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1年生夏休み

7月25日(日)晴れ 大倉伴憲との夏休み

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 夏休み5日目。部活があるから何とか曜日感覚はあるものの、もう数週間すると日曜日のありがたみを失いそうなほど、学校へ行かない日はダラダラと過ごしていた。

 そんな中で、今日は夏休み前の約束通り、大倉くんが家へ遊びに来ることになっている。大倉くんの家からそこそこ距離があるから暑い中来て貰うのは申し訳ないけど、昨日出かけたついで飲み物やお菓子も買っておいたし、迎える準備は万全だ。

 そして、13時を過ぎた頃、チャイムが鳴る。

「こ、こんにちは。産賀くん」

「お疲れ様、大倉くん。早く入って涼んで」

「お、お邪魔します!」

 ちょっと緊張気味の大倉くんを居間まで案内すると、僕は飲み物の準備を始める。その間も大倉くんは落ち着いていられないようだった。

「適当にくつろいでくれていいよ……あっ、大倉くんから見て左のソファー以外」

「左……? どうして?」

「えっと……そこは一応、明莉のスペースらしいから」

 松永の一件を思い出したから言ってしまったけど、よく考えたらお客さんに対してそんな指定をするのは失礼だった。でも、僕も明莉が後で消臭スプレーをかける姿はいろんな意味で見たくない。

「わかったよ。今日は……妹さんはいない感じ?」

「うん。昼前から友達と遊びに行ったよ。何でも予定が詰まってるらしい」

「そうなんだ……ぼ、ボクは遊びに行くよてうは全然……」

「とはいっても、昨日は普通に昼まで寝てたからそれなりだと思うよ。はい、好きなやつ飲んでてね」

 飲み物を机に並べると、すぐにゲームへ移行せず、雑談が始まった。ほんの数日会わないだけでも何となく久しぶりな気がするのはやっぱり夏休みに染まり始めているせいかもしれない。

「産賀くんは部活があるから忙しい感じ?」

「いや、僕は火曜と金曜しか行かないし、部室ではのんびりやってるからそうでもないかな」

「じゃあ、松永くんと本田くんさえ予定が合えば、何かしら遊べるかなぁ」

「そうだね……」

 大倉くんにそう返事をしつつ、僕は心の中で申し訳なく思った。水曜日に行くプールには大倉くんは参加していない。というか、いつの間にか行くメンバーは決まっていて、誘うタイミングがなかったのだ。今回のプールはただ遊びに行くだけじゃないからという理由もある気がするけど、それでもいつもの4人の中で大倉くんだけ外れてしまったのは何とも言えない。

「大倉くんさえ、良ければ僕は予定合わせるよ。今日みたいに他の曜日は全然空いてるし」

「それは……うん。家に行くまでじゃなくても通話とかはやると思う。う、産賀くんからも誘ってくれたらボクも基本は暇で対応できると思うから……」

「わかった。次の日に部活がなければ夜更かしもできるし、いろいろやろう」

 そんな申し訳なさは別にして、大倉くんとの夏休みも楽しいもにしていくつもりだ。その後は大倉くんにとっては久しぶりの対面でのゲームをやって、夕方まで遊ぶという何だか小学生の頃を思い出す時間を過ごした。
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