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2年生1学期
5月30日(月)曇りのち雨 野島実香との日常その3
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どんよりスタートの月曜日。テストの採点に時間がかかる先生も今日明日辺りには返却されるので、本当の意味で中間テストのひと区切りとなる。
「産賀くん! さっきの化学のテスト何点だった?」
「83点だった」
「ぐえー! また負けたぁ……」
そんな中、席替えしてからの席もそろそろ馴染んでくる頃だった。野島さんとはそこそこ話す方ではあったけど、こんな風にがっつりと絡むのは1年生の席が近かった時以来な気がする。
「何点だったの?」
「えっ。それ聞いちゃうんですか? 負けたってことだから82点以下ってことで良くないですか?」
「だって、他のテストでは教えてくれてたじゃない?」
「……58点です」
「あー……」
「ほら、教えたら憐れみの眼で見てくるじゃん!」
フォローをしておくと化学の点数少し奮わなかっただけで、他の教科については全然悪くない点数だった。
でも、自分から聞いておいてこの展開になったので、僕は憐れみとも取られるような反応をしてしまったのだ。
「というか、今のところ一教科も勝っているものがないんですけど……かなしみ」
「ま、まぁ、まだ返って来てないテストあるから」
「慰めはいいの。そういえば1年生の時も優秀な生徒だったもんね、産賀くん……」
「そこまで持ち上げられるほどのものじゃないよ」
「うーん……じゃあ、産賀くんの弱点を教えてくれない? 今度それ使って勝利を収めるから」
「なんて爽やかにひどいこと言うんだ」
「それは冗談だとしても1つくらい弱点あるよね?」
「いや、むしろ弱点だらけだと思う」
「たとえば?」
冗談という話で終わると思ったけど、野島さんは逃がさないという目で見てくる。これで本当に弱点を晒し過ぎたら不都合が起きる可能性もあるので、僕は慎重に考えながら喋りだす。
「学校の教科でならコミュ英語は苦手かな」
「でも、私より点数高かったよね?」
「それはまぁ……僕の中の苦手だから。もっと明確に苦手なのは体育」
「言われてみると産賀くんが動けるイメージは……いや、体育祭の部活対抗リレーで走ってなかったっけ?」
「あれは数合わせみたいなもんだし、走るのは良くてもスポーツ全般が駄目な感じなんだ」
「へー じゃあ、球技大会とかも苦手なんだ。私はこう見えて結構動ける方だからスポーツなら勝てそう」
「そうなの? 茶道部だからインドア派だと思ってた」
「まぁ、そういうイメージはあるよね。ちなみに去年のシャトルランは何回いけた?」
「……55回です」
「ふっ……私は68回」
野島さんは勝ち誇った笑顔を見せてくる。いつもならシャトルランの回数なんて忘れてるはずなのに前回はゾロ目で終わったせいで頭に残っていた。ちなみに1年生のクラスだと3番目の脱落者で、男子の平均値を下げるのに貢献している。
「つまるところ産賀くんは体力があんまりないってことなんだ。それでちょっと走るだけのリレーなら大丈夫だったんだ」
「いや、実際リレーの時もめちゃくちゃ疲れてたよ。できればやりたくない」
「でも、今年も出ることになるんじゃないの?」
「……たぶんそう」
「ふふっ。まぁ、私としては産賀くんにも弱点があって安心したよ。同じ人間で良かった」
「そ、そうっすか」
野島さんはそれで満足したようなので、そこから話は別の方向に行ったけれど、僕としてはどう反応していいかわからなかった。
野島さんの気持ちを汲み取るならば、あまりに超人的過ぎると話しづらくなってしまうから、できないところがある方が可愛げがある……ということなのだろうか。
それともいざ毎日話すとなると、僕と共有できるような話題がないから何とか話題を捻出してくれている可能性もある。
まぁ、どんな意図があるにしても悪い印象でないのなら良しとしておこう。
「産賀くん! さっきの化学のテスト何点だった?」
「83点だった」
「ぐえー! また負けたぁ……」
そんな中、席替えしてからの席もそろそろ馴染んでくる頃だった。野島さんとはそこそこ話す方ではあったけど、こんな風にがっつりと絡むのは1年生の席が近かった時以来な気がする。
「何点だったの?」
「えっ。それ聞いちゃうんですか? 負けたってことだから82点以下ってことで良くないですか?」
「だって、他のテストでは教えてくれてたじゃない?」
「……58点です」
「あー……」
「ほら、教えたら憐れみの眼で見てくるじゃん!」
フォローをしておくと化学の点数少し奮わなかっただけで、他の教科については全然悪くない点数だった。
でも、自分から聞いておいてこの展開になったので、僕は憐れみとも取られるような反応をしてしまったのだ。
「というか、今のところ一教科も勝っているものがないんですけど……かなしみ」
「ま、まぁ、まだ返って来てないテストあるから」
「慰めはいいの。そういえば1年生の時も優秀な生徒だったもんね、産賀くん……」
「そこまで持ち上げられるほどのものじゃないよ」
「うーん……じゃあ、産賀くんの弱点を教えてくれない? 今度それ使って勝利を収めるから」
「なんて爽やかにひどいこと言うんだ」
「それは冗談だとしても1つくらい弱点あるよね?」
「いや、むしろ弱点だらけだと思う」
「たとえば?」
冗談という話で終わると思ったけど、野島さんは逃がさないという目で見てくる。これで本当に弱点を晒し過ぎたら不都合が起きる可能性もあるので、僕は慎重に考えながら喋りだす。
「学校の教科でならコミュ英語は苦手かな」
「でも、私より点数高かったよね?」
「それはまぁ……僕の中の苦手だから。もっと明確に苦手なのは体育」
「言われてみると産賀くんが動けるイメージは……いや、体育祭の部活対抗リレーで走ってなかったっけ?」
「あれは数合わせみたいなもんだし、走るのは良くてもスポーツ全般が駄目な感じなんだ」
「へー じゃあ、球技大会とかも苦手なんだ。私はこう見えて結構動ける方だからスポーツなら勝てそう」
「そうなの? 茶道部だからインドア派だと思ってた」
「まぁ、そういうイメージはあるよね。ちなみに去年のシャトルランは何回いけた?」
「……55回です」
「ふっ……私は68回」
野島さんは勝ち誇った笑顔を見せてくる。いつもならシャトルランの回数なんて忘れてるはずなのに前回はゾロ目で終わったせいで頭に残っていた。ちなみに1年生のクラスだと3番目の脱落者で、男子の平均値を下げるのに貢献している。
「つまるところ産賀くんは体力があんまりないってことなんだ。それでちょっと走るだけのリレーなら大丈夫だったんだ」
「いや、実際リレーの時もめちゃくちゃ疲れてたよ。できればやりたくない」
「でも、今年も出ることになるんじゃないの?」
「……たぶんそう」
「ふふっ。まぁ、私としては産賀くんにも弱点があって安心したよ。同じ人間で良かった」
「そ、そうっすか」
野島さんはそれで満足したようなので、そこから話は別の方向に行ったけれど、僕としてはどう反応していいかわからなかった。
野島さんの気持ちを汲み取るならば、あまりに超人的過ぎると話しづらくなってしまうから、できないところがある方が可愛げがある……ということなのだろうか。
それともいざ毎日話すとなると、僕と共有できるような話題がないから何とか話題を捻出してくれている可能性もある。
まぁ、どんな意図があるにしても悪い印象でないのなら良しとしておこう。
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