らないことをオレが知ってるわけない』
「いや、僕も一から十まで把握してるわけじゃないから」
『本当に思い当たる物はないのか?』
「実はあるよ。グラビアアイドルの水着の写真集」
『あー……サインといい、そういう方向性のことしか言ってないのか』
本田くんは通話越しでも呆れているのがわかった。
『しょうがない。オレも何となく探ってみるか』
「おお。ありがとう!」
『これくらいならお安い御用だ。それにしてもクリスマスにサプライズされるくらいには愛されてるんだな』
「そうだね。松永の方がベタベタしてるように見えるけど、実際はい……彼女さんの方も結構べったりな感じ」
『そこそこ付き合ってその関係が続いているのはいいことなんだろうな。オレも……』
「本田くん?」
突然、黙ってしまったので僕が声をかけると、本田くんは少し考えた後、喋り出す。
『実を言うと、ちょっと不安なんだ。前回も……クリスマス前に別れることになったし』
「そ、そうか……」
『別に今仲が悪いわけじゃない。むしろ、今が一番楽しいくらいだ』
「なるほど。惚気る余裕があると」
『すまん。ただ、それでも1ヶ月後はどうなってるかわからないし、たとえ年を越せたとしてもどうなるかはわからないから不安なんだ。受験生になったらまた環境も変わるだろうし』
本田くんは素直に本音を話していく。
そうなった時、松永と伊月さんなら……何となく大丈夫な気がする。
いや、勉強の面では松永に少しばかり不安があるけど、それで関係性が崩れそうな気はしていない。
一方で、本田くんの場合は……僕と似ているから僕に当てはめて考えると、同じように不安になる気持ちはわかった。
『……おっと。愚痴を話すための通話じゃなかった。だが、心配はいらない。オレも今回はクリスマスのプランを成功させるつもりだ』
「それなら良かった。というか、去年も考えてたんだ」
『それはもちろん。聖夜だからこそ一歩進まないとな』
「うん?」
『えっ?』
「あっ、いや……聞かなかったことにする」
『別に隠されるようなことではないんだが。それより良ちゃんも12月になるんだから、がんばれ』
「は、はい」
何だか僕の方が気まずい感じになってしまったけど、ひとまず本田くんに探りを入れて貰えるようになった。
みんながやけにクリスマスのことを口にし出したのは、もしかしたら来年のクリスマスは遊んでいる場合じゃないからなのかもしれない。
だったら、僕も……本田くんに期待に添えるかわからないけど、がんばってみよう思った。
引き続き松永にバレないように欲しい物を聞き出す方法を考える中、僕は本田くんにLINEで聞いてみた。
今同じクラスの本田くんなら何か聞いている可能性があるし、本田くんとの会話なら服やアクセサリーに関する会話が出てきてもおかしくはない。
そう思っていたけど……
――松永が欲しい物?
――大原梅子のサイン
――あっ、女優のね
本田くんは念のためそう付け加えてくれる。
つまりは本田くんともそういう会話をしてないようだ。
すると、本田くんから通話がかかってくる。
『良ちゃんが知らないことをオレが知ってるわけない』
「いや、僕も一から十まで把握してるわけじゃないから」
『本当に思い当たる物はないのか?』
「実はあるよ。グラビアアイドルの水着の写真集」
『あー……サインといい、そういう方向性のことしか言ってないのか』
本田くんは通話越しでも呆れているのがわかった。
『しょうがない。オレも何となく探ってみるか』
「おお。ありがとう!」
『これくらいならお安い御用だ。それにしてもクリスマスにサプライズされるくらいには愛されてるんだな』
「そうだね。松永の方がベタベタしてるように見えるけど、実際はい……彼女さんの方も結構べったりな感じ」
『そこそこ付き合ってその関係が続いているのはいいことなんだろうな。オレも……』
「本田くん?」
突然、黙ってしまったので僕が声をかけると、本田くんは少し考えた後、喋り出す。
『実を言うと、ちょっと不安なんだ。前回も……クリスマス前に別れることになったし』
「そ、そうか……」
『別に今仲が悪いわけじゃない。むしろ、今が一番楽しいくらいだ』
「なるほど。惚気る余裕があると」
『すまん。ただ、それでも1ヶ月後はどうなってるかわからないし、たとえ年を越せたとしてもどうなるかはわからないから不安なんだ。受験生になったらまた環境も変わるだろうし』
本田くんは素直に本音を話していく。
そうなった時、松永と伊月さんなら……何となく大丈夫な気がする。
いや、勉強の面では松永に少しばかり不安があるけど、それで関係性が崩れそうな気はしていない。
一方で、本田くんの場合は……僕と似ているから僕に当てはめて考えると、同じように不安になる気持ちはわかった。
『……おっと。愚痴を話すための通話じゃなかった。だが、心配はいらない。オレも今回はクリスマスのプランを成功させるつもりだ』
「それなら良かった。というか、去年も考えてたんだ」
『それはもちろん。聖夜だからこそ一歩進まないとな』
「うん?」
『えっ?』
「あっ、いや……聞かなかったことにする」
『別に隠されるようなことではないんだが。それより良ちゃんも12月になるんだから、がんばれ』
「は、はい」
何だか僕の方が気まずい感じになってしまったけど、ひとまず本田くんに探りを入れて貰えるようになった。
みんながやけにクリスマスのことを口にし出したのは、もしかしたら来年のクリスマスは遊んでいる場合じゃないからなのかもしれない。
だったら、僕も……本田くんに期待に添えるかわからないけど、がんばってみよう思った。
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