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2年生1学期
4月5日(火)晴れ 恒例と衝撃のクラス分け
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2年生初日の始業式。この日は松永と一緒に登校することになった。今日やること自体は式と明日の入学式へ向けた掃除だけなので、休み気分がまだ抜けない初日にはありがたい内容だ。
だからといって、今日が気楽かと言えばそうではなく、新しいクラス分けがどうなるのかというドキドキがあるので、何となく落ち着かない気分だった。
「まぁ、今までもそんな過ごしづらいクラスになったことないから大丈夫でしょ。あるとしたら……担任がどうなるかくらい?」
「松永は苦手な先生いるの?」
「いないけど……普段寝そうになる授業の先生だと気まずいかも」
「それは寝る方が悪いじゃん」
そんな会話をしつつ学校に到着すると、下駄箱前に設置された掲示物に多くの生徒が集まっていた。恐らくクラス分けが気になって少し早めに登校した人もいるからだろう。
僕と松永も駐輪場に自転車を置いてからそこへ向かい、2年生のクラス分けに目を通していく。僕は掲載されるとしたら上の方に名前があるから比較的すぐに見つけられた。
「僕は3組だ。松永は名前見つかった?」
「りょーちゃん……俺、4組……」
「別のクラスか。それじゃあ……」
「それだけ!? もっと寂しいとか悲しいとかないの!?」
「いや、それでいったら小中も別に全部同じクラスだったわけじゃないし……」
「そうだとしてもサラッと流し過ぎでしょ! さっきまで不安な感じだったのに」
それはその通りなのだけど、僕は自分の名前を見つけると同時にその次の名前が大倉伴憲であることがわかったからすぐにホッとできたのだ。そのせいで松永には塩対応っぽくなってしまったけど。
「わかったわかった。松永が同じクラスじゃなかったのは残念だよ」
「なんか言わせたみたいになってるんだけど……まぁ、いいか。ちなみにぽんちゃんも4組だった」
「へぇー 大倉くんは3組みたいだし、言い方はアレだけど分断された感じか」
「休み時間とか遊びに行くから! 絶対に!」
「そんな大袈裟な……」
先ほどはクラス分けなんて気にしていない風だったけど、本当は松永もどうなるか気になっていたのかもしれない。とりあえず本田くんが一緒にいるなら僕としては安心できる。本田くんの苦労は別として。
松永と別れてから4組の教室に入った僕は、自分の席を確認して腰を下ろす。今年は窓側の前から3番目と少し前寄りになったけど、大まかな位置で考えれば恒例の位置取りだった。
それから、他に知り合いがいないだろうかと、僕が教室内を見回そうとした……その時だった。
「あっ、うぶクン!」
「産賀くん、おは……えっ?」
耳馴染んだ呼ばれ方と少し遅れてよく聞いた声が僕のことを呼んだので振り向くと、大山さんと岸本さんがお互いに見つめ合っていた。
「あれ? この子もうぶクンの知り合い?」
「あっ、えっと……すみません」
「いやいや、アタシこそ邪魔したみたいでゴメンね。あっ、アタシは大山亜里沙で……おお! 後ろの席の岸本さん?」
「な、なんでわたしの名前を……!?」
「さっき名簿で見て前後誰か見といたんだー よろしくね!」
「よ、よろし……う、産賀くん……!」
容量オーバーしたのか岸本さんは僕に助けを求めてきた。しかし、教室で岸本さんにそうされるのは初めてのことだったので、僕も無駄にあたふたしてしまう。
「ほー 二人は結構仲が良く見えるケド……」
「ぶ、文芸部なんだ、岸本さんも。ほら、文化祭の時に会ったことある……はずでしょ?」
「マジ!? ゴメン、岸本さん。アタシすっかり忘れて初対面みたいなことを……」
「い、いえ。わたしは……その、あんまり目立ってなかったと思うので……むしろわたしも初対面だと思ってました」
「そうなの? なら、良かったー それにしても岸本さんがもう一人の部員さんだったんだ。ていうことは、うぶクンとクラスまで一緒になるって凄い偶然!? そもそもうぶクンも2年連続で最初の席が隣だし、結構ヤバくない!?」
大山さんがイベント事でテンションが上がるタイプなので、この新しいクラスになった今日は、僕が知る限りで今年一番のテンションだった。
一方、それを僕と共に浴びている岸本さんは戦闘不能になりそうな感じで、フラフラとしている。
「あっ、大倉くんも一緒のクラスじゃん! おひさー!」
「お、大山さん、どうも。えっと……産賀くん、この状況はいったい?」
「……僕もわからないよ」
こうして、2年4組の学校生活は結構顔見知りが多い人に囲まれながらスタートすることになった。暫くは松永いなくても騒がしくて退屈しないことだろう。
だからといって、今日が気楽かと言えばそうではなく、新しいクラス分けがどうなるのかというドキドキがあるので、何となく落ち着かない気分だった。
「まぁ、今までもそんな過ごしづらいクラスになったことないから大丈夫でしょ。あるとしたら……担任がどうなるかくらい?」
「松永は苦手な先生いるの?」
「いないけど……普段寝そうになる授業の先生だと気まずいかも」
「それは寝る方が悪いじゃん」
そんな会話をしつつ学校に到着すると、下駄箱前に設置された掲示物に多くの生徒が集まっていた。恐らくクラス分けが気になって少し早めに登校した人もいるからだろう。
僕と松永も駐輪場に自転車を置いてからそこへ向かい、2年生のクラス分けに目を通していく。僕は掲載されるとしたら上の方に名前があるから比較的すぐに見つけられた。
「僕は3組だ。松永は名前見つかった?」
「りょーちゃん……俺、4組……」
「別のクラスか。それじゃあ……」
「それだけ!? もっと寂しいとか悲しいとかないの!?」
「いや、それでいったら小中も別に全部同じクラスだったわけじゃないし……」
「そうだとしてもサラッと流し過ぎでしょ! さっきまで不安な感じだったのに」
それはその通りなのだけど、僕は自分の名前を見つけると同時にその次の名前が大倉伴憲であることがわかったからすぐにホッとできたのだ。そのせいで松永には塩対応っぽくなってしまったけど。
「わかったわかった。松永が同じクラスじゃなかったのは残念だよ」
「なんか言わせたみたいになってるんだけど……まぁ、いいか。ちなみにぽんちゃんも4組だった」
「へぇー 大倉くんは3組みたいだし、言い方はアレだけど分断された感じか」
「休み時間とか遊びに行くから! 絶対に!」
「そんな大袈裟な……」
先ほどはクラス分けなんて気にしていない風だったけど、本当は松永もどうなるか気になっていたのかもしれない。とりあえず本田くんが一緒にいるなら僕としては安心できる。本田くんの苦労は別として。
松永と別れてから4組の教室に入った僕は、自分の席を確認して腰を下ろす。今年は窓側の前から3番目と少し前寄りになったけど、大まかな位置で考えれば恒例の位置取りだった。
それから、他に知り合いがいないだろうかと、僕が教室内を見回そうとした……その時だった。
「あっ、うぶクン!」
「産賀くん、おは……えっ?」
耳馴染んだ呼ばれ方と少し遅れてよく聞いた声が僕のことを呼んだので振り向くと、大山さんと岸本さんがお互いに見つめ合っていた。
「あれ? この子もうぶクンの知り合い?」
「あっ、えっと……すみません」
「いやいや、アタシこそ邪魔したみたいでゴメンね。あっ、アタシは大山亜里沙で……おお! 後ろの席の岸本さん?」
「な、なんでわたしの名前を……!?」
「さっき名簿で見て前後誰か見といたんだー よろしくね!」
「よ、よろし……う、産賀くん……!」
容量オーバーしたのか岸本さんは僕に助けを求めてきた。しかし、教室で岸本さんにそうされるのは初めてのことだったので、僕も無駄にあたふたしてしまう。
「ほー 二人は結構仲が良く見えるケド……」
「ぶ、文芸部なんだ、岸本さんも。ほら、文化祭の時に会ったことある……はずでしょ?」
「マジ!? ゴメン、岸本さん。アタシすっかり忘れて初対面みたいなことを……」
「い、いえ。わたしは……その、あんまり目立ってなかったと思うので……むしろわたしも初対面だと思ってました」
「そうなの? なら、良かったー それにしても岸本さんがもう一人の部員さんだったんだ。ていうことは、うぶクンとクラスまで一緒になるって凄い偶然!? そもそもうぶクンも2年連続で最初の席が隣だし、結構ヤバくない!?」
大山さんがイベント事でテンションが上がるタイプなので、この新しいクラスになった今日は、僕が知る限りで今年一番のテンションだった。
一方、それを僕と共に浴びている岸本さんは戦闘不能になりそうな感じで、フラフラとしている。
「あっ、大倉くんも一緒のクラスじゃん! おひさー!」
「お、大山さん、どうも。えっと……産賀くん、この状況はいったい?」
「……僕もわからないよ」
こうして、2年4組の学校生活は結構顔見知りが多い人に囲まれながらスタートすることになった。暫くは松永いなくても騒がしくて退屈しないことだろう。
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