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2年生2学期
10月8日(土)晴れ 本田真治の助言
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私服も秋冬物へ移行した土曜日。
ただし、来週はまた暑くなるらしいので、夏服を完全に仕舞うのは少し先になるかもしれない。
そんな今日は昼から珍しく本田くんと会う約束をしていた。
学校ではお互いにちょくちょくクラスに顔を見せているので、久しぶりに会うわけではないけど、2人きりで会うのは久しぶりのことだ。
しかも呼び出したのは僕からなのだからさらに珍しい。
待ち合わせ場所に着いた後は適当な店を探して、ファーストフード店に入っていった。
「今日は僕のおごりで」
「そんな気を遣わなくても。じゃあ、さっそくになるが聞かせて貰おう。良ちゃんの相談事を」
そう促されて僕は話し出した……清水先輩にフラれた件を。
この事実を知っているのは松永と大山さん、桜庭先輩の3人だけで、松永は本田くんや大倉くんに共有することもなかった。
だから、本田くんは少々驚いた様子だった。
「……そうか。良ちゃんも色々大変だったんだな」
「いや、大変というほどでは。それでその……本田くんには非常に申し訳ないんだけど、僕の現状を変えるために聞きたいことがあって」
「なにを?」
「……どうしたら引きずらずに割り切れるか」
僕は自分の口で言いながらも言ってしまったと思った。
僕の周りでそういう経験をして、そこから元通りとはいかなくても、フラットな関係に戻せたのは、本田くん以外思い当たらなかった。
でも、それを聞くことは本田くんの良くない思い出を掘り返すことになる。
「良ちゃん。最初に言っておくが、別に悪いとは思わないでいい」
ただ、本田くんはそれを見越して気遣う言葉をかけてくれる。
「オレも良ちゃんには世話になってるし、相談できる相手だと思って言ってくれたなら、むしろ嬉しいくらいだ。だから、申し訳ないと思わないでくれ」
「あ、ありがとう、本田くん」
「まぁ、そう言った後に言うのも何だが……割り切るのは凄く難しい」
「えっ」
「いや。もちろん、今のオレは諦めてる。だが、その……別れた直後、ちょうど12月だったが、そこから3ヶ月以上は引きずっていた」
「そうだったんだ……」
「それでも時間が解決してくれるところはあったから、段々と忘れていけたよ。たぶん、オレや良ちゃんはそのタイプだと思う」
それは僕も本田くんもどちらかと言えば真面目で、結構考えるタイプだからという意味だろう。
「これは不謹慎な話だけど、逆に松永が別れたりしたらオレ達よりは割り切るのが早いと思う」
「それは僕も同意する」
「まぁ、この件に関しては松永に聞いても仕方ないんだが。いや、別に今の彼女が初恋ってわけでもないか」
「そこはよく知らないけど、さっきの意見は凄く納得できたよ。僕の性格上、今すぐ割り切るのは難しいって。ただ……」
「ただ?」
「……文化祭の茶道部にはいかなきゃならないんだよなぁ」
「あー……」
「別に嫌じゃないし、普通にお誘いは嬉しいんだけど、なんていうかこう……わかるよね!?」
「なんとなくは。気まずさやら何やらが混じって」
「そう! そうなんだよ……だから、僕って奴は……」
「良ちゃん。ネガったら余計に引きずるから」
本題を曝け出した後はこれまた珍しく僕のマイナス思考な発言を本田くんに聞いて貰う時間になった。
それはそれでまた申し訳なく思ったけど、当の本田くんは「珍しい良ちゃんが面白い」ということで、特に不快にならずに聞いてくれた。
結局、特効薬は見つけられなかったけど、処方薬は出して貰えたので、この本田くんの言葉を胸に自分でも頑張ろうと思った。
ただし、来週はまた暑くなるらしいので、夏服を完全に仕舞うのは少し先になるかもしれない。
そんな今日は昼から珍しく本田くんと会う約束をしていた。
学校ではお互いにちょくちょくクラスに顔を見せているので、久しぶりに会うわけではないけど、2人きりで会うのは久しぶりのことだ。
しかも呼び出したのは僕からなのだからさらに珍しい。
待ち合わせ場所に着いた後は適当な店を探して、ファーストフード店に入っていった。
「今日は僕のおごりで」
「そんな気を遣わなくても。じゃあ、さっそくになるが聞かせて貰おう。良ちゃんの相談事を」
そう促されて僕は話し出した……清水先輩にフラれた件を。
この事実を知っているのは松永と大山さん、桜庭先輩の3人だけで、松永は本田くんや大倉くんに共有することもなかった。
だから、本田くんは少々驚いた様子だった。
「……そうか。良ちゃんも色々大変だったんだな」
「いや、大変というほどでは。それでその……本田くんには非常に申し訳ないんだけど、僕の現状を変えるために聞きたいことがあって」
「なにを?」
「……どうしたら引きずらずに割り切れるか」
僕は自分の口で言いながらも言ってしまったと思った。
僕の周りでそういう経験をして、そこから元通りとはいかなくても、フラットな関係に戻せたのは、本田くん以外思い当たらなかった。
でも、それを聞くことは本田くんの良くない思い出を掘り返すことになる。
「良ちゃん。最初に言っておくが、別に悪いとは思わないでいい」
ただ、本田くんはそれを見越して気遣う言葉をかけてくれる。
「オレも良ちゃんには世話になってるし、相談できる相手だと思って言ってくれたなら、むしろ嬉しいくらいだ。だから、申し訳ないと思わないでくれ」
「あ、ありがとう、本田くん」
「まぁ、そう言った後に言うのも何だが……割り切るのは凄く難しい」
「えっ」
「いや。もちろん、今のオレは諦めてる。だが、その……別れた直後、ちょうど12月だったが、そこから3ヶ月以上は引きずっていた」
「そうだったんだ……」
「それでも時間が解決してくれるところはあったから、段々と忘れていけたよ。たぶん、オレや良ちゃんはそのタイプだと思う」
それは僕も本田くんもどちらかと言えば真面目で、結構考えるタイプだからという意味だろう。
「これは不謹慎な話だけど、逆に松永が別れたりしたらオレ達よりは割り切るのが早いと思う」
「それは僕も同意する」
「まぁ、この件に関しては松永に聞いても仕方ないんだが。いや、別に今の彼女が初恋ってわけでもないか」
「そこはよく知らないけど、さっきの意見は凄く納得できたよ。僕の性格上、今すぐ割り切るのは難しいって。ただ……」
「ただ?」
「……文化祭の茶道部にはいかなきゃならないんだよなぁ」
「あー……」
「別に嫌じゃないし、普通にお誘いは嬉しいんだけど、なんていうかこう……わかるよね!?」
「なんとなくは。気まずさやら何やらが混じって」
「そう! そうなんだよ……だから、僕って奴は……」
「良ちゃん。ネガったら余計に引きずるから」
本題を曝け出した後はこれまた珍しく僕のマイナス思考な発言を本田くんに聞いて貰う時間になった。
それはそれでまた申し訳なく思ったけど、当の本田くんは「珍しい良ちゃんが面白い」ということで、特に不快にならずに聞いてくれた。
結局、特効薬は見つけられなかったけど、処方薬は出して貰えたので、この本田くんの言葉を胸に自分でも頑張ろうと思った。
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