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2年生1学期
5月27日(金)晴れ 後輩との日常・岸元日葵の場合その3
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5月最後の金曜日。本日は久しぶりの文芸部の活動日だ。運動部はここから夏の総体に向けて忙しくなるところもあるらしいけど、うちの部活に関しては夏休み明けまでは比較的のんびりと過ごせる。
「産賀センパイ、聞きましたよ! 青蘭にだけジュースおごったって!」
「産賀先輩、どうして俺を呼んでくれなかったんですか!?」
そんなのんびり感の中、僕は日葵さんと桐山くんに責められていた。先週の図書館の件は結局、姫宮さんの口からこぼれてしまったようだ。
「本当にたまたま会っただけなんだ。それで財布忘れたから仕方なく……」
「嫌々だったんですか。ショックです」
「産賀先輩! 姫宮さんが悲しんでるじゃないですかぁ!」
「いや、嫌々とはひと言も言ってないんだけど……」
「贔屓は良くないと思います! ひまりも今日喉が渇く予定なので何かおごってください! 財布は忘れてませんけど!」
「こら、みんな。産賀さんを困らせないの」
そう言ってくれたのは唯一僕をいじっていない伊月さんだった。すると、3人は素直に従って絡みを止める。
もしも伊月さんが元から知り合いじゃなかったら部活内の僕の立場はもっと大変なことになっていたかもしれない。
「ウーブくん、すっかり愛されキャラだね~」
その状況をひとしきり楽しんだ後、森本先輩はそう言う。
「そうだといいんですけど」
「親しみやすい先輩っていうのも大事だと思うよー あたしも親しみやすさ全振りで部長やってたしー」
「全振りだったのかはわかりませんが、森本先輩は確かに親しみやすかったです」
「森ちゃんセンパイが部長時代はどんな感じだったんですか?」
そう言いながら日葵さんは自然に会話に混ざっていく。最初に会った時からわかっていたけど、日葵さんも松永や大山さんのようなコミュ力強者だ。
「ウーブくんはどんな感じに見えてたー?」
「普段はゆったりしてますけど、大事なところはビシッと教えたり決めたりしてくれる印象でした」
「おー 高評価ありがとうございまーす」
「へ~ じゃあ、ミチ部長とは違う感じだったんですね」
「日葵ちゃん的に現部長はどんな風に見えてるのー?」
「なんていうか、部長っぽい部長ですね。真面目、誠実、お手本通り的な」
日葵さんは恐らく悪く言ったつもりではないんだろうけど、少し離れた位置にいた路ちゃんは肩をビクつかせる。雑談中に1年生から的にされやすいの僕の方だから、路ちゃんは普段のミーティングや座学の時の印象が強いのかもしれない。
「ほー でも、路ちゃん部長も茶目っ気あるよねー、ウーブくん?」
「えっ? あっ、はい! もちろん!」
突然のパスに僕は戸惑ってしまうけど、森本先輩は少し笑っているので完全に狙ったものだった。
「えー? どういう茶目っ気ですか?」
「それはその……時々意図しないで面白発言するところとか」
「おー、意外と天然な感じなんですね」
「い、いや、天然とまではいかないと思うよ。本人は真面目に言ってるけど、ちょっとシュールになっちゃうことがある感じで」
「それ、具体的なエピソードがあるんじゃないですか? 教えてくださいよ~」
「あたしも知りたいなー 2人で話してる時はなるべく聞き耳立てないようにしてたからあんまり知らないしー」
日葵さんと森本先輩はいつの間にか結託して詰め寄ってくる。僕はこの状況を何とかして貰うために路ちゃんの方に目線を向けて助けを求める。
しかし、その瞬間、路ちゃんは立ち上がった。
「す、すみません……お花を詰みに行ってきます」
そんなことは普段報告していないので、それは実質的に路ちゃんからのメッセージだったのだろう。わたしは助けられないと。
それから日葵さんと森本先輩からの質問を答えられる範囲で回答していって、終わる頃にはものすごく疲れていた。
たとえ部活で先輩になっても クラスと同じように根本的な立ち位置は変えられないんだなぁと僕は思った。
「産賀センパイ、聞きましたよ! 青蘭にだけジュースおごったって!」
「産賀先輩、どうして俺を呼んでくれなかったんですか!?」
そんなのんびり感の中、僕は日葵さんと桐山くんに責められていた。先週の図書館の件は結局、姫宮さんの口からこぼれてしまったようだ。
「本当にたまたま会っただけなんだ。それで財布忘れたから仕方なく……」
「嫌々だったんですか。ショックです」
「産賀先輩! 姫宮さんが悲しんでるじゃないですかぁ!」
「いや、嫌々とはひと言も言ってないんだけど……」
「贔屓は良くないと思います! ひまりも今日喉が渇く予定なので何かおごってください! 財布は忘れてませんけど!」
「こら、みんな。産賀さんを困らせないの」
そう言ってくれたのは唯一僕をいじっていない伊月さんだった。すると、3人は素直に従って絡みを止める。
もしも伊月さんが元から知り合いじゃなかったら部活内の僕の立場はもっと大変なことになっていたかもしれない。
「ウーブくん、すっかり愛されキャラだね~」
その状況をひとしきり楽しんだ後、森本先輩はそう言う。
「そうだといいんですけど」
「親しみやすい先輩っていうのも大事だと思うよー あたしも親しみやすさ全振りで部長やってたしー」
「全振りだったのかはわかりませんが、森本先輩は確かに親しみやすかったです」
「森ちゃんセンパイが部長時代はどんな感じだったんですか?」
そう言いながら日葵さんは自然に会話に混ざっていく。最初に会った時からわかっていたけど、日葵さんも松永や大山さんのようなコミュ力強者だ。
「ウーブくんはどんな感じに見えてたー?」
「普段はゆったりしてますけど、大事なところはビシッと教えたり決めたりしてくれる印象でした」
「おー 高評価ありがとうございまーす」
「へ~ じゃあ、ミチ部長とは違う感じだったんですね」
「日葵ちゃん的に現部長はどんな風に見えてるのー?」
「なんていうか、部長っぽい部長ですね。真面目、誠実、お手本通り的な」
日葵さんは恐らく悪く言ったつもりではないんだろうけど、少し離れた位置にいた路ちゃんは肩をビクつかせる。雑談中に1年生から的にされやすいの僕の方だから、路ちゃんは普段のミーティングや座学の時の印象が強いのかもしれない。
「ほー でも、路ちゃん部長も茶目っ気あるよねー、ウーブくん?」
「えっ? あっ、はい! もちろん!」
突然のパスに僕は戸惑ってしまうけど、森本先輩は少し笑っているので完全に狙ったものだった。
「えー? どういう茶目っ気ですか?」
「それはその……時々意図しないで面白発言するところとか」
「おー、意外と天然な感じなんですね」
「い、いや、天然とまではいかないと思うよ。本人は真面目に言ってるけど、ちょっとシュールになっちゃうことがある感じで」
「それ、具体的なエピソードがあるんじゃないですか? 教えてくださいよ~」
「あたしも知りたいなー 2人で話してる時はなるべく聞き耳立てないようにしてたからあんまり知らないしー」
日葵さんと森本先輩はいつの間にか結託して詰め寄ってくる。僕はこの状況を何とかして貰うために路ちゃんの方に目線を向けて助けを求める。
しかし、その瞬間、路ちゃんは立ち上がった。
「す、すみません……お花を詰みに行ってきます」
そんなことは普段報告していないので、それは実質的に路ちゃんからのメッセージだったのだろう。わたしは助けられないと。
それから日葵さんと森本先輩からの質問を答えられる範囲で回答していって、終わる頃にはものすごく疲れていた。
たとえ部活で先輩になっても クラスと同じように根本的な立ち位置は変えられないんだなぁと僕は思った。
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