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1年生春休み
3月27日(日)晴れ 清水夢愛との春散歩
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春休み2日目。昨日とは打って変わって朝から気持ちのいい晴れ模様だ。その朝の天気がしっかりと感じられるのは、長期休みだと必ず1回は誘われる清水先輩との散歩のおかげだ。
「昨日は天気が崩れてしまったが、気温的には本当に過ごしやすくなった。春休みは散歩日和だな」
「本当にそうですね」
「おっ。じゃあ、この春休みは朝から毎日一緒に散歩するか?」
「……たまに夜更かししたいので毎日は遠慮させて貰います」
「むぅ、そうか」
健康的には素晴らしいし、清水先輩は軽い感じで誘ってくれるけど、毎日一緒に行くのは色んな意味で厳しい。
「清水先輩はこの休み中にどこか出かける予定はないんですか?」
「小織がどこか遊びに行こうとは言っていらくらいかな。一応3年生前にがっつり遊べるタイミングとしてはこの春休みが最後と言っていたし」
「あっ……そうですよね。これからは勉強で忙しく……」
「いや、でも、3年生になったからって毎日ずっと勉強するわけじゃないと思ってるんだが……するわけじゃないよな?」
「僕に聞かれても困りますけど、高校受験とは全然違うとはよく聞きます」
「……春休み、終わらなければいいのに」
そう言った清水先輩は心の底からそう思っているよう見えた。それについては長期休みでよく思うことだけど、2日目でそう言ってしまうのは相当だ。
「まだ始まったばかりですから。それにこの3学期中はがんばって勉強してたじゃないですか」
「そうだけど……今度は常に小織が一緒というわけにもいかないだろうし、私自身がまだどういう方向に進もうか定まってないのもあって……」
色々あって大学受験することになった清水先輩だけど、そこから先は今もまだ決まっていないようだった。1週間後には3年生になることを考えると、僕も軽々しくまだ大丈夫ですと言えない時期になっている。
「なんて、いつまでも子どもみたいなこと言ってちゃダメだな。良助が毎日来られないなら、朝散歩する時間はそれをじっくり考えるようにしよう」
「いいと思います……って、本当に毎日連れて行くつもりだったんですか!?」
「冗談だと思ってたのか。普通に昨日も雨降ってなかったら誘うつもりだったぞ?」
「たまには桜庭先輩も誘ってあげてくださいよ」
「いやいや、小織とはなんやかんやよく話してるから、そこは良助の方がいいだろう」
「そ、そうですか? だったら……なるべく暇な朝は行くようにしますけど」
「本当か? じゃあ、来れそうだったら良助から連絡してくれ」
清水先輩が言ってくれたことが嬉しかったのか、気付いたらそんな約束をしてしまった。僕が休みで朝早く起きられているのは、清水先輩から連絡を寄越してくれているからなのに、自分で起きるとなると結構がんばらないといけない。
でも、清水先輩が3年生になってこういう機会が減ってしまうことを考えると、この春休みのうちに色々話したりしておいた方が後悔しないで済むと思った。
「昨日は天気が崩れてしまったが、気温的には本当に過ごしやすくなった。春休みは散歩日和だな」
「本当にそうですね」
「おっ。じゃあ、この春休みは朝から毎日一緒に散歩するか?」
「……たまに夜更かししたいので毎日は遠慮させて貰います」
「むぅ、そうか」
健康的には素晴らしいし、清水先輩は軽い感じで誘ってくれるけど、毎日一緒に行くのは色んな意味で厳しい。
「清水先輩はこの休み中にどこか出かける予定はないんですか?」
「小織がどこか遊びに行こうとは言っていらくらいかな。一応3年生前にがっつり遊べるタイミングとしてはこの春休みが最後と言っていたし」
「あっ……そうですよね。これからは勉強で忙しく……」
「いや、でも、3年生になったからって毎日ずっと勉強するわけじゃないと思ってるんだが……するわけじゃないよな?」
「僕に聞かれても困りますけど、高校受験とは全然違うとはよく聞きます」
「……春休み、終わらなければいいのに」
そう言った清水先輩は心の底からそう思っているよう見えた。それについては長期休みでよく思うことだけど、2日目でそう言ってしまうのは相当だ。
「まだ始まったばかりですから。それにこの3学期中はがんばって勉強してたじゃないですか」
「そうだけど……今度は常に小織が一緒というわけにもいかないだろうし、私自身がまだどういう方向に進もうか定まってないのもあって……」
色々あって大学受験することになった清水先輩だけど、そこから先は今もまだ決まっていないようだった。1週間後には3年生になることを考えると、僕も軽々しくまだ大丈夫ですと言えない時期になっている。
「なんて、いつまでも子どもみたいなこと言ってちゃダメだな。良助が毎日来られないなら、朝散歩する時間はそれをじっくり考えるようにしよう」
「いいと思います……って、本当に毎日連れて行くつもりだったんですか!?」
「冗談だと思ってたのか。普通に昨日も雨降ってなかったら誘うつもりだったぞ?」
「たまには桜庭先輩も誘ってあげてくださいよ」
「いやいや、小織とはなんやかんやよく話してるから、そこは良助の方がいいだろう」
「そ、そうですか? だったら……なるべく暇な朝は行くようにしますけど」
「本当か? じゃあ、来れそうだったら良助から連絡してくれ」
清水先輩が言ってくれたことが嬉しかったのか、気付いたらそんな約束をしてしまった。僕が休みで朝早く起きられているのは、清水先輩から連絡を寄越してくれているからなのに、自分で起きるとなると結構がんばらないといけない。
でも、清水先輩が3年生になってこういう機会が減ってしまうことを考えると、この春休みのうちに色々話したりしておいた方が後悔しないで済むと思った。
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