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1年生3学期
1月12日(水)雪のち曇り 2ヶ月ちょっとの席
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通常授業に戻った水曜日。一応先週から授業は始まっていたけど、三連休を挟んだせいか今日からようやく3学期が始まった感じがする。
そんなことを僕が思っていると担任である杉岡先生も3学期の始まりでとある事を思い出したようである。
「そういえば席替えやってなかったので、今からやるぞー」
帰りのホームルームでそう言うと、クラスからは「やっと変わるのかー」とか「あと2ヶ月ちょっとしかないけど」とか色々な意見が飛び交う。
席替えは1年のうちに5~6回やる印象だったけど、杉岡先生はこれでようやく3回目だからかなり少ない。2学期中にもう一回くらいできそうなものだったけど、気付いたら冬休みになっていた。
「産賀くんともお別れかぁ」
隣の栗原さんはそう呟いた。
「そうだね。まぁ、栗原さんはテストの時は席近いからそんなに離れるって感じはしない気がする」
「でも、3学期のテストはあと1回しかないんだよ?」
「そんなに寂しいの……?」
「えっ? 別に寂しいとは言ってないけど?」
「そ、そっか……」
「あははー 冗談だって。ちょっとくらいは寂しいかも。なんだかんだこの席長かったし」
こんな風に栗原さんから冗談を言われるのも割と日常的なことだったけど、それも無くなってしまう。栗原さんの言うように3学期はあと2ヶ月ちょっとしかないし、出席番号で並ぶ機会もほとんどないのだろう。
「そんなこと言ってたらまた近くの席になったりするんだよね」
その話に割り込んできたのは野島さんだ。以前は清水先輩や桜庭先輩を通した遠い知り合いだったけど、この席に来てからは話すようになってかなり親しくして貰った。
「野島ちゃんは私と離れるの寂しい?」
「寂しー! 私は瑞希ちゃんと席近くなるタイミング他にないし」
「私もー! ていうか、今度は一緒に遊びに行かないとね」
本当に久しぶりの席替えだったからか、二人の間にはちょっとした名残惜しさが生じているようだ。かく言う僕も一応は窓際の一番後ろの席という絶好の位置をこれで手放すことになる。冬には少しだけ寒かったような気もするけど、やっぱり後ろかつ外の景色が見られるという状況は名残惜しいと思ってしまう。
「それじゃあ、くじを引いてくれー」
ただ、僕らの都合は関係なく席替えはスタートした。いつも通り1列ずつくじを引いていって、割り当てられた番号が次の席になるけど、窓際の一番後ろである僕は一番最後のくじを引くことになった。
そして、黒板に張り出された用紙を見て、1年最後の席へ移動していく。残り物には福がある、とは言うけれど、僕の引いた番号は……真ん中の前から2番目の席だった。今まで一番教卓が近くて、先生の顔がよく見えそうな席である。
「おっ、りょーちゃん隣じゃん!」
「なんだ松永か……」
「えっ……イヤそうにされるのショックなんだけど」
わざとらしく泣いたふりをする松永は僕の右隣の席になった。何気に同じクラスになっても席が隣になることはなかったからそういう意味では新鮮だけど、休み時間には一緒にいるからやっぱり新鮮じゃないかもしれない。
そうやって僕と松永が喋っていると、僕は後ろから肩に手を置かれる。そのまま後ろを振り向くと……ちょっとだけ伸びた爪が頬に当たった。
「あははっ! 引っかかったぁ! うぶクン、今のは完全に油断してたね」
そう言いながら大山さんは僕の頬を少し弾く。
「なんて古典的な手に……」
「そんなに古典かな? まぁ、後ろの席ってことでよろしくね、うぶクン」
「大山ちゃん、俺は~?」
「松永は……まぁ、よろしく」
「何その扱いの差!?」
松永のリアクションに大山さんはまた笑いながら喋り始める。今回は隣ではなかったけど、またも大山さんと近くの席になるとは思わなかった。ただ、何度も言うように2回目の席が長かったからテスト以外で大山さんが近いこと自体は久しぶりに感じる。
「移動終わったならみんな静かにー」
そんなこんなで残り2ヶ月ちょっとを過ごす席が決まった。位置的には前回と比べると良いとは言えないけど、僕としては周りに話せる人がいる方が良いと思うので、その点では良い席替えだと思った。
そんなことを僕が思っていると担任である杉岡先生も3学期の始まりでとある事を思い出したようである。
「そういえば席替えやってなかったので、今からやるぞー」
帰りのホームルームでそう言うと、クラスからは「やっと変わるのかー」とか「あと2ヶ月ちょっとしかないけど」とか色々な意見が飛び交う。
席替えは1年のうちに5~6回やる印象だったけど、杉岡先生はこれでようやく3回目だからかなり少ない。2学期中にもう一回くらいできそうなものだったけど、気付いたら冬休みになっていた。
「産賀くんともお別れかぁ」
隣の栗原さんはそう呟いた。
「そうだね。まぁ、栗原さんはテストの時は席近いからそんなに離れるって感じはしない気がする」
「でも、3学期のテストはあと1回しかないんだよ?」
「そんなに寂しいの……?」
「えっ? 別に寂しいとは言ってないけど?」
「そ、そっか……」
「あははー 冗談だって。ちょっとくらいは寂しいかも。なんだかんだこの席長かったし」
こんな風に栗原さんから冗談を言われるのも割と日常的なことだったけど、それも無くなってしまう。栗原さんの言うように3学期はあと2ヶ月ちょっとしかないし、出席番号で並ぶ機会もほとんどないのだろう。
「そんなこと言ってたらまた近くの席になったりするんだよね」
その話に割り込んできたのは野島さんだ。以前は清水先輩や桜庭先輩を通した遠い知り合いだったけど、この席に来てからは話すようになってかなり親しくして貰った。
「野島ちゃんは私と離れるの寂しい?」
「寂しー! 私は瑞希ちゃんと席近くなるタイミング他にないし」
「私もー! ていうか、今度は一緒に遊びに行かないとね」
本当に久しぶりの席替えだったからか、二人の間にはちょっとした名残惜しさが生じているようだ。かく言う僕も一応は窓際の一番後ろの席という絶好の位置をこれで手放すことになる。冬には少しだけ寒かったような気もするけど、やっぱり後ろかつ外の景色が見られるという状況は名残惜しいと思ってしまう。
「それじゃあ、くじを引いてくれー」
ただ、僕らの都合は関係なく席替えはスタートした。いつも通り1列ずつくじを引いていって、割り当てられた番号が次の席になるけど、窓際の一番後ろである僕は一番最後のくじを引くことになった。
そして、黒板に張り出された用紙を見て、1年最後の席へ移動していく。残り物には福がある、とは言うけれど、僕の引いた番号は……真ん中の前から2番目の席だった。今まで一番教卓が近くて、先生の顔がよく見えそうな席である。
「おっ、りょーちゃん隣じゃん!」
「なんだ松永か……」
「えっ……イヤそうにされるのショックなんだけど」
わざとらしく泣いたふりをする松永は僕の右隣の席になった。何気に同じクラスになっても席が隣になることはなかったからそういう意味では新鮮だけど、休み時間には一緒にいるからやっぱり新鮮じゃないかもしれない。
そうやって僕と松永が喋っていると、僕は後ろから肩に手を置かれる。そのまま後ろを振り向くと……ちょっとだけ伸びた爪が頬に当たった。
「あははっ! 引っかかったぁ! うぶクン、今のは完全に油断してたね」
そう言いながら大山さんは僕の頬を少し弾く。
「なんて古典的な手に……」
「そんなに古典かな? まぁ、後ろの席ってことでよろしくね、うぶクン」
「大山ちゃん、俺は~?」
「松永は……まぁ、よろしく」
「何その扱いの差!?」
松永のリアクションに大山さんはまた笑いながら喋り始める。今回は隣ではなかったけど、またも大山さんと近くの席になるとは思わなかった。ただ、何度も言うように2回目の席が長かったからテスト以外で大山さんが近いこと自体は久しぶりに感じる。
「移動終わったならみんな静かにー」
そんなこんなで残り2ヶ月ちょっとを過ごす席が決まった。位置的には前回と比べると良いとは言えないけど、僕としては周りに話せる人がいる方が良いと思うので、その点では良い席替えだと思った。
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