上 下
577 / 942
2年生2学期

11月1日(火)雨 後輩との日常・岸元日葵の場合その9

しおりを挟む
 11月初日の火曜日。
 本日は雨だったせいか、昨日よりも教室内が寒く感じた。
 あまり早く出してしまうと冬本番が耐えられないと思っていたけど、そろそろカーディガンを始めとした防寒対策をして授業に臨まなければいけないかもしれない。

 そんな今日は昨日の忘れてしまったハロウィンのお返しとして、朝のコンビニで飴のバラエティパックを買ってきた。
 1日遅れたことは弄られてしまったけど、あげた人には喜んで貰えたので買って良かったと思う。
 そして、大きめのパックを買っていたから放課後の部活でも配布できる分が余っていた。

「産賀センパイがハロウィン気分から抜けられてない……!」

「ち、違うから。これは昨日クラスで忘れてたから……」

 ただ、こちらでも当然のように日葵さんや姫宮さんから弄られてしまった。
 まぁ、わざわざ部活に持ってくるとハロウィンをまだ楽しんでいる奴に見えても仕方ないか。

「なーんだ。そういうことだったんですね。じゃあ、昨日はいたずらされまくりました?」

「まぁ、軽い罰ゲーム的なことはやらされたかな」

「日葵。副部長はそれが狙い」

「なる。女子から合法的にいたずらを……」

「違うから! 本当に忘れてただけだから!」

 女子の方が多いこの空間でそれを言われたらたまったものではない。
 でも、桐山くんだけは「その手があったか……!」という反応をしていた。
 これは後で注意しておこう。

「でも、男子はいたずらされたい気持ちはあるんじゃないですか?」

「な、なんでそう思うの」

「だって、SNS見てるとだいたいそんな感じだし。アイドルのリプ欄とか」

「そこはまぁネットの話だから……」

「日葵。副部長はネットだと暴れん坊」

「なる。現実ではそんなにか……」

「2人は僕をどうしたいんだ!」

 ここで引き合いに出すのは違うのはわかっているけど、せっかくこの前の打ち上げを頑張ったのにこの仕打ちである。

「産賀センパイ……気付いてないんですか?」

「えっ? 何を?」

「これがひまりと青蘭のいたずらでーす!」

 日葵さんがそう言うと、姫宮さんは薄く笑いながらピースした。

「……僕はお菓子をあげたはずなんだけど」

「あっ……ほら、男子はいたずらされたいかなーと思って」

「私はいたずらしたかったので貰ってもしました」

「正直だね! はぁ……まったく」

「まぁまぁ。ハロウィン延長も楽しくていいじゃないですか。あっ、路センパイは産賀センパイにどんないたずらしたんですか?」

「ええっ!? お菓子じゃなくていたずらの方!?」

 その後、日葵さんと姫宮さんの興味は他の部員んい移っていった。
 これが現代の若者か……とよくわからない感想を抱いてしまうほど、2人のペースに巻き込まれてしまった。
 そう考えると、うちのクラスはわりと落ち着いていたので、みんな大人になっているのかもしれない……この感想で合ってるのか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

終わりに見えた白い明日

kio
青春
寿命の終わりで自動的に人が「灰」と化す世界。 「名無しの権兵衛」を自称する少年は、不良たちに囲まれていた一人の少女と出会う。 ──これは、終末に抗い続ける者たちの物語。 やがて辿り着くのは、希望の未来。 【1】この小説は、2007年に正式公開した同名フリーノベルゲームを加筆修正したものです(内容に変更はありません)。 【2】本作は、徐々に明らかになっていく物語や、伏線回収を好む方にお勧めです。 【3】『ReIce -second-』にて加筆修正前のノベルゲーム版(WINDOWS機対応)を公開しています(作品紹介ページにて登場人物の立ち絵等も載せています)。 ※小説家になろう様でも掲載しています。

女神と共に、相談を!

沢谷 暖日
青春
九月の初め頃。 私──古賀伊奈は、所属している部活動である『相談部』を廃部にすると担任から言い渡された。 部員は私一人、恋愛事の相談ばっかりをする部活、だからだそうだ。 まぁ。四月頃からそのことについて結構、担任とかから触れられていて(ry 重い足取りで部室へ向かうと、部室の前に人影を見つけた私は、その正体に驚愕する。 そこにいたのは、学校中で女神と謳われている少女──天崎心音だった。 『相談部』に何の用かと思えば、彼女は恋愛相談をしに来ていたのだった。 部活の危機と聞いた彼女は、相談部に入部してくれて、様々な恋愛についてのお悩み相談を共にしていくこととなる──

サ帝

紅夜蒼星
青春
20××年、日本は100度前後のサウナの熱に包まれた! 数年前からサウナが人体に与える影響が取りだたされてはいた。しかし一過的なブームに過ぎないと、単なるオヤジの趣味だと馬鹿にする勢力も多かった。 だがサウナブームは世を席巻した。 一億の人口のうちサウナに入ったことのない人は存在せず、その遍く全ての人間が、サウナによって進化を遂げた「超人類」となった。   その中で生まれた新たなスポーツが、GTS(Golden Time Sports)。またの名を“輝ける刻の対抗戦”。 サウナ、水風呂、ととのい椅子に座るまでの一連のサウナルーティン。その時間を設定時間に近づけるという、狂っているとしか言いようがないスポーツ。 そんなGTSで、「福良大海」は中学時代に全国制覇を成し遂げた。 しかしとある理由から彼はサウナ室を去り、表舞台から姿を消した。 高校生となった彼は、いきつけのサウナで謎の美少女に声を掛けられる。 「あんた、サウナの帝王になりなさい」 「今ととのってるから後にしてくれる?」 それは、サウナストーンに水をかけられたように、彼の心を再び燃え上がらせる出会いだった。 これはサウナーの、サウナーによる、サウナーのための、サウナ青春ノベル。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

少女が過去を取り戻すまで

tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。 玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。 初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。 恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。 『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』 玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく──── ※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです ※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります  内容を一部変更しています ※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです ※一部、事実を基にしたフィクションが入っています ※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます ※イラストは「画像生成AI」を使っています

片思いに未練があるのは、私だけになりそうです

珠宮さくら
青春
髙村心陽は、双子の片割れである姉の心音より、先に初恋をした。 その相手は、幼なじみの男の子で、姉の初恋の相手は彼のお兄さんだった。 姉の初恋は、姉自身が見事なまでにぶち壊したが、その初恋の相手の人生までも狂わせるとは思いもしなかった。 そんな心陽の初恋も、片思いが続くことになるのだが……。

処理中です...