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1年生2学期

9月23日(木)晴れ 初恋と無知

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 祝日である秋分の日。この日は創作物の完成させることに全力を注いだ。ただ、この日までに文章は完成していたので、改めて全体を通しで読んで気になる部分を変えてみたり、誤字脱字がないか確認したりと細かい部分の修正が主な作業だ。
 そして、それだけやっても後から読み返したら前の表現の方が良いと思ったり、誤字脱字があったりするのだろう。

 そんな作業をする中で、それとは別に僕は考えてしまうことがあった。昨日の栗原さんとのやり取りで言われたこと。異性の知り合いに恋愛感情を抱くことについて。傍から見れば恵まれた環境にいると言える僕が行動を起こしてないのは男らしくないのか。それとも高校生らしくないのか。

 その答えを見つけるために……僕はこの日記で自分の初恋を振り返ることにした。以前に文芸部や清水先輩に話した特にオチはない初恋の話。

 初恋の定義についてはよくわからないけど、僕が明確に初恋をしたと思うのは小学校5年生の時だ。それだけは過去のことはあまり覚えてない僕でも詳しく話せる。2学期が始まった頃に転校してきたAさんに僕は心惹かれた。

 Aさんがその当時の他の男子から見て可愛い子であったかどうかはわからないけど、少なくとも僕はその表情や雰囲気を見て、他の女の子を見た時には感じたことがない気持ちが沸き上がってきた。転校してからすぐだと話す機会はなかったからやり取りを経た上で惚れたわけじゃなく、ほとんど一目惚れと言っていいと思う。

 それから2ヶ月ほど経った日。僕は席替えでAさんの隣になることができた。とはいっても当時の僕は今以上に女の子と喋るのが得意じゃなかったから軽率に話しけるようなことはできない。
 対するAさんもどちらかと言えば落ち着いた子だったからこちらへ話してくることはなかった。あるとすれば机から物を落とした時に拾ってあげた時に少し声をかける程度だ。

 そして、面白くなくて申し訳ないけど、この初恋はここからの進展がなく終わっていく。後々から振り返っても当時の僕は確実にAさんに恋していたのは間違いないのだけど、それは僕が一方的に見惚れるばかりの関係で、それ以上近づくことはなかった。仮に何かきっかけがあってAさんと話せたとしても恐らく僕は告白できなかったと思う。

 だけど、僕が何も言わなかったのはAさんの方が他の誰かと付き合い始めてしまったとか、Aさんへの気持ちが急に無くなったとか、そういうわけではない。僕がAさんに恋をしたという感情はあくまで自分の中で完結するものだと思ったのだ。

 この初恋以降も同級生や周りの女の子を可愛いと感じて恋するような感覚はあっても、その時点から進むことはなかった。全て自分の中で渦巻いた一時の感情として処理してきた。

 そんな風に考えてしまうのは僕が失恋を恐れているからなのだろうか。それとも恋に本気になり切れていないのだろうか。自分に自信がないと思うから。相手に相応しくないと思ってしまうから。どれも理由として合っている気もするけど、自分の中ではしっくりこない。

 ……と書き起こしてみたところ、僕は恋についてあれこれ考えているけど、本当の恋というものを知らないだけなのかもしれない。そんな結果が見えてきた。

 今はまだ早いと思っていたら高校生活なんてすぐに終わってしまうのだろうけど、無理に恋をしたら恐らく意味がない。周りを見て焦る気持ちを整理できたのは良かったようで……解決していないことは少し不安になる結果だった。
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