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2年生夏休み
8月31日(水)代筆:桜庭小織
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夏休み42日目。
私にとって今年の夏休みは受験に向けた夏休みであり、思い返すと大半の記憶は塾の教室か自習室の風景になっている。
受験生としては大変素晴らしい状態なので、自分に花丸を付けてあげたい。
それはそれとして、途中には夏祭りへ行ったり、親戚と会ったりしたので、最低限の夏らしいことはできたと思う。
だけど、そんな夏休みの中で私が一番嬉しかったのは、私自身のことではなく、私の親友・清水夢愛が長年抱えていた悩みを解決できたことだ。
夢愛の家族との関係が少し変わっていることは、私も小学校の頃から少しだけ気付いていた。
言い方としては失礼かもしれないけど、夢愛の両親はこの親にしてこの子ありと言えてしまうほど、少々変わっていると感じたからだ。
でも、私はこれまでそれを言及することを避けて来た。
それが原因で夢愛とぎくしゃくするのが嫌だったのと、私が悩みを解決すると過剰に干渉してしまうとわかっていたからだ。
まぁ、結局のところ高校2年生の時にはそれとは関係なく夢愛と喧嘩してしまったわけだけど、私の判断は間違っていないと自信を持って言える。
仮に干渉してしまう私自身、夢愛に対して過保護になり過ぎてしまう自覚があるから碌なころにならなかっただろう。
しかし、悩みを解決しないままだと、夢愛は高校3年生としての進路をまともに決められない。
そこで頼ることになったのは愛すべき後輩の彼だ。
そして、彼は見事に夢愛と程よい距離感を保ちながら、悩みを解決に導いた。
実際のところは彼の母親の活躍が大きかったようだけど、それも彼と夢愛の信頼関係が無ければ起こり得なかったことだと私は思う。
これから夢愛は夏休みを悩んだ分取り返すために少し頑張る必要があるけど、夢愛なら何とかできるはずだ。
そこについては私も全力でサポートするつもりである。
ただ、嬉しい出来事がある一方で、一つだけ悲しい出来事もあった。
それについては……私も今までの経験から予想できたはずなのに、例外的に考えてしまった。
だって、それくらい夢愛が誰かに興味を抱くことが珍しかったから。
夢愛がわざわざ名指しすることに驚いたから。
恐らくそれは見た目は関係なく、波長のようなものが合っていたのだと私は解釈した。
その繋がりが何だか友達以上の存在になっていた気がして、だからこそ私らしかぬ嫉妬を抱いてしまったけど、その時点で私は大きな勘違いをしていた。
でも、夢愛が普通に考えているはずがなかったのだ。
夢愛にとっての彼は確かに友達以上ではあったけど……恋人とかそういうものでは括れる存在ではなくなっていたのだ。
そんな2つの出来事を記しながら、私の一日限りの日記を締めさせて貰う。
私にとって今年の夏休みは受験に向けた夏休みであり、思い返すと大半の記憶は塾の教室か自習室の風景になっている。
受験生としては大変素晴らしい状態なので、自分に花丸を付けてあげたい。
それはそれとして、途中には夏祭りへ行ったり、親戚と会ったりしたので、最低限の夏らしいことはできたと思う。
だけど、そんな夏休みの中で私が一番嬉しかったのは、私自身のことではなく、私の親友・清水夢愛が長年抱えていた悩みを解決できたことだ。
夢愛の家族との関係が少し変わっていることは、私も小学校の頃から少しだけ気付いていた。
言い方としては失礼かもしれないけど、夢愛の両親はこの親にしてこの子ありと言えてしまうほど、少々変わっていると感じたからだ。
でも、私はこれまでそれを言及することを避けて来た。
それが原因で夢愛とぎくしゃくするのが嫌だったのと、私が悩みを解決すると過剰に干渉してしまうとわかっていたからだ。
まぁ、結局のところ高校2年生の時にはそれとは関係なく夢愛と喧嘩してしまったわけだけど、私の判断は間違っていないと自信を持って言える。
仮に干渉してしまう私自身、夢愛に対して過保護になり過ぎてしまう自覚があるから碌なころにならなかっただろう。
しかし、悩みを解決しないままだと、夢愛は高校3年生としての進路をまともに決められない。
そこで頼ることになったのは愛すべき後輩の彼だ。
そして、彼は見事に夢愛と程よい距離感を保ちながら、悩みを解決に導いた。
実際のところは彼の母親の活躍が大きかったようだけど、それも彼と夢愛の信頼関係が無ければ起こり得なかったことだと私は思う。
これから夢愛は夏休みを悩んだ分取り返すために少し頑張る必要があるけど、夢愛なら何とかできるはずだ。
そこについては私も全力でサポートするつもりである。
ただ、嬉しい出来事がある一方で、一つだけ悲しい出来事もあった。
それについては……私も今までの経験から予想できたはずなのに、例外的に考えてしまった。
だって、それくらい夢愛が誰かに興味を抱くことが珍しかったから。
夢愛がわざわざ名指しすることに驚いたから。
恐らくそれは見た目は関係なく、波長のようなものが合っていたのだと私は解釈した。
その繋がりが何だか友達以上の存在になっていた気がして、だからこそ私らしかぬ嫉妬を抱いてしまったけど、その時点で私は大きな勘違いをしていた。
でも、夢愛が普通に考えているはずがなかったのだ。
夢愛にとっての彼は確かに友達以上ではあったけど……恋人とかそういうものでは括れる存在ではなくなっていたのだ。
そんな2つの出来事を記しながら、私の一日限りの日記を締めさせて貰う。
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