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1年生3学期
1月25日(火)晴れ時々曇り 部長へのサプライズ
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通常通り迎えた火曜日。文学部ではミーティングが行われて、その後は各々の創作時間になるのが最近の流れだけど、今日だけは少し違う流れになった。
「以上でーす。それじゃあ、今日もまったりと……」
「待て、沙良。今日は言わなければならないことがあるんじゃないか?」
「えっ……全く心当たりがないんだけど、もしかして何かやらかしてたー?」
「ああ。沙良自身に関わる重大なやらかしだ」
「え、えっと……本当にわからないので代わりに報告お願いします、副部長ー」
「それは……誕生おめでとう、沙良!」
「……へ?」
水原先輩の言葉に続けて部員全員がお祝いの言葉と拍手を送る。今日がちょうど森本先輩の誕生日だということから先週の金曜日の夜に水原先輩やソフィア先輩が部活内でサプライズをしようと計画していたのだ。
「な、なんだー……てっきり本当に見落としてたのかと思ってたー サプライズならもうちょっと喜びそうなドッキリにしてよー」
「ミーティングはちゃんとやって貰わないといけないからこの流れしかなかったんだ」
水原先輩はそう言いながら少し笑う。いつもは真面目な印象だけど、準備の段階では意外にも色々な案を出していたから森本先輩の反応は満足いくものだったのだろう。
「でも、結構な振り方だから途中で気付くかなとも思ったよ?」
そう言ったソフィア先輩も笑っていた。
「いやー、別に毎年恒例とかでもないから察せないよー 他のみんなの誕生日は祝ってないのにー」
「部長特権ということで受け取っておけばいい。そういうことだから今日は少しだけお菓子を買ってきたからみんなで食べよう」
「それはありがたいから嬉しいー たぶん今日は作業進まなくなっちゃうけどー」
サプライズが一段落すると、机の上にはたくさんのお菓子の袋が開けられた。部室だというのに雰囲気は友達の家で遊ぶ時のようだ。
「ウーブくんも岸本ちゃんも巻き込んじゃってごめんねー これで来年とかに気を遣ってプレゼント用意するとかはしなくていいからー」
「いえいえ。むしろ他の先輩方の誕生日はよく知らないまま過ぎてたみたいなので気付かないで申し訳ないくらいです」
「まー、それ全部祝ってたら割と月一でこういう感じになっちゃうから……あれ? 案外悪くないかー?」
そう言いながら森本先輩はお菓子を頬張る。
「……って、そういうところもどうしていくかは新部長に任せるからご自由にねー あっ、プレッシャーかけたわけじゃないよー?」
「わかってます」
森本先輩が意図を汲んだのかわからないけど、このサプライズは今年度に部長として頑張った森本先輩へのご褒美的なものとしてやることになったものだ。
そんな森本先輩の部長の期間が終われば、次はいよいよ僕と岸本さんが文芸部の中心になっていく。
それほど気負うことはないのだろうけど、今年度が僕と岸本さんの二人だけだったこともあるから新年度も無事に部活が続けられるように新しい文芸部も考えなければいけないのかもと少しだけ思った。
「以上でーす。それじゃあ、今日もまったりと……」
「待て、沙良。今日は言わなければならないことがあるんじゃないか?」
「えっ……全く心当たりがないんだけど、もしかして何かやらかしてたー?」
「ああ。沙良自身に関わる重大なやらかしだ」
「え、えっと……本当にわからないので代わりに報告お願いします、副部長ー」
「それは……誕生おめでとう、沙良!」
「……へ?」
水原先輩の言葉に続けて部員全員がお祝いの言葉と拍手を送る。今日がちょうど森本先輩の誕生日だということから先週の金曜日の夜に水原先輩やソフィア先輩が部活内でサプライズをしようと計画していたのだ。
「な、なんだー……てっきり本当に見落としてたのかと思ってたー サプライズならもうちょっと喜びそうなドッキリにしてよー」
「ミーティングはちゃんとやって貰わないといけないからこの流れしかなかったんだ」
水原先輩はそう言いながら少し笑う。いつもは真面目な印象だけど、準備の段階では意外にも色々な案を出していたから森本先輩の反応は満足いくものだったのだろう。
「でも、結構な振り方だから途中で気付くかなとも思ったよ?」
そう言ったソフィア先輩も笑っていた。
「いやー、別に毎年恒例とかでもないから察せないよー 他のみんなの誕生日は祝ってないのにー」
「部長特権ということで受け取っておけばいい。そういうことだから今日は少しだけお菓子を買ってきたからみんなで食べよう」
「それはありがたいから嬉しいー たぶん今日は作業進まなくなっちゃうけどー」
サプライズが一段落すると、机の上にはたくさんのお菓子の袋が開けられた。部室だというのに雰囲気は友達の家で遊ぶ時のようだ。
「ウーブくんも岸本ちゃんも巻き込んじゃってごめんねー これで来年とかに気を遣ってプレゼント用意するとかはしなくていいからー」
「いえいえ。むしろ他の先輩方の誕生日はよく知らないまま過ぎてたみたいなので気付かないで申し訳ないくらいです」
「まー、それ全部祝ってたら割と月一でこういう感じになっちゃうから……あれ? 案外悪くないかー?」
そう言いながら森本先輩はお菓子を頬張る。
「……って、そういうところもどうしていくかは新部長に任せるからご自由にねー あっ、プレッシャーかけたわけじゃないよー?」
「わかってます」
森本先輩が意図を汲んだのかわからないけど、このサプライズは今年度に部長として頑張った森本先輩へのご褒美的なものとしてやることになったものだ。
そんな森本先輩の部長の期間が終われば、次はいよいよ僕と岸本さんが文芸部の中心になっていく。
それほど気負うことはないのだろうけど、今年度が僕と岸本さんの二人だけだったこともあるから新年度も無事に部活が続けられるように新しい文芸部も考えなければいけないのかもと少しだけ思った。
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