527 / 942
2年生2学期
9月12日(月)晴れ時々曇り 隣接する岸本路子その2
しおりを挟む
9月も半ばに入る月曜日。
学校の方は今週から少しずつ体育祭の練習が始まっていく。
ただ、僕は去年から引き続き暇な時間の方が増えそうだ。
一方、塾の方は今日から2週目に突入した。
勉強の方は問題なく進んでいるので、このまま置いて行かれないように付いて行きたいと思う。
しかし、それ以外のところで少し気になることがあった。
「良さんのクラスでスウェーデンって誰出るん?」
「それ教えていいものなのかな……」
「いやいや、偵察してるわけじゃないから」
2教科の間の休み時間に別クラスの男子とそんな世間話をしていると、隣に座る路ちゃんは少し気まずそうにしていた。
まだ3回目ではあるけど、路ちゃんは基本的に塾終わりまで席から動かない。
恐らく塾生の中に知り合いがいないから、わざわざ席を立つ必要がないのだ。
でも、僕の方は何人か男子の知り合いがいて今日のように話しかけられることがあるので、路ちゃんが独りぼっちでいる時間が生じてしまった。
それが気になってしまった僕は、この日の帰り際に路ちゃんにひと声かけることにする。
「路ちゃん、ごめんね。休み時間中、放置しちゃってるみたいで」
「えっ? 放置?」
「いや、僕が他の人と話しちゃってるから……」
「あっ、そういう……ううん。全然構わないわ。わたしは黙ってても平気だし」
「でも、それなら僕が隣にいる意味が……」
僕が申し訳なく思ってそう言ったけど、それを見た路ちゃんは何故かクスリと笑う。
「……はっ! ご、ごめんなさい。心配してくれてるのに笑って。だけれど、良助くんがそんな風に考えてくれてると思ってなくて」
「いや、僕が気にし過ぎなのはあるんだろうけど……」
「わたしは知り合いが一人でもいてくれるだけ十分だから。でも、心配してくれてありがとう」
「ううん。問題なら良かった」
「じゃあ、次から良助くんに心配されないよう……わたしが先に話すのもいいかな……なんて」
「僕はそれでも構わないよ」
「……うん。わかった」
路ちゃんは少し驚きながらもそう言ったので、僕はひとまず安心する。
一つ前の塾のことがあるから余計に気にしてしまうけど、本人が平気そうなら僕が気にし過ぎることもないだろう。
僕も周りに流され過ぎずに路ちゃんへ話していこうと思う。
学校の方は今週から少しずつ体育祭の練習が始まっていく。
ただ、僕は去年から引き続き暇な時間の方が増えそうだ。
一方、塾の方は今日から2週目に突入した。
勉強の方は問題なく進んでいるので、このまま置いて行かれないように付いて行きたいと思う。
しかし、それ以外のところで少し気になることがあった。
「良さんのクラスでスウェーデンって誰出るん?」
「それ教えていいものなのかな……」
「いやいや、偵察してるわけじゃないから」
2教科の間の休み時間に別クラスの男子とそんな世間話をしていると、隣に座る路ちゃんは少し気まずそうにしていた。
まだ3回目ではあるけど、路ちゃんは基本的に塾終わりまで席から動かない。
恐らく塾生の中に知り合いがいないから、わざわざ席を立つ必要がないのだ。
でも、僕の方は何人か男子の知り合いがいて今日のように話しかけられることがあるので、路ちゃんが独りぼっちでいる時間が生じてしまった。
それが気になってしまった僕は、この日の帰り際に路ちゃんにひと声かけることにする。
「路ちゃん、ごめんね。休み時間中、放置しちゃってるみたいで」
「えっ? 放置?」
「いや、僕が他の人と話しちゃってるから……」
「あっ、そういう……ううん。全然構わないわ。わたしは黙ってても平気だし」
「でも、それなら僕が隣にいる意味が……」
僕が申し訳なく思ってそう言ったけど、それを見た路ちゃんは何故かクスリと笑う。
「……はっ! ご、ごめんなさい。心配してくれてるのに笑って。だけれど、良助くんがそんな風に考えてくれてると思ってなくて」
「いや、僕が気にし過ぎなのはあるんだろうけど……」
「わたしは知り合いが一人でもいてくれるだけ十分だから。でも、心配してくれてありがとう」
「ううん。問題なら良かった」
「じゃあ、次から良助くんに心配されないよう……わたしが先に話すのもいいかな……なんて」
「僕はそれでも構わないよ」
「……うん。わかった」
路ちゃんは少し驚きながらもそう言ったので、僕はひとまず安心する。
一つ前の塾のことがあるから余計に気にしてしまうけど、本人が平気そうなら僕が気にし過ぎることもないだろう。
僕も周りに流され過ぎずに路ちゃんへ話していこうと思う。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
檸檬色に染まる泉
鈴懸 嶺
青春
”世界で一番美しいと思ってしまった憧れの女性”
女子高生の私が、生まれてはじめて我を忘れて好きになったひと。
雑誌で見つけたたった一枚の写真しか手掛かりがないその女性が……
手なんか届かくはずがなかった憧れの女性が……
いま……私の目の前ににいる。
奇跡的な出会いを果たしてしまった私の人生は、大きく動き出す……
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
片思いに未練があるのは、私だけになりそうです
珠宮さくら
青春
髙村心陽は、双子の片割れである姉の心音より、先に初恋をした。
その相手は、幼なじみの男の子で、姉の初恋の相手は彼のお兄さんだった。
姉の初恋は、姉自身が見事なまでにぶち壊したが、その初恋の相手の人生までも狂わせるとは思いもしなかった。
そんな心陽の初恋も、片思いが続くことになるのだが……。
樹企画第二弾作品集(Spoon内自主企画)
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらはspoonというアプリで、読み手様個人宛てに書いた作品となりますが、spoonに音声投稿後フリー台本として公開許可を頂いたものをこちらにまとめました。
1:30〜8分ほどで読み切れる作品集です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜
136君
青春
俺に青春など必要ない。
新高校1年生の俺、由良久志はたまたま隣の席になった有田さんと、なんだかんだで同居することに!?
絶対に他には言えない俺の秘密を知ってしまった彼女は、勿論秘密にすることはなく…
本当の思いは自分の奥底に隠して繰り広げる青春ラブコメ!
なろう、カクヨムでも連載中!
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330647702492601
なろう→https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5319hy/
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる