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2年生夏休み

8月22日(月)曇り 明莉との夏休みⅡその5

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 夏休み33日目。本日は僕の大きな用事は何もなく、文芸部の創作や塾の追加教科の検討など自由に時間を使っていた。

「りょうちゃんも塾通いかぁ……」

 一方、本日も午前中の部活を終えた明莉はポツリと呟く。

「えっ、まさか……寂しいのか?」

「なんで?」

「……なんでと言われると傷付く」

「そうじゃなくて明莉も何か始めるべきかなぁって。お父さんにもちょっと言われたし」

「行った方がいいって?」

「ううん。あかりにやる気があるならって話」

 小さい頃からそうだったけど、うちの両親は強制的に何か習わせるようなことはしなかった。それがいい事だとは言い切れないけど、僕としては習い事関連で悪い思いをしたことがないからありがたいと言える。
 でも、今の明莉のようにこちらの意思に任せられるので、中途半端に悩んでいる時は困ってしまうこともある。

「担任から成績的に不安があるって言われたなら行った方がいいだろうけど、そうじゃないんだろう?」

「まぁ、うん。でも、やらないよりはやっておいた方がいいという気持ちもある」

「その気持ちはわかるよ」

「ウソだぁ。りょうちゃんは中学の時、何も習ってなかったじゃん」

「そ、そうだけど、一応学校でやってた受験対策の勉強会とかに出てたから……明莉も特に不安が無いならそれで十分だと思うよ」

「そうかなぁ。まぁ、いざとなったらりょうちゃんを臨時家庭教師にする手段があるけど……」

「それならいつでも任せておいて」

「なんか違う気もするんだよね……」

 僕は「なんで!?」とツッコミそうになったけど、何となくわからないでもない。身内に教えられても身に付くとは思うけど、やっぱり本職に教えられた方が安心感がある。

「まぁ、とりあえず部活が終わるまでは保留にしてもいいんじゃないかな? バドミントン部も秋頃に一段落するだろうし、そこから勉強時間を増やすみたいな」

「あっ、そっか。りょうちゃんはこの時期にはもう部活やってなかったんだ! ずるい!」

「ず、ずるくはない。部活に行けばそこにしか得られないものがあるだろう」

「うん。その点ではりょうちゃんは勿体ないことをしたね」

「うっ……ぐうの音も出ない」

「それなら先人のアドバイス通り、部活が終わるまでは保留にしときますかー」

 僕は少しばかり傷付けられたけど、明莉はそれで納得した。

 仮に僕が中学時代に3年の夏休みまで卓球部を続けていたら、受験も含めて現在に何か影響が出ていただろうか。今更言っても仕方ないけど、文芸部を楽しめている今を考えると卓球部も続けていたら何か楽しさを見いだせたのかもしれない。
 だからこそ、色々ある中でも明莉には部活を最後までやり切って欲しいのだ……なんて僕が考えるのは余計なお世話か。今日まで部活をやって来た明莉なら僕以上に充実した3年生を送れているはずだ。
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