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1年生2学期
9月20日(月)晴れ 明莉との日常その18
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体育祭の振替休日ではなく、敬老の日となる祝日。京都のじいちゃんばあちゃんとこちらのばあちゃんには電話をかけたけど、また会ったタイミングで何かしらプレゼントを渡そうと思っている。
そんな今日はしっかりと体育祭の疲れを癒す時間になった。でも、出場したのが2種目だけだったおかげか筋肉痛はなく、動けなくなるほど疲れているわけじゃなかった。
「いやー りょうちゃんがあそこまで走れると思ってなかったよ」
同じく休日の明莉がそう言うのは昨日の部活対抗リレーの話だ。清水先輩を追いかける形で走っていた僕は明莉から見てもよく走れているように見えたらしい。
「でも、大活躍とはいかなかったからおごりはなし!」
「別にいいよ。というか、大活躍って具体的にどんな感じなの?」
「そりゃあ、大山先輩くらい」
「確かに二人三脚とスウェーデンリレーはいい順位だったような……?」
「なんで疑問形なの?」
さも当たり前のように言われるけど……僕は大山さんの活躍がどんな感じだった詳しく見れていない。雑念以外にも後半は松永と本田くんが競技に出ずっぱりで、僕やあまり目が良くない大倉くんでは状況がよくわからない時があった。
「あと、ついでだけどまっちゃんもいろいろ走ってたね」
「ついでって……まぁ、本当によく走ってたな。連続でないとはいえ」
「ああいう時はなんやかんや活躍するよねー」
相変わらず松永に対する評価はやや厳しめである。それでも走る種目においては凄い戦力になっていたはずだから、クラスやチームにとってありがたかったに違いない。
「それよりりょうちゃん、ちょっと気になることがあるんだけど」
「なに?」
「部活対抗リレーの時、親しそうに話してた人……誰?」
「だ、誰って……知り合いの先輩」
「それだけ?」
「それ以外に何があるんだ」
思わぬところを掘り起こされて僕は無駄に焦ってしまう。別に知り合いの先輩であることは間違いないのに。
「いや、遠目に見てたから何とも言えないんだけど、どこかで見たことあるような気がして……」
「それは……ほら、GWのスイーツバイキングの時」
「……誰か会ったっけ?」
「……スイーツ仙人だよ」
自分で言ってもよくわからない単語を聞いた明莉は一瞬顔をしかめるけど、すぐに思い出したようで手を叩く。
「あー! あの美人さん! 同じ高校だったんだ!」
「そりゃあ僕の新しい知り合いができるのは学校だけだし……」
「いつどこで知り合ったの? 仲いい感じ? 夏休み中は会ったりした?」
「質問が多いな。別にちょっとした知り合いだから」
「嘘だ。りょうちゃんは嘘を付くと”ちょっとした”って言葉をよく使う」
「そうなの!?」
「ううん、嘘。でも、今のでちょっとしてないことはわかった」
まんまと妹の策略に引っかかった僕は清水先輩のことを喋らされることになった。とはいっても詳しく話すとまたいらぬことを考えられそうだったので、程よく嘘を混ぜて質問に答えていく。その嘘までバレてしまうと……僕は明莉に全て見透かされることになる。
「りょうちゃんも手広いね~」
今日のところではそれで納得して貰った……本当にこれで良かったんだろうか?
そんな今日はしっかりと体育祭の疲れを癒す時間になった。でも、出場したのが2種目だけだったおかげか筋肉痛はなく、動けなくなるほど疲れているわけじゃなかった。
「いやー りょうちゃんがあそこまで走れると思ってなかったよ」
同じく休日の明莉がそう言うのは昨日の部活対抗リレーの話だ。清水先輩を追いかける形で走っていた僕は明莉から見てもよく走れているように見えたらしい。
「でも、大活躍とはいかなかったからおごりはなし!」
「別にいいよ。というか、大活躍って具体的にどんな感じなの?」
「そりゃあ、大山先輩くらい」
「確かに二人三脚とスウェーデンリレーはいい順位だったような……?」
「なんで疑問形なの?」
さも当たり前のように言われるけど……僕は大山さんの活躍がどんな感じだった詳しく見れていない。雑念以外にも後半は松永と本田くんが競技に出ずっぱりで、僕やあまり目が良くない大倉くんでは状況がよくわからない時があった。
「あと、ついでだけどまっちゃんもいろいろ走ってたね」
「ついでって……まぁ、本当によく走ってたな。連続でないとはいえ」
「ああいう時はなんやかんや活躍するよねー」
相変わらず松永に対する評価はやや厳しめである。それでも走る種目においては凄い戦力になっていたはずだから、クラスやチームにとってありがたかったに違いない。
「それよりりょうちゃん、ちょっと気になることがあるんだけど」
「なに?」
「部活対抗リレーの時、親しそうに話してた人……誰?」
「だ、誰って……知り合いの先輩」
「それだけ?」
「それ以外に何があるんだ」
思わぬところを掘り起こされて僕は無駄に焦ってしまう。別に知り合いの先輩であることは間違いないのに。
「いや、遠目に見てたから何とも言えないんだけど、どこかで見たことあるような気がして……」
「それは……ほら、GWのスイーツバイキングの時」
「……誰か会ったっけ?」
「……スイーツ仙人だよ」
自分で言ってもよくわからない単語を聞いた明莉は一瞬顔をしかめるけど、すぐに思い出したようで手を叩く。
「あー! あの美人さん! 同じ高校だったんだ!」
「そりゃあ僕の新しい知り合いができるのは学校だけだし……」
「いつどこで知り合ったの? 仲いい感じ? 夏休み中は会ったりした?」
「質問が多いな。別にちょっとした知り合いだから」
「嘘だ。りょうちゃんは嘘を付くと”ちょっとした”って言葉をよく使う」
「そうなの!?」
「ううん、嘘。でも、今のでちょっとしてないことはわかった」
まんまと妹の策略に引っかかった僕は清水先輩のことを喋らされることになった。とはいっても詳しく話すとまたいらぬことを考えられそうだったので、程よく嘘を混ぜて質問に答えていく。その嘘までバレてしまうと……僕は明莉に全て見透かされることになる。
「りょうちゃんも手広いね~」
今日のところではそれで納得して貰った……本当にこれで良かったんだろうか?
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