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2年生1学期
4月12日(火)晴れ 停滞する清水夢愛
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1年生が宿泊研修から帰還する火曜日。明日も普通に授業があるのは自分の時もなかなか大変だと思ったけど、学校が決めていることだから仕方ない。きっとここで休みを挟むよりは続けてやった方がクラスに馴染みやすいとか、そういう理由だろう。
そんな風にまた1年生の行事の方へ意識が行ってしまう3時間目の休み時間。今日は母さんがお弁当を作れなかったので、久しぶりに購買へ足を運んだ時だった。
「むぅ……」
僕が春休み中に一番会ったと言っても過言ではない清水先輩と遭遇する。でも、3年生になってから出会うのは今日が初めてだった。
購買の窓口を睨み付けながら悩んでいる光景は何だか懐かしい。
「何買うか迷ってるんですか?」
「おお、良助か。そうなんだよ。新学期になっても特にラインナップは変わらなくてな」
「やっぱり生徒総会で通らないと駄目なんですかね。自販機はちゃんと新しいやつ入ってましたし」
「こうなったら小織に直談判するしかないか」
「桜庭先輩にそれを決定する権力はないと思いますけど……」
現副会長の顔を思い浮かべながら僕はそう言うけど……なぜだろう。清水先輩が頼んだらワンチャンス動く可能性があるような気もする。
「それよりも良助が来るのは珍しいな。購買には滅多に来ないのに」
「基本は弁当ですからね。だから、今日は結構楽しみにしてたんですよ。僕にとってはどれも新鮮ですから」
「……よし。じゃあ、良助と同じやつを買おう」
「えっ……それ責任重大じゃないですか」
「いやいや、私が合わせるんだから文句は言わない。基本的に食べられないものはないし」
清水先輩はそう言いながら僕の背中を押してくる。だけど、清水先輩の昼食までかかってくると、僕も気軽には選べない。残念ながらそういう性格なのだ。
あまり悩んでも購買の人に迷惑をかけてしまうので、僕は清水先輩の食についてすぐに思い返す。
他人に任せてしまうくらいにはこだわりがない人なんだけど、甘すぎるやつはそんなに好きじゃないと言っていた……けど、シュークリームとかは普通に食べていたので、大げさに言うほどじゃないのだろう。現に僕が作ったげんこつドーナツは問題なく食べている。
逆に毎回美味しいと言っていたのはコンビニのフライドチキンだ。となると、自分で好きだとは思ってないけど、案外ジャンク系に惹かれるのかもしれない。
そこから導き出される答えは……
「焼きそばパンとウィンナーロールを一つずつください」
まぁ、色々考えた割には惣菜パンという無難な選択になってしまった。でも、それ以外だとメロンパンやクリームパンになってしまうのであまり良くない。
「良助、2つで足りるのか?」
宣言通り同じものを買ってきた清水先輩は待っていた僕に向けて言う。
「あー……たぶん大丈夫です。パンって意外とボリュームありますし。清水先輩はパン買うときはどれくらい買うんです?」
「大抵1個かな」
「す、すみません。多めに買わせちゃって」
「なんで良助が謝るんだ。私が聞いたのは良助が私に合わせて買ったんじゃないかと思ったからだぞ。ほら、男の子は食べ盛りだし」
「その理屈、前にも聞きましたけど、僕はそんなに食べるタイプじゃないので」
「そうかそうか。まぁ、心配しなくても2個くらい食べられる。今日は良助の顔を思い浮かべながら昼食を取るとしよう」
「なっ……!?」
「えっ? そのために合わせて買ったんだが」
清水先輩は何か悪いことをしたのかという表情で見てくるので、僕は首を横に振った。
こうして、今日の昼食は清水先輩と同じものを食べる……じゃなくて、清水先輩が同じものを食べることになったけど、3年生になっても相変わらず無意識に出される発言には注意しようと思った。
そんな風にまた1年生の行事の方へ意識が行ってしまう3時間目の休み時間。今日は母さんがお弁当を作れなかったので、久しぶりに購買へ足を運んだ時だった。
「むぅ……」
僕が春休み中に一番会ったと言っても過言ではない清水先輩と遭遇する。でも、3年生になってから出会うのは今日が初めてだった。
購買の窓口を睨み付けながら悩んでいる光景は何だか懐かしい。
「何買うか迷ってるんですか?」
「おお、良助か。そうなんだよ。新学期になっても特にラインナップは変わらなくてな」
「やっぱり生徒総会で通らないと駄目なんですかね。自販機はちゃんと新しいやつ入ってましたし」
「こうなったら小織に直談判するしかないか」
「桜庭先輩にそれを決定する権力はないと思いますけど……」
現副会長の顔を思い浮かべながら僕はそう言うけど……なぜだろう。清水先輩が頼んだらワンチャンス動く可能性があるような気もする。
「それよりも良助が来るのは珍しいな。購買には滅多に来ないのに」
「基本は弁当ですからね。だから、今日は結構楽しみにしてたんですよ。僕にとってはどれも新鮮ですから」
「……よし。じゃあ、良助と同じやつを買おう」
「えっ……それ責任重大じゃないですか」
「いやいや、私が合わせるんだから文句は言わない。基本的に食べられないものはないし」
清水先輩はそう言いながら僕の背中を押してくる。だけど、清水先輩の昼食までかかってくると、僕も気軽には選べない。残念ながらそういう性格なのだ。
あまり悩んでも購買の人に迷惑をかけてしまうので、僕は清水先輩の食についてすぐに思い返す。
他人に任せてしまうくらいにはこだわりがない人なんだけど、甘すぎるやつはそんなに好きじゃないと言っていた……けど、シュークリームとかは普通に食べていたので、大げさに言うほどじゃないのだろう。現に僕が作ったげんこつドーナツは問題なく食べている。
逆に毎回美味しいと言っていたのはコンビニのフライドチキンだ。となると、自分で好きだとは思ってないけど、案外ジャンク系に惹かれるのかもしれない。
そこから導き出される答えは……
「焼きそばパンとウィンナーロールを一つずつください」
まぁ、色々考えた割には惣菜パンという無難な選択になってしまった。でも、それ以外だとメロンパンやクリームパンになってしまうのであまり良くない。
「良助、2つで足りるのか?」
宣言通り同じものを買ってきた清水先輩は待っていた僕に向けて言う。
「あー……たぶん大丈夫です。パンって意外とボリュームありますし。清水先輩はパン買うときはどれくらい買うんです?」
「大抵1個かな」
「す、すみません。多めに買わせちゃって」
「なんで良助が謝るんだ。私が聞いたのは良助が私に合わせて買ったんじゃないかと思ったからだぞ。ほら、男の子は食べ盛りだし」
「その理屈、前にも聞きましたけど、僕はそんなに食べるタイプじゃないので」
「そうかそうか。まぁ、心配しなくても2個くらい食べられる。今日は良助の顔を思い浮かべながら昼食を取るとしよう」
「なっ……!?」
「えっ? そのために合わせて買ったんだが」
清水先輩は何か悪いことをしたのかという表情で見てくるので、僕は首を横に振った。
こうして、今日の昼食は清水先輩と同じものを食べる……じゃなくて、清水先輩が同じものを食べることになったけど、3年生になっても相変わらず無意識に出される発言には注意しようと思った。
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