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2年生2学期

10月20日(木)晴れ 後援する大山亜里沙その5

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 陽気的には秋らしい木曜日。
 この日は文化祭を達成した後の疲れと週の折り返しの疲れがちょうど貯まってくる頃だった。
 だから、いつも通り昼前に眠気と戦うことになる。

「でも、文化祭でうぶクンは頑張ってたから、今回は寝ても許すしかないか……」

「いや、そこは厳しくいってくれないと」

 そして、授業が始まる直前に大山さんと最近恒例の会話を交わす。
 今の僕の体力的には木曜日の昼が山場なのかもしれない。

「それに、頑張ってたのはみんな同じだよ。むしろ、屋台の方が大変だと思う」

「そうかな? 正直言うと、今年のバド部の売り上げは微妙なカンジでね……」

 当日に書くのを忘れたけど、僕も日曜日にバド部の屋台へ伺わせて貰った。
 そこで売られていたのはトロピカルなジュースで、カラフルな見た目は中々目を引いたように思う。

「当日は晴れ間だったケド、今年はちょっと冷たいのは敬遠されちゃったんだよねー タピオカほど流行りに乗ったカンジでもなかったし」

「なるほど。文化祭でも気温や流行りは重要なんだ」

「その点でいったら今年の文芸部は凄く華やかだった! 後からミチにも言ったけど、和風の衣装めっちゃ可愛かったし」

「それは……うん。女子は良かったよね」

「だからこそ、なんでうぶクンはあんなことに……?」

 大山さんは純粋な目で疑問をぶつけてくる。
 僕以外にも男子は2人いたんだけど、大山さんからすると知り合いの僕だけが浮いてしまったんだろう。

「なんでと言われたら、男子は個別に準備して、僕は100均で揃えた奴だったから……」

「もしかして、文芸部内では男女のヒエラルキーができてる……?」

「違う違う。今回は急に決まったことだから、色々共有し切れてないところがあっただけで……」

「冗談だって。でも、それはそれとして、うぶクンの恰好はなかなかだったなー」

 そう言いながら大山さんは浮かれた司会者もどきの写真を見せてきた。
 それを見た途端、僕の目は一気に覚める。

「なんで撮ってるの!? というか、いつ撮ったの!?」

「帰り際にささっと?」

「いや、全然気付かなかった……許可取ってよ!」

「えっ。知り合いだから撮ってもいいってミチや他の子にも言われてたからうぶクンもOKかと思ってた」

 コスプレ姿は勝手に拡散されるといけないから、基本は撮影NGだったけど、知り合いはそうでもなかったようだ。

「消した方がいいの?」

「それは……できればその方がありがたい」

「どうしよっかなー ちなみに文芸部の人とか明莉ちゃんとかに写真撮られなかったの?」

「……撮られた。明莉にはめちゃめちゃ加工された写真も貰った」

「そっか。じゃあ、いざという時はミチからそれ貰えばいいか……」

「……じゃあ、もう消さなくていいよ」

「ホントに? 嫌なら全然消すよ?」

「よく考えたら他の人に拡散しないでとか言ってなかったからもう同じだった……」

「そ、そんなに落ち込まなくても……シュールさで言えば似合ってたよ?」

「慰めありがとう……」

 その後、僕は微妙な気持ちになりながらお昼以降の授業を受けることになった。
 僕が一人で行ったところで似たような結果になっていただろうから、別に大倉くんが悪いわけではない。
 ないけれど……この次の休み時間には大倉くんと少し会議した。
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