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2年生1学期
7月19日(火)雨時々曇り 夢想する岸本路子その11
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土砂降りと曇りを繰り返す火曜日。明日は終業式だから通常の学校としては今日が最終日だ。三連休明けではあるけど、すぐ目の前には夏休みが控えているから、気だるさよりも今日を乗り越える活力に溢れていたような気がする。
そして、文芸部も夏休み前最後の活動になるので、部長である路ちゃんと副部長の僕から改めて夏休み中の活動や諸注意について全体に共有した。
今年の冊子にも短歌の掲載が決定したので、自分の創作と共に短歌も考えなければならないこと。お盆中の活動は停止するけど、それ以外は火曜と金曜に定期活動を行うこと。それ以外の日についても部室が使いたければ各自連絡を取った上で使用して良いこと。
重要な事項はこんなところだ。自分で言いながらも創作面についてはあまり進んでいないので、副部長として面目を保てるように夏休み中に進めなければならない。
「りょ、良助くん」
そんな中、時間は遡って今日の朝。珍しく路ちゃんが僕の席までやって来る。その用事は先ほどの文芸部の打ち合わせ……ではなく、土曜の一件だろうと察せられた。
「えっと……ここで聞かない方がいいかな?」
「ううん。とりあえずの報告になるのだけれど……やっぱり辞めることになったわ」
「……そっか。うん」
路ちゃんの報告に対して、やっぱり良かったとは言えないから僕は頷くしかなかった。
「改めてありがとう。良助くんのおかげで……」
「いや、今回のことは本当に……」
「どしたの? 2人で遠慮合戦して?」
指摘された通りのやり取りをしそうになったところに大山さんが割り込んでくる。その瞬間、僕は大山さんがこの前塾の話を聞いていたことを思い出す。その時から路ちゃんの状況は随分と変わってしまった。
「いやその……」
「亜里沙ちゃん。わたし、塾辞めることになったの」
「ええっ!? そうなの!? そっかぁ……まぁ、合わないこともあるよね。アタシも小学生の頃、習い事合わないーって言って辞めたことあるし」
「うん。だから……心配してくれてありがとう。もう解決したから」
「あー……どういたしまして。余計だったかもしれないケド」
「そんな。わたしは嬉しかったわ」
知らないやり取りが進むので、僕は路ちゃんと大山さんを交互に見てしまう。
「良助くん?」
「何キョトンとしてるの?」
「いや……2人が思ったよりも仲良くなってたんだなぁと思って」
「そりゃあ、うぶクンが知ってることだけじゃないからね。アタシとミチの関係は」
「あ、亜里沙ちゃん。別に隠し事してるとかじゃないかね、良助くん」
「どうかな~ まぁ、うぶクンのおかげで何とかなったみたいだし、良しとしますか」
そう言った大山さんはそのまま路ちゃんと会話をかっさらっていき、路ちゃんも僕へ目で挨拶してからそちらへ流れていった。
あまり楽しい報告ではなかったからその後の空気が心配だったけど、大山さんの介入で僕と路ちゃんは部活でもいつも通りに過ごせた。
何だか助けられっぱなしだから、大山さんには夏休み中に恩返しすべきだし、路ちゃんはひと区切り付いただろうけど、元気になって貰うために夏休みで何かしてあげたい。そう思った日だった。
そして、文芸部も夏休み前最後の活動になるので、部長である路ちゃんと副部長の僕から改めて夏休み中の活動や諸注意について全体に共有した。
今年の冊子にも短歌の掲載が決定したので、自分の創作と共に短歌も考えなければならないこと。お盆中の活動は停止するけど、それ以外は火曜と金曜に定期活動を行うこと。それ以外の日についても部室が使いたければ各自連絡を取った上で使用して良いこと。
重要な事項はこんなところだ。自分で言いながらも創作面についてはあまり進んでいないので、副部長として面目を保てるように夏休み中に進めなければならない。
「りょ、良助くん」
そんな中、時間は遡って今日の朝。珍しく路ちゃんが僕の席までやって来る。その用事は先ほどの文芸部の打ち合わせ……ではなく、土曜の一件だろうと察せられた。
「えっと……ここで聞かない方がいいかな?」
「ううん。とりあえずの報告になるのだけれど……やっぱり辞めることになったわ」
「……そっか。うん」
路ちゃんの報告に対して、やっぱり良かったとは言えないから僕は頷くしかなかった。
「改めてありがとう。良助くんのおかげで……」
「いや、今回のことは本当に……」
「どしたの? 2人で遠慮合戦して?」
指摘された通りのやり取りをしそうになったところに大山さんが割り込んでくる。その瞬間、僕は大山さんがこの前塾の話を聞いていたことを思い出す。その時から路ちゃんの状況は随分と変わってしまった。
「いやその……」
「亜里沙ちゃん。わたし、塾辞めることになったの」
「ええっ!? そうなの!? そっかぁ……まぁ、合わないこともあるよね。アタシも小学生の頃、習い事合わないーって言って辞めたことあるし」
「うん。だから……心配してくれてありがとう。もう解決したから」
「あー……どういたしまして。余計だったかもしれないケド」
「そんな。わたしは嬉しかったわ」
知らないやり取りが進むので、僕は路ちゃんと大山さんを交互に見てしまう。
「良助くん?」
「何キョトンとしてるの?」
「いや……2人が思ったよりも仲良くなってたんだなぁと思って」
「そりゃあ、うぶクンが知ってることだけじゃないからね。アタシとミチの関係は」
「あ、亜里沙ちゃん。別に隠し事してるとかじゃないかね、良助くん」
「どうかな~ まぁ、うぶクンのおかげで何とかなったみたいだし、良しとしますか」
そう言った大山さんはそのまま路ちゃんと会話をかっさらっていき、路ちゃんも僕へ目で挨拶してからそちらへ流れていった。
あまり楽しい報告ではなかったからその後の空気が心配だったけど、大山さんの介入で僕と路ちゃんは部活でもいつも通りに過ごせた。
何だか助けられっぱなしだから、大山さんには夏休み中に恩返しすべきだし、路ちゃんはひと区切り付いただろうけど、元気になって貰うために夏休みで何かしてあげたい。そう思った日だった。
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