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1年生3学期
1月31日(月)晴れ 大山亜里沙の再誕その5
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1月最終日。しかし、僕の意識はその2週間後のバレンタインに向いていた。なので、昨日から暇な時間にチョコのレシピを見ている……のだけど、このレシピが無限に出てくるので非常に困っていた。
時期が近付いたというものあって、今年のトレンドだとか、ひと手間かけているように見えるだとか、とてもちょっと見ただけでは頭に入って来ないのだ。
ただ、そんな現状を一発で解決できる方法を僕は思いついていた。明莉が男子が好むチョコを聞いたように僕もチョコを手作りしていそうな女子に意見を聞けばいいのだ。
小学校の頃はそもそもお菓子の持ち込みが禁止だったから作っていたかわからないけど、中学生になると休み時間中にチョコの交換が行われていたことからその頃から恐らくチョコの手作りを始めている人も多いと思う。
「そんな感じでさー 参っちゃうよね」
そして、勝手なイメージだけど、今後ろの席で喋っている大山さんはそれに当てはまりそうな気がするのだ。そうであるなら話を聞けば手っ取り早くチョコに関して情報収集できる。
しかし……バレンタインが直前に迫る中、男子が女子にその話題を振るのはどうなのだろうかという気持ちがそれを実行に写すことを邪魔していた。
いや、別に妹の話と言えば何か思われることはないんだろうけど、やっぱり直接的に聞くのは何となく恥ずかしい。
「おや? どしたのうぶクン?」
「えっと……大山さんってお菓子作りって得意だったりする?」
「ホントにどしたの急に? 心理テストか何か?」
「ううん。ちょっとね」
そんなわけで、僕は非常に遠回りして大山さんの口からバレンタインの話を出させることにした。今思えば何とも無駄な努力なのだけど、そういうところは案外気にするタイプなのだ。
そのふわっとした質問に対して、大山さんは特に怪しむことなく考え始める。
「うーん……できないわけじゃないけど得意ってわけでもないかな。然るべき時じゃないと作らないカンジ」
「なるほどね。じゃあ、その然るべき時って言うのは……」
「そうだなぁ……たまに友達が家へ遊びに来た時にちょっと作ってみよう的な? でも、やってたのは小学校の時だけかなー」
「あっ、そういう……」
「なにが?」
「ううん、何でもない!」
答えにたどり着けると思ったけど、そう簡単にはいなかった。いや、この話は大山さんがバレンタインチョコを手作りしていないと成立しないからまずはそこから探るべきなのだろうか。何とかして僕からバレンタインを匂わせないようにする方法は――
「あっ。まさかうぶクン……バレンタインの話しようとしてる?」
「えっ!? い、いや、それはその……」
「もしかして、明莉ちゃんに何か言われたの?」
「べ、別にチョコが欲しいとかそんな話じゃ……あれ?」
一瞬で思惑がバレてしまったけど、明莉の話まで読まれてしまい僕は驚く。
「なんでわかったの……?」
「なんとなく? うぶクンが露骨にチョコ欲しいアピールするとは思えないし、何か聞きたそうな感じだったから、明莉ちゃん関連かなーって。わざわざアタシに聞くくらいだし」
大山さんの的確な指摘に僕は何も返せなかった。これは普段から僕が無意識に明莉の話をしているおかげなのか、それとも単に僕の施行が読まれやすいだけなのか。どちらにしても本当に大山さんは邪推することも引くこともなかったのだから最初から素直に話しておけば良かった。
「それでそれで! もしかして、明莉ちゃんに好きな人ができたカンジなの!?」
「それはないよ。友チョコの話だっから」
「えー ホントかなー? そうは言いつつも実はってことは……」
「そ、そんなことあるわけ……ないよね?」
「どうかなー? じゃあ、詳しい話を聞かせて貰いましょうか」
それから大山さんに詳しい事情を話すと、手作りチョコについて色々な情報を得られた。でも、それ以上に大山さんの察しの良さに驚く日だった。
大山さんがやたら明莉がそんなことを言いだした裏読みをしていることについては……その察しの良さが外れていることを願うばかりである。
時期が近付いたというものあって、今年のトレンドだとか、ひと手間かけているように見えるだとか、とてもちょっと見ただけでは頭に入って来ないのだ。
ただ、そんな現状を一発で解決できる方法を僕は思いついていた。明莉が男子が好むチョコを聞いたように僕もチョコを手作りしていそうな女子に意見を聞けばいいのだ。
小学校の頃はそもそもお菓子の持ち込みが禁止だったから作っていたかわからないけど、中学生になると休み時間中にチョコの交換が行われていたことからその頃から恐らくチョコの手作りを始めている人も多いと思う。
「そんな感じでさー 参っちゃうよね」
そして、勝手なイメージだけど、今後ろの席で喋っている大山さんはそれに当てはまりそうな気がするのだ。そうであるなら話を聞けば手っ取り早くチョコに関して情報収集できる。
しかし……バレンタインが直前に迫る中、男子が女子にその話題を振るのはどうなのだろうかという気持ちがそれを実行に写すことを邪魔していた。
いや、別に妹の話と言えば何か思われることはないんだろうけど、やっぱり直接的に聞くのは何となく恥ずかしい。
「おや? どしたのうぶクン?」
「えっと……大山さんってお菓子作りって得意だったりする?」
「ホントにどしたの急に? 心理テストか何か?」
「ううん。ちょっとね」
そんなわけで、僕は非常に遠回りして大山さんの口からバレンタインの話を出させることにした。今思えば何とも無駄な努力なのだけど、そういうところは案外気にするタイプなのだ。
そのふわっとした質問に対して、大山さんは特に怪しむことなく考え始める。
「うーん……できないわけじゃないけど得意ってわけでもないかな。然るべき時じゃないと作らないカンジ」
「なるほどね。じゃあ、その然るべき時って言うのは……」
「そうだなぁ……たまに友達が家へ遊びに来た時にちょっと作ってみよう的な? でも、やってたのは小学校の時だけかなー」
「あっ、そういう……」
「なにが?」
「ううん、何でもない!」
答えにたどり着けると思ったけど、そう簡単にはいなかった。いや、この話は大山さんがバレンタインチョコを手作りしていないと成立しないからまずはそこから探るべきなのだろうか。何とかして僕からバレンタインを匂わせないようにする方法は――
「あっ。まさかうぶクン……バレンタインの話しようとしてる?」
「えっ!? い、いや、それはその……」
「もしかして、明莉ちゃんに何か言われたの?」
「べ、別にチョコが欲しいとかそんな話じゃ……あれ?」
一瞬で思惑がバレてしまったけど、明莉の話まで読まれてしまい僕は驚く。
「なんでわかったの……?」
「なんとなく? うぶクンが露骨にチョコ欲しいアピールするとは思えないし、何か聞きたそうな感じだったから、明莉ちゃん関連かなーって。わざわざアタシに聞くくらいだし」
大山さんの的確な指摘に僕は何も返せなかった。これは普段から僕が無意識に明莉の話をしているおかげなのか、それとも単に僕の施行が読まれやすいだけなのか。どちらにしても本当に大山さんは邪推することも引くこともなかったのだから最初から素直に話しておけば良かった。
「それでそれで! もしかして、明莉ちゃんに好きな人ができたカンジなの!?」
「それはないよ。友チョコの話だっから」
「えー ホントかなー? そうは言いつつも実はってことは……」
「そ、そんなことあるわけ……ないよね?」
「どうかなー? じゃあ、詳しい話を聞かせて貰いましょうか」
それから大山さんに詳しい事情を話すと、手作りチョコについて色々な情報を得られた。でも、それ以上に大山さんの察しの良さに驚く日だった。
大山さんがやたら明莉がそんなことを言いだした裏読みをしていることについては……その察しの良さが外れていることを願うばかりである。
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