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2年生1学期
4月28日(木)晴れ 花園華凛との日常その13
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連休前の木曜日。一応、来週の月曜日と金曜日に学校があるけれど、その日を休みにしてしまってどこかへ出かける人もいるらしい。
そうなると、7連休もしくは10連休になるのですっかり気が抜けてしまいそうだ。
そんな生徒たちに活を入れるように、今日の授業では宿題が出されたり、勉強も忘れないようにと忠告されたりすることが多かった。
でも、今日印象に残ったのは宿題や勉強のことではなかった。
「リョウスケ、放課後に時間はありますか?」
花園さんにそう聞かれたのは登校してからすぐのことだった。僕は頷いて返したけれど、花園さんから言われる放課後の用事がその時点では思い付いていなかった。
そして、授業を終えた放課後。花園さんの席まで行くと、
「とりあえず適当な場所へ行きましょう」
言うので、花園さんと一緒に教室を出て暫く歩くと、自然に1階の中庭まで来ていた。
「もしかして……誰かに聞かれない方がいい話?」
「なるべくはそうです。まぁ、ここならいいでしょう。リョウスケ、単刀直入に聞きますが、最近ミチちゃんと話していますか?」
「えっ? もちろん話してるよ。今は席が近いから毎日朝と帰りに挨拶するし」
「挨拶だけですか?」
「いや、他にも部活で話すよ」
「その時、話している内容は?」
「内容って……部長と副部長になったから新入部員に関する話や今後の予定の話になるかな」
「それ以外は?」
「……花園さん、何が聞きたいの?」
何か試されているような気がしてしまったので僕は思わず聞いてしまう。すると、花園さんは少しため息をついた。
「ミチちゃん、GW明けから塾に通うそうです」
「そうなの!? 塾かぁ……文芸部の先輩も通ってるけど、部長やりながらだとかなり大変だ」
「……つまり、塾に通うという話は今日まで聞いてなかったのですね」
「あっ……そ、そうなるけど、最近の話じゃないの?」
「いいえ。華凛がこの話を聞いたのは約二週間ほど前です」
花園さんは呆れた顔でそう言う。それに対して僕は驚くと同時に花園さんが言いたいことが何となくわかってきた。
「僕、岸本さんと必要最低限の話しかしてないかも……」
「それです。何が話している、ですか。部活の話なんて仕事のようなものでしょうに」
「言われるまで全然気付かなかった。ということは、岸本さんがそれを気にして……?」
「直接的に言われたわけではありませんが、やんわりと伝わってきました」
「そうだったんだ。ありがとう。わざわざ教えてくれて」
「華凛が聞きたいのはお礼ではありません。これからどうするかです」
花園さんは僕の方に迫りながら言う。
「ど、どう……すればいいんでしょうか」
「簡単なことです。リョウスケから遊びに誘ってください」
「そう……なろうか。うん、考えておくよ」
「いいえ。今決めてください」
「なんで!? 心配してくれるのはありがたいけど、今すぐ決めるのは……」
「心配もしていますが、それ以上に少し苛立っています。せっかく同じクラスになったというのにリョウスケはミチちゃんのことをこんなにも気に留めていなかったことに」
「それは……本当に申し訳ない。えっと……花園さんのとこの和菓子屋に行くとか……どう?」
「いつですか?」
「岸本さんの都合もあるからわからないけど……この土日のどちらかに誘ってみる」
「わかりました。華凛もそのつもりで待機しています」
花園さんの勢いに押されるまま僕はそう言ってしまった。
どうして花園さんがそこまで気にかけるのか真意がわからないけど、指摘された通り最近の僕は岸本さんと日常的な会話をしていなかった。
クラスにいる時は大倉くんを始めとした男子と絡んでいることが多いし、席の近くだとどちらかと言えば大山さんと話してしまう。
大山さんに巻き込まれる形で岸本さんも喋ったこともあったけど、それで会話できていると思い込んでいた。
「……すみません、リョウスケ。つい熱くなってしまいました」
「ううん。花園さんが言ってくれなかったら本当に気付けなかったから」
「華凛ができるのはこんなことくらいです。あっ、誘うときは華凛から聞いたことは言わないように。ミチちゃんもその方が嬉しいと思うので」
「わかったよ」
直近で松永から言われたことでもあるけど、僕は自分から働きかけないくせに友人関係はいつまでも続くと思ってしまうところがある。
それが岸本さんの場合だと、松永のように来てくれるタイプじゃないから少し距離を感じさせてしまったのかもしれない。
気付かなかったことは反省するとして、これからは岸本さんにも積極的に話すように心がけようとおもった。
そうなると、7連休もしくは10連休になるのですっかり気が抜けてしまいそうだ。
そんな生徒たちに活を入れるように、今日の授業では宿題が出されたり、勉強も忘れないようにと忠告されたりすることが多かった。
でも、今日印象に残ったのは宿題や勉強のことではなかった。
「リョウスケ、放課後に時間はありますか?」
花園さんにそう聞かれたのは登校してからすぐのことだった。僕は頷いて返したけれど、花園さんから言われる放課後の用事がその時点では思い付いていなかった。
そして、授業を終えた放課後。花園さんの席まで行くと、
「とりあえず適当な場所へ行きましょう」
言うので、花園さんと一緒に教室を出て暫く歩くと、自然に1階の中庭まで来ていた。
「もしかして……誰かに聞かれない方がいい話?」
「なるべくはそうです。まぁ、ここならいいでしょう。リョウスケ、単刀直入に聞きますが、最近ミチちゃんと話していますか?」
「えっ? もちろん話してるよ。今は席が近いから毎日朝と帰りに挨拶するし」
「挨拶だけですか?」
「いや、他にも部活で話すよ」
「その時、話している内容は?」
「内容って……部長と副部長になったから新入部員に関する話や今後の予定の話になるかな」
「それ以外は?」
「……花園さん、何が聞きたいの?」
何か試されているような気がしてしまったので僕は思わず聞いてしまう。すると、花園さんは少しため息をついた。
「ミチちゃん、GW明けから塾に通うそうです」
「そうなの!? 塾かぁ……文芸部の先輩も通ってるけど、部長やりながらだとかなり大変だ」
「……つまり、塾に通うという話は今日まで聞いてなかったのですね」
「あっ……そ、そうなるけど、最近の話じゃないの?」
「いいえ。華凛がこの話を聞いたのは約二週間ほど前です」
花園さんは呆れた顔でそう言う。それに対して僕は驚くと同時に花園さんが言いたいことが何となくわかってきた。
「僕、岸本さんと必要最低限の話しかしてないかも……」
「それです。何が話している、ですか。部活の話なんて仕事のようなものでしょうに」
「言われるまで全然気付かなかった。ということは、岸本さんがそれを気にして……?」
「直接的に言われたわけではありませんが、やんわりと伝わってきました」
「そうだったんだ。ありがとう。わざわざ教えてくれて」
「華凛が聞きたいのはお礼ではありません。これからどうするかです」
花園さんは僕の方に迫りながら言う。
「ど、どう……すればいいんでしょうか」
「簡単なことです。リョウスケから遊びに誘ってください」
「そう……なろうか。うん、考えておくよ」
「いいえ。今決めてください」
「なんで!? 心配してくれるのはありがたいけど、今すぐ決めるのは……」
「心配もしていますが、それ以上に少し苛立っています。せっかく同じクラスになったというのにリョウスケはミチちゃんのことをこんなにも気に留めていなかったことに」
「それは……本当に申し訳ない。えっと……花園さんのとこの和菓子屋に行くとか……どう?」
「いつですか?」
「岸本さんの都合もあるからわからないけど……この土日のどちらかに誘ってみる」
「わかりました。華凛もそのつもりで待機しています」
花園さんの勢いに押されるまま僕はそう言ってしまった。
どうして花園さんがそこまで気にかけるのか真意がわからないけど、指摘された通り最近の僕は岸本さんと日常的な会話をしていなかった。
クラスにいる時は大倉くんを始めとした男子と絡んでいることが多いし、席の近くだとどちらかと言えば大山さんと話してしまう。
大山さんに巻き込まれる形で岸本さんも喋ったこともあったけど、それで会話できていると思い込んでいた。
「……すみません、リョウスケ。つい熱くなってしまいました」
「ううん。花園さんが言ってくれなかったら本当に気付けなかったから」
「華凛ができるのはこんなことくらいです。あっ、誘うときは華凛から聞いたことは言わないように。ミチちゃんもその方が嬉しいと思うので」
「わかったよ」
直近で松永から言われたことでもあるけど、僕は自分から働きかけないくせに友人関係はいつまでも続くと思ってしまうところがある。
それが岸本さんの場合だと、松永のように来てくれるタイプじゃないから少し距離を感じさせてしまったのかもしれない。
気付かなかったことは反省するとして、これからは岸本さんにも積極的に話すように心がけようとおもった。
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