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1年生3学期
1月28日(金)晴れ 岸本路子の成長その5
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1月最後の金曜日。まだ月曜日の31日があるけど、1月も気付けば終わっていたといういつも通りの感想になる。ただ、そのままボーっとしていると僕の作品が完成しなくなってしまうので、程よく気を引き締めなければならない。
そんな今日は図書室で借りた本を持ち込みつつ、ネタを練っていく。もちろん、ネタをそのまま使うのは盗用になってしまうので参考にする程度だけど、そのおかげで形は見えてきた。
舞台は現代から少しだけ先の未来で、現実とは少しだけ違う地球。そこでは18歳で大人扱いされるのと同時に、自分の生涯プランを設定することになっていた。個人が将来的に安定した道に進むために定められたもので、子供のころからそのプランを決める上での勉強をしていく。
その中で主人公が……と当初考えていたものとはだいぶ雰囲気が違うちょっとしたディストピアっぽいストーリーになってしまったけど、考えていくうちにこっちの方が面白いと思ったからシフトしたのだ。
昨日借りた本は系統的に近い近未来SFの短編集、短い話でどういう風にオチへ持っていくかを参考にさせて貰った。
それに加えて前回の作品に対して貰ったアドバイスも意識していくと――
「産賀くん、ちょっといい?」
そう岸本さんから声をかけられたけど、部室内では珍しく集中していたせいか、僕の反応が少し遅れてしまった。
「ごめんなさい。作業を進めている時に」
「ううん。全然大丈夫。どうかしたの?」
「その……急な話で悪いのだけれど、明日は何か用事ある?」
申し訳なさそうにしながらそう聞いてくる岸本さんに対して、僕は首を横に振る。相変わらず土曜日は基本的に暇人だ。
「だったら、少し話したいことがあるからいつもの喫茶店に来て貰えないかしら」
「うん、いいよ。時間は何時くらい?」
「特に決めてないから産賀くんに合わせるわ」
そう言いながら岸本さんはホッとした表情になる。
一方、それを聞いた僕は「花園さんは何時くらいがいいって言ってるの?」と言ってしまう。今まで喫茶店へ行く際はそれが自然だったからだ。
「えっ? かりんちゃんは来ないのだけれど……?」
「あっ、そうなんだ。それじゃあ……」
そう返された僕は時間を考え始めるけど、頭の中では別のことも浮かんでいた。てっきり花園さんを含めた三人で遊びに行くことだと思っていたけど、僕と岸本さんだけなら話が変わってくる。
いや、お茶会と言えばそうなのかもしれないけど、少し話したいなら別にこの場で話しても問題はないはずだ。それをわざわざ明日場所を取って話すということは……少しというのは建前なのかもしれない。
「明日もよろしくね、産賀くん」
その後、一応はネタを練ることはできたけど、その片隅には明日話される内容が何なのか気になる気持ちがあった。しかも妙にドキドキしてしまうのは……ちょっとした邪推も混ざっているせいに違いない。
そんな今日は図書室で借りた本を持ち込みつつ、ネタを練っていく。もちろん、ネタをそのまま使うのは盗用になってしまうので参考にする程度だけど、そのおかげで形は見えてきた。
舞台は現代から少しだけ先の未来で、現実とは少しだけ違う地球。そこでは18歳で大人扱いされるのと同時に、自分の生涯プランを設定することになっていた。個人が将来的に安定した道に進むために定められたもので、子供のころからそのプランを決める上での勉強をしていく。
その中で主人公が……と当初考えていたものとはだいぶ雰囲気が違うちょっとしたディストピアっぽいストーリーになってしまったけど、考えていくうちにこっちの方が面白いと思ったからシフトしたのだ。
昨日借りた本は系統的に近い近未来SFの短編集、短い話でどういう風にオチへ持っていくかを参考にさせて貰った。
それに加えて前回の作品に対して貰ったアドバイスも意識していくと――
「産賀くん、ちょっといい?」
そう岸本さんから声をかけられたけど、部室内では珍しく集中していたせいか、僕の反応が少し遅れてしまった。
「ごめんなさい。作業を進めている時に」
「ううん。全然大丈夫。どうかしたの?」
「その……急な話で悪いのだけれど、明日は何か用事ある?」
申し訳なさそうにしながらそう聞いてくる岸本さんに対して、僕は首を横に振る。相変わらず土曜日は基本的に暇人だ。
「だったら、少し話したいことがあるからいつもの喫茶店に来て貰えないかしら」
「うん、いいよ。時間は何時くらい?」
「特に決めてないから産賀くんに合わせるわ」
そう言いながら岸本さんはホッとした表情になる。
一方、それを聞いた僕は「花園さんは何時くらいがいいって言ってるの?」と言ってしまう。今まで喫茶店へ行く際はそれが自然だったからだ。
「えっ? かりんちゃんは来ないのだけれど……?」
「あっ、そうなんだ。それじゃあ……」
そう返された僕は時間を考え始めるけど、頭の中では別のことも浮かんでいた。てっきり花園さんを含めた三人で遊びに行くことだと思っていたけど、僕と岸本さんだけなら話が変わってくる。
いや、お茶会と言えばそうなのかもしれないけど、少し話したいなら別にこの場で話しても問題はないはずだ。それをわざわざ明日場所を取って話すということは……少しというのは建前なのかもしれない。
「明日もよろしくね、産賀くん」
その後、一応はネタを練ることはできたけど、その片隅には明日話される内容が何なのか気になる気持ちがあった。しかも妙にドキドキしてしまうのは……ちょっとした邪推も混ざっているせいに違いない。
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