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2年生2学期
10月26日(水)晴れ 松永浩太との歓談その8
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2学期中間テスト2日目。
この日はテストが始まる前の休み時間で大倉くんと出題し合ってから本番に挑んだ。
大倉くんは昨日の件で気を引き締めてくれたようで、勉強した結果、昨日よりは手応えを感じているようだった。
僕のおかげというつもりはないけど、今後もテスト前には大倉くんを鼓舞するべきかもしれない。
そして、夕方から塾があるので、今日も路ちゃんと一緒に早めに行って勉強することになり、僕と路ちゃんは教室を出た。
「おっ、りょーちゃん。今帰り? 今日は俺と……あれ?」
ちょうどそのタイミングで隣の4組から出て来た松永に声をかけられる。
「やぁ、岸本さん。文化祭の時以来だね」
「はい。伊月さんに改めて紹介されるのは何だか変な感じでした……」
「ははっ。茉奈ちゃんの前だとあんまり岸本さんのこと知ってるアピールしてなかったからあんなことになっちゃった」
「わたしも伊月さんの前では知らない風にしちゃってから……」
僕は他のことに意識が行っていたから気付かなかったけど、文化祭で2人は話していたらしい。
以前は松永に対して警戒するような感じもあった路ちゃんだけど、今は全然そんな感じはしない。
「もしかしてこれから2人でお出かけ?」
「お出かけじゃない。塾に早めに行って勉強するんだ」
「あー、今日はその日だったか。じゃあ、今日のところは……塾までお見送りさせて貰おうかな」
「なんでだよ。全然方向違うし、早く帰って勉強しろ」
「いいじゃん、そんなに遠い距離じゃないんだしさぁ。あっ、昼ご飯はどうすんの? 塾行ってから食べる?」
「途中で買って行く予定だけど……ごめん、路ちゃん。うるさいのが付いて来て」
「ううん。わたしは全然構わないわ」
路ちゃんはそう言いながら松永に微笑みを向ける。
……こんなに打ち解けた仲だったろうか。
いや、別に僕を挟んでいない時でも顔を合わせてる可能性はあるから、別におかしくはないんだけど。
「だったら、どこか寄って食べるのは無しか。まぁ、とりあえず行こうぜ」
なぜか松永が先導しながら学校を出ると、暫くは自転車に乗らずに歩いていく。
「それで……伊月さんとの約束はどうなったんですか……?」
「いやぁ、それがさぁ……」
なぜなら路ちゃんと松永がゆっくり話したい雰囲気を出していたからだ。
話の内容は半分くらい聞いてなかったけど、どうやら路ちゃんは松永伊月カップルの話に興味を持っていかれているようだった。
それが文化祭の時からの話なのかはわからない。
ただ、路ちゃんはとても楽しそうに話していた。
(この手の話題、本当に好きなんだな……)
一方の松永はこういうことを聞かれるのはまんざらでもないどころか、自分で話したがるタイプなので、大そう気持ち良さそうに話していた。
路ちゃんの食い付き方がいいのもあるのだろうけど、僕と話す時よりも過剰な溜めや動きが付け足されている。
そこだけ切り取ってみると……何だか2人とも普段僕と話す時よりも生き生きしているように見えた。
話に置いて行かれた僕は2人の後ろを付いて行く形になる。
「……りょーちゃん? 何つまらなさそうな顔してるの?」
「べ、別に……」
「あっ、ふーん……岸本さん。この男、ちょっと嫉妬してますぜ」
「えっ!?」
「はぁ!? 何勝手なこと言って……」
「いやいや、長年付き合ってる俺にはわかる。りょーちゃんは意外とそういうところあるからなぁ」
「そうなの……?」
「ち、違う! 全然そんなことは……岸本さん、何ちょっと笑ってるの!?」
「しょうがないなー じゃあ、りょーちゃんが混ざれそうな話題を……」
「そんな気遣いはいらない! ほら、そろそろコンビニ寄るぞ!」
少しやけくそ気味に言う僕を見て、松永と岸本さんは面白がって笑っていた。
それぞれ2人だけの時にはこんなテンションにはならないんだけど、今日は変なことになってしまった。
一応言っておくと、本当に嫉妬してたわけじゃなくて、なんていうかその……普段の僕はもう少しノリを良くすべきなのかと反省したというか……聞き手の態度も重要だと思ったというか……うん。やっぱりちょっと寂しかったのかもしれない。2人には言わないけど。
この日はテストが始まる前の休み時間で大倉くんと出題し合ってから本番に挑んだ。
大倉くんは昨日の件で気を引き締めてくれたようで、勉強した結果、昨日よりは手応えを感じているようだった。
僕のおかげというつもりはないけど、今後もテスト前には大倉くんを鼓舞するべきかもしれない。
そして、夕方から塾があるので、今日も路ちゃんと一緒に早めに行って勉強することになり、僕と路ちゃんは教室を出た。
「おっ、りょーちゃん。今帰り? 今日は俺と……あれ?」
ちょうどそのタイミングで隣の4組から出て来た松永に声をかけられる。
「やぁ、岸本さん。文化祭の時以来だね」
「はい。伊月さんに改めて紹介されるのは何だか変な感じでした……」
「ははっ。茉奈ちゃんの前だとあんまり岸本さんのこと知ってるアピールしてなかったからあんなことになっちゃった」
「わたしも伊月さんの前では知らない風にしちゃってから……」
僕は他のことに意識が行っていたから気付かなかったけど、文化祭で2人は話していたらしい。
以前は松永に対して警戒するような感じもあった路ちゃんだけど、今は全然そんな感じはしない。
「もしかしてこれから2人でお出かけ?」
「お出かけじゃない。塾に早めに行って勉強するんだ」
「あー、今日はその日だったか。じゃあ、今日のところは……塾までお見送りさせて貰おうかな」
「なんでだよ。全然方向違うし、早く帰って勉強しろ」
「いいじゃん、そんなに遠い距離じゃないんだしさぁ。あっ、昼ご飯はどうすんの? 塾行ってから食べる?」
「途中で買って行く予定だけど……ごめん、路ちゃん。うるさいのが付いて来て」
「ううん。わたしは全然構わないわ」
路ちゃんはそう言いながら松永に微笑みを向ける。
……こんなに打ち解けた仲だったろうか。
いや、別に僕を挟んでいない時でも顔を合わせてる可能性はあるから、別におかしくはないんだけど。
「だったら、どこか寄って食べるのは無しか。まぁ、とりあえず行こうぜ」
なぜか松永が先導しながら学校を出ると、暫くは自転車に乗らずに歩いていく。
「それで……伊月さんとの約束はどうなったんですか……?」
「いやぁ、それがさぁ……」
なぜなら路ちゃんと松永がゆっくり話したい雰囲気を出していたからだ。
話の内容は半分くらい聞いてなかったけど、どうやら路ちゃんは松永伊月カップルの話に興味を持っていかれているようだった。
それが文化祭の時からの話なのかはわからない。
ただ、路ちゃんはとても楽しそうに話していた。
(この手の話題、本当に好きなんだな……)
一方の松永はこういうことを聞かれるのはまんざらでもないどころか、自分で話したがるタイプなので、大そう気持ち良さそうに話していた。
路ちゃんの食い付き方がいいのもあるのだろうけど、僕と話す時よりも過剰な溜めや動きが付け足されている。
そこだけ切り取ってみると……何だか2人とも普段僕と話す時よりも生き生きしているように見えた。
話に置いて行かれた僕は2人の後ろを付いて行く形になる。
「……りょーちゃん? 何つまらなさそうな顔してるの?」
「べ、別に……」
「あっ、ふーん……岸本さん。この男、ちょっと嫉妬してますぜ」
「えっ!?」
「はぁ!? 何勝手なこと言って……」
「いやいや、長年付き合ってる俺にはわかる。りょーちゃんは意外とそういうところあるからなぁ」
「そうなの……?」
「ち、違う! 全然そんなことは……岸本さん、何ちょっと笑ってるの!?」
「しょうがないなー じゃあ、りょーちゃんが混ざれそうな話題を……」
「そんな気遣いはいらない! ほら、そろそろコンビニ寄るぞ!」
少しやけくそ気味に言う僕を見て、松永と岸本さんは面白がって笑っていた。
それぞれ2人だけの時にはこんなテンションにはならないんだけど、今日は変なことになってしまった。
一応言っておくと、本当に嫉妬してたわけじゃなくて、なんていうかその……普段の僕はもう少しノリを良くすべきなのかと反省したというか……聞き手の態度も重要だと思ったというか……うん。やっぱりちょっと寂しかったのかもしれない。2人には言わないけど。
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