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1年生春休み
4月2日(土)晴れ 大山亜里沙との春遊び
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春休み8日目。気付けば普段の平日分が過ぎてもう土曜日になってしまった。水曜日には学校が再開されてしまうけど、それほど長期休みらしいことはしてないので、このままゆるりと新年度が始まってしまいそうだ。
そんな日の昼食を終えた頃。僕のスマホには珍しいメッセージが送られてくる。
――うぶクン、今日暇?
――これからカラオケ行くんだけど、良かった来ない?
――予約してたけど、急に一人来れなくなって
大山さんとのやり取りは基本的にノートの貸し借り絡みで、1年生が終わってからそれも無くなって連絡していない状況だったから、正直驚いた。
でも、人数的に困っているようなので、僕は素直に行くことにする。
ただ、一つ気になることがあるとすれば……カラオケの予約で人数までしっかりと指定されるかということだ。
「うぶクン、お疲れ~!」
「本当に来てくれるなんてすご~い! のじぃの言う通りだった」
「ふっふっふっ。ああ言われたら断れない性格っぽいからね、産賀くん」
カラオケ店に到着すると、栗原さんと野島さんも待ち構えていた。元にはなってしまうけど、同じクラスの女子三人が集まるのは何の違和感もない。しかし、その中に男子の僕が混ぜられるのはいったいどういう事態だろう。
「あの……てっきり男女混じって遊びに行ってると思ってたんだけど」
「うぶクン……ゴメン! そう勘違いすると思って呼んだの」
「ええっ!? な、なぜ……?」
「いやね、このカラオケ行くって話になってから、前に松永がうぶクンはかなり歌が上手いっていうの話を思い出して。それで聞いてみたいと思ってたんだケド、結局行けないままだっから今日呼んでみてもいいかなーと思ったの」
「でも、女子三人のカラオケに産賀くんが来てくれないかもって私が言ったら、みんな納得して。そしたらのじぃがさっき産賀くんに送られた作戦を提案してくれたの」
栗原さんがそう言うと、野島さんは得意げな顔をした。
「なんでわざわざそんなことを……」
「ごめんごめん。でも、もしも女子三人って言ったら産賀くんは遠慮してたでしょ?」
野島さんにそう聞かれた僕は黙ってしまう。女子三人で行くと聞いていたら恐らく行かない選択をしていたと思う。
「産賀くん、わかりやすい。でも、気を悪くしたならゴメンね」
「驚いただけだから悪くしたわけじゃないよ」
「じゃあ、歌っていってくれる? カラオケ代は私たちで出すから!」
「あはは。あんまりハードル上げ過ぎると歌いづらいかも?」
ここまで帰るわけにもいかないので、僕は「それじゃあお言葉に甘えて」と言ってそのまま三人と店内へ入っていく。
どうやら予約していたのは本当だったようで、すぐにルームへ通されると、最初に入力機を渡された。
それから僕は三人へ歌を披露することになったけど……松永が上手いと言ったのは本気か冗談かわからない。自分としては音痴とは思ってないし、特別上手いと思っていなかった。
だから、三人は盛り上がってくれたけど、これが正解なのかわからなかった。
「はぁ……緊張したぁ」
ドリンクバーに行くついでに、僕は少し時間をかけてひと息つく。
普段松永たちと来る時は全く意識することなんてなかったけど、改めて歌ったことない人の前で歌うのはある程度恥ずかしく感じた。約1年前に大倉くんが僕たちと初めてカラオケに行った時もこんな気持ちだったのだろう。
「うぶクン」
「わっ!? お、大山さんか……」
「驚かせちゃった? ゴメンね」
「いやいや。でも、飲み物欲しいなら、さっきついでに言ってくれたら良かったのに」
「それはそうなんだケド……本当に今日はゴメン。メッセージ送る前は完全にノリで楽しくなっちゃってたケド、後になってやっぱりウソつくのは良くなかったなぁって」
大山さんはそう言いながら少し落ち込んだ表情を見せる。
「ううん。そういうノリになることあるのはわあkるよ。というか、元はと言えば適当なこと言った松永が悪い。僕の前で歌が上手い話なんてしたことなかったのに」
「そうなんだ? でも、ホントに上手いと思ったというか……こう言うと失礼かもしれないケド、うぶクンが歌ってる姿はなんか意外だった」
「普段の僕は歌いそうにない感じ?」
「そうそう……って、ホントにゴメン。悪い意味じゃないんだよ?」
「ははっ。今日は大山さんがよく謝る日だね。気にしないで。初めて聞かれると、割と言われる方だから」
「……今日のうぶクンにはカンペキに敵わないな。よし、切り替えた! この後の時間はガッツリ楽しむからうぶクンもじゃんじゃん歌ってね」
「それは……うん、わかった」
「というか、アタシたち話過ぎじゃん! 早く戻らないと!」
その後、大山さんは宣言通りテンション高く歌っていた。話す前は自分が歌うことに精一杯だったけど、大山さんはその間も反省していてノリきれていかなかったのかもしれない。
何とも不思議な時間を過ごしたけど、結果的に楽しい1日になった。ただ、帰った後、松永には文句を言っておいた。
そんな日の昼食を終えた頃。僕のスマホには珍しいメッセージが送られてくる。
――うぶクン、今日暇?
――これからカラオケ行くんだけど、良かった来ない?
――予約してたけど、急に一人来れなくなって
大山さんとのやり取りは基本的にノートの貸し借り絡みで、1年生が終わってからそれも無くなって連絡していない状況だったから、正直驚いた。
でも、人数的に困っているようなので、僕は素直に行くことにする。
ただ、一つ気になることがあるとすれば……カラオケの予約で人数までしっかりと指定されるかということだ。
「うぶクン、お疲れ~!」
「本当に来てくれるなんてすご~い! のじぃの言う通りだった」
「ふっふっふっ。ああ言われたら断れない性格っぽいからね、産賀くん」
カラオケ店に到着すると、栗原さんと野島さんも待ち構えていた。元にはなってしまうけど、同じクラスの女子三人が集まるのは何の違和感もない。しかし、その中に男子の僕が混ぜられるのはいったいどういう事態だろう。
「あの……てっきり男女混じって遊びに行ってると思ってたんだけど」
「うぶクン……ゴメン! そう勘違いすると思って呼んだの」
「ええっ!? な、なぜ……?」
「いやね、このカラオケ行くって話になってから、前に松永がうぶクンはかなり歌が上手いっていうの話を思い出して。それで聞いてみたいと思ってたんだケド、結局行けないままだっから今日呼んでみてもいいかなーと思ったの」
「でも、女子三人のカラオケに産賀くんが来てくれないかもって私が言ったら、みんな納得して。そしたらのじぃがさっき産賀くんに送られた作戦を提案してくれたの」
栗原さんがそう言うと、野島さんは得意げな顔をした。
「なんでわざわざそんなことを……」
「ごめんごめん。でも、もしも女子三人って言ったら産賀くんは遠慮してたでしょ?」
野島さんにそう聞かれた僕は黙ってしまう。女子三人で行くと聞いていたら恐らく行かない選択をしていたと思う。
「産賀くん、わかりやすい。でも、気を悪くしたならゴメンね」
「驚いただけだから悪くしたわけじゃないよ」
「じゃあ、歌っていってくれる? カラオケ代は私たちで出すから!」
「あはは。あんまりハードル上げ過ぎると歌いづらいかも?」
ここまで帰るわけにもいかないので、僕は「それじゃあお言葉に甘えて」と言ってそのまま三人と店内へ入っていく。
どうやら予約していたのは本当だったようで、すぐにルームへ通されると、最初に入力機を渡された。
それから僕は三人へ歌を披露することになったけど……松永が上手いと言ったのは本気か冗談かわからない。自分としては音痴とは思ってないし、特別上手いと思っていなかった。
だから、三人は盛り上がってくれたけど、これが正解なのかわからなかった。
「はぁ……緊張したぁ」
ドリンクバーに行くついでに、僕は少し時間をかけてひと息つく。
普段松永たちと来る時は全く意識することなんてなかったけど、改めて歌ったことない人の前で歌うのはある程度恥ずかしく感じた。約1年前に大倉くんが僕たちと初めてカラオケに行った時もこんな気持ちだったのだろう。
「うぶクン」
「わっ!? お、大山さんか……」
「驚かせちゃった? ゴメンね」
「いやいや。でも、飲み物欲しいなら、さっきついでに言ってくれたら良かったのに」
「それはそうなんだケド……本当に今日はゴメン。メッセージ送る前は完全にノリで楽しくなっちゃってたケド、後になってやっぱりウソつくのは良くなかったなぁって」
大山さんはそう言いながら少し落ち込んだ表情を見せる。
「ううん。そういうノリになることあるのはわあkるよ。というか、元はと言えば適当なこと言った松永が悪い。僕の前で歌が上手い話なんてしたことなかったのに」
「そうなんだ? でも、ホントに上手いと思ったというか……こう言うと失礼かもしれないケド、うぶクンが歌ってる姿はなんか意外だった」
「普段の僕は歌いそうにない感じ?」
「そうそう……って、ホントにゴメン。悪い意味じゃないんだよ?」
「ははっ。今日は大山さんがよく謝る日だね。気にしないで。初めて聞かれると、割と言われる方だから」
「……今日のうぶクンにはカンペキに敵わないな。よし、切り替えた! この後の時間はガッツリ楽しむからうぶクンもじゃんじゃん歌ってね」
「それは……うん、わかった」
「というか、アタシたち話過ぎじゃん! 早く戻らないと!」
その後、大山さんは宣言通りテンション高く歌っていた。話す前は自分が歌うことに精一杯だったけど、大山さんはその間も反省していてノリきれていかなかったのかもしれない。
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