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1年生2学期
12月10日(金)曇り 大山亜里沙との距離間その13
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期末テスト最終日。僕としては今回のテストも特に問題なくできた(と思っている)ので、翌週から冬休みまでは平和に過ごせることになる。
でも、そんなテスト期間が終わる前に僕にはやるべきことがあった。
「……大山さん」
「うん? どしたの、うぶクン?」
「えっと……テストどうだった?」
それは自分でもわかっていたけど、やってみると案外大したことではなかった。テスト終わりに僕が少しだけ緊張しながら話しかけると、大山さんは笑いながら言う。
「それがさ……微妙だった!」
「えっ、微妙? いつも自信満々にできてるって言うのに」
「そりゃあ、アタシだっていつも上出来ってワケじゃないから。そんなうぶクンはどうなの?」
「可もなく不可もなくって感じ」
「ってことは十分できてるってことじゃん? もしかしてマウント取りに来た?」
「いや、普通くらいの意味で言ったつもりなんだけど……」
焦りながら否定する僕を見て、大山さんはまた笑う。話しかける内容としては別に盛り上がることじゃないけど、それでいいのだ。変に気を遣って、気にし過ぎて話す方が間違っている。僕と大山さんの距離間は少し仲良くなった時から変わってないのだから。
「ホントにー? あっ、そういえばさ。うぶクンは――」
「亜里沙、ちょっといいか?」
大山さんが何か言いかけたタイミングで本田くんがこちらの方にやって来ていた。そうか、本田くんは下の名前で呼んでいるのか、と僕は変に感心してしまう。
「あっ、すまん。良ちゃんと何か話してたなら……」
「いや、ちょっとテストの話してただけだから。それじゃあ、僕はこのまま帰るよ」
「そうか。また来週」
「うん。大山さんも」
僕が手を振りながらそう言うと二人は手を振り返す。
そして、教室から出た僕はすぐに大きく息を吐いた。久しぶりの会話としてはまずまずの出来だろう。これで次に話すのが3学期のテストの時にならないように、また良さそうなタイミングで話しかければいい。
それが友人としての距離間……そう、僕は大山さんと友人でいたかったのだ。たまたま席が隣になって、色々あって一緒に遊びに行くことになる中で、大山さんと仲良くできている実感があった。そんな関係が終わってしまうのが何だか寂しいから僕は変に距離を取ったり、話すことに悩んだりしたのだと思う。
それがわかってすっきりした僕はテストの開放感と共に良い気持ちで帰宅した。
でも、そんなテスト期間が終わる前に僕にはやるべきことがあった。
「……大山さん」
「うん? どしたの、うぶクン?」
「えっと……テストどうだった?」
それは自分でもわかっていたけど、やってみると案外大したことではなかった。テスト終わりに僕が少しだけ緊張しながら話しかけると、大山さんは笑いながら言う。
「それがさ……微妙だった!」
「えっ、微妙? いつも自信満々にできてるって言うのに」
「そりゃあ、アタシだっていつも上出来ってワケじゃないから。そんなうぶクンはどうなの?」
「可もなく不可もなくって感じ」
「ってことは十分できてるってことじゃん? もしかしてマウント取りに来た?」
「いや、普通くらいの意味で言ったつもりなんだけど……」
焦りながら否定する僕を見て、大山さんはまた笑う。話しかける内容としては別に盛り上がることじゃないけど、それでいいのだ。変に気を遣って、気にし過ぎて話す方が間違っている。僕と大山さんの距離間は少し仲良くなった時から変わってないのだから。
「ホントにー? あっ、そういえばさ。うぶクンは――」
「亜里沙、ちょっといいか?」
大山さんが何か言いかけたタイミングで本田くんがこちらの方にやって来ていた。そうか、本田くんは下の名前で呼んでいるのか、と僕は変に感心してしまう。
「あっ、すまん。良ちゃんと何か話してたなら……」
「いや、ちょっとテストの話してただけだから。それじゃあ、僕はこのまま帰るよ」
「そうか。また来週」
「うん。大山さんも」
僕が手を振りながらそう言うと二人は手を振り返す。
そして、教室から出た僕はすぐに大きく息を吐いた。久しぶりの会話としてはまずまずの出来だろう。これで次に話すのが3学期のテストの時にならないように、また良さそうなタイミングで話しかければいい。
それが友人としての距離間……そう、僕は大山さんと友人でいたかったのだ。たまたま席が隣になって、色々あって一緒に遊びに行くことになる中で、大山さんと仲良くできている実感があった。そんな関係が終わってしまうのが何だか寂しいから僕は変に距離を取ったり、話すことに悩んだりしたのだと思う。
それがわかってすっきりした僕はテストの開放感と共に良い気持ちで帰宅した。
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