562 / 942
2年生2学期
10月17日(月)曇り時々雨 隣接する岸本路子その6
しおりを挟む
文化祭明けの達成感と疲労感が残る月曜日。
そんな中でも塾は通常通りに行われるので、気を抜かないようにと思って僕は向かう。
「ほわぁ……」
しかし、来てみると珍しく路ちゃんが気の抜けた感じになっていた。
部長として色々頑張っただろうから仕方ないと思ったけど、よく見ると疲労感でそうなっている風ではない。
けれども、遠くを見つめる姿はいつもとは違うふんわり感を出していた。
「み、路ちゃん? 大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だよー……」
「いや、絶対何かあったでしょ。まさか……」
昨日、僕や花園さんが気付けずに、例の人達に出会ってしまったのか。
それとも僕が見逃しているだけで文芸部的に重大なミスがあったのか。
……いや、どれも違う気がする。
「今のわたし、そんなに変……?」
「変ではないけど、いつもと違うと思う」
「それはたぶん……まだ熱に当てられてるからだと思う……」
「熱……とは?」
「ソフィアさんと藤原さんの。実はねー、あの後、昨日の夜に女子だけで通話を繋いでソフィアさんの話を聞いたの」
「へー、そんなことがあったんだ」
「そこで色々聞いてたら……ふふふ」
女子だけのプチ打ち上げがあったと聞いたら、また桐山くんは嘆いてしまうだろうけど、解散前の女子の盛り上がりを見れば仕方がないことだ。
恐らく、結構な時間まで通話していたに違いない。
「つまり……今の路ちゃんは寝不足ってこと?」
「…………良助くん、それは違う」
路ちゃんはいきなりふわふわから戻って強く否定する。
何ならちょっと怒っている風にも見えた。
「わかったわ。良助くんにも共有するから。それに妹さんの話もっと聞きたいし」
「えっ、ああ、うん。そんなに話すようなことあったかな……」
そのまま塾の講義が始まるまでと終わってから路ちゃんの迎えが来るまで、昨日のプチ打ち上げ内で出た話を聞かされた。
だけど、話の内容よりも話している路ちゃんの変なテンションが気になってしまった。
まぁ、文化祭の達成感や高揚感でこうなっている……ということにしておこう。
そんな中でも塾は通常通りに行われるので、気を抜かないようにと思って僕は向かう。
「ほわぁ……」
しかし、来てみると珍しく路ちゃんが気の抜けた感じになっていた。
部長として色々頑張っただろうから仕方ないと思ったけど、よく見ると疲労感でそうなっている風ではない。
けれども、遠くを見つめる姿はいつもとは違うふんわり感を出していた。
「み、路ちゃん? 大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だよー……」
「いや、絶対何かあったでしょ。まさか……」
昨日、僕や花園さんが気付けずに、例の人達に出会ってしまったのか。
それとも僕が見逃しているだけで文芸部的に重大なミスがあったのか。
……いや、どれも違う気がする。
「今のわたし、そんなに変……?」
「変ではないけど、いつもと違うと思う」
「それはたぶん……まだ熱に当てられてるからだと思う……」
「熱……とは?」
「ソフィアさんと藤原さんの。実はねー、あの後、昨日の夜に女子だけで通話を繋いでソフィアさんの話を聞いたの」
「へー、そんなことがあったんだ」
「そこで色々聞いてたら……ふふふ」
女子だけのプチ打ち上げがあったと聞いたら、また桐山くんは嘆いてしまうだろうけど、解散前の女子の盛り上がりを見れば仕方がないことだ。
恐らく、結構な時間まで通話していたに違いない。
「つまり……今の路ちゃんは寝不足ってこと?」
「…………良助くん、それは違う」
路ちゃんはいきなりふわふわから戻って強く否定する。
何ならちょっと怒っている風にも見えた。
「わかったわ。良助くんにも共有するから。それに妹さんの話もっと聞きたいし」
「えっ、ああ、うん。そんなに話すようなことあったかな……」
そのまま塾の講義が始まるまでと終わってから路ちゃんの迎えが来るまで、昨日のプチ打ち上げ内で出た話を聞かされた。
だけど、話の内容よりも話している路ちゃんの変なテンションが気になってしまった。
まぁ、文化祭の達成感や高揚感でこうなっている……ということにしておこう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
檸檬色に染まる泉
鈴懸 嶺
青春
”世界で一番美しいと思ってしまった憧れの女性”
女子高生の私が、生まれてはじめて我を忘れて好きになったひと。
雑誌で見つけたたった一枚の写真しか手掛かりがないその女性が……
手なんか届かくはずがなかった憧れの女性が……
いま……私の目の前ににいる。
奇跡的な出会いを果たしてしまった私の人生は、大きく動き出す……
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
片思いに未練があるのは、私だけになりそうです
珠宮さくら
青春
髙村心陽は、双子の片割れである姉の心音より、先に初恋をした。
その相手は、幼なじみの男の子で、姉の初恋の相手は彼のお兄さんだった。
姉の初恋は、姉自身が見事なまでにぶち壊したが、その初恋の相手の人生までも狂わせるとは思いもしなかった。
そんな心陽の初恋も、片思いが続くことになるのだが……。
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜
136君
青春
俺に青春など必要ない。
新高校1年生の俺、由良久志はたまたま隣の席になった有田さんと、なんだかんだで同居することに!?
絶対に他には言えない俺の秘密を知ってしまった彼女は、勿論秘密にすることはなく…
本当の思いは自分の奥底に隠して繰り広げる青春ラブコメ!
なろう、カクヨムでも連載中!
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330647702492601
なろう→https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5319hy/
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる