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1年生3学期

2月10日(木)曇り 男子同士のお祝いとは

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 今日行けば明日は祝日となる木曜日。学校には寄らないけど、2年生が北海道の修学旅行から帰って来るのも今日の夕方辺りになるらしい。来週には入学試験があってその日も在校生は休みとなるから十分に休養できることだろう。

 そんな今日は大倉くんの誕生日でもある。いつメンで見るとなんやかんやあって誕生日を祝えなかった本田くんも11月生まれなので、冬生まれの方が多い。

「ってことはこの中だとクラさんが一番誕生日遅かった……あれ? 2月だと早いんだっけ?」

「そ、その場合だとボクは早生まれって言われるけど、年齢的にはようやく16歳だから遅いで合ってる……のかな?」

「なるほど。ともかく今日はめでたい日だ!」

 松永はそう言って盛り上げようとするけど、僕と本田くんはそれに続けばいいか困ってしまった。なぜなら今日も含めてこのメンツでは誕生日に祝いの言葉しか用意していないからだ。

「……俺たち、もうちょっと誕生日という日を大事にしてもいいんじゃないかな?」

「そう言われても大々的に祝うのは何か違わないか? あんまり男子同士だとそんな話は聞かないが……」

 本田くんが言った事に僕も頷いた。何というか、男子的には誕生日を主張しないで言葉だけで済ませることが周りでも多いように感じる。

「だからこそ、今回……はもう無理かもしれないけど、次回以降は盛大に盛り上げようってこと」

「そ、そうなると、最初に誕生日が来るのは松永くんだね」

「うむ。みんな遠慮なく祝ってくれていいよ」

「良ちゃんは松永と誕生会とかそういうのしたことあるのか?」

 松永の発言を受け流しながら本田くんがそう聞いてくるので僕は思い返してみるけど、小中学生時代でも言葉だけのお祝いが変わっていない気がした。

「たぶんないよ。何か別のパーティーはあったような気がするけど……」

「あっ、それは確かいつかの運動会かなんかの打ち上げ的なやつだった気がする。でも、それやるくなら誕生日会も1回くらいやってても良さそうなのに」

「こ、子供会だとある程度まとまった時期でパーティー的なのやった覚えがあるよ。クリスマスとはまた別だった」

「へ~ こっちの地域だとクリスマスだけだったなぁ。あっ、子供会で言えば……」

 その松永の発言から話はまたも昔のことに移っていき、誕生日を盛り上げるだなんだの話はどこかへ行ってしまった。
 大倉くんには一応お祝いの言葉をLINEでも送っているし、話が流れたことも気にしていないようだったから良かったものの、確かに男子同士の誕生日は祝いの言葉以外にも何かもう1つあった方がいい気もする。

 そんなことを書きながらも恐らく次に松永の誕生日を迎える時には僕を含めて忘れているんだろうなぁと思ってしまった。
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