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1年生1学期
7月16日(金)曇り 岸本路子との交流その14
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火曜日は終業式になるから夏休み前の最後の部活。
「岸本さん、テストの調子はどう?」
部室に入って岸本さんの隣に座った僕はそう話しかける。思えば中間テストの時はまだこんな風な話ができていなかったし、今回は一緒に勉強したから気になるところだった。
「おかげで数Ⅰは赤点じゃなく、平均くらいは取れたわ」
「それは良かった。僕もコミュ英語を岸本さんと一緒に勉強できたからちょっとだけ点数が良くなったよ」
「本当に? わたし、特別得意なわけじゃないからそんなに役立っていないと思うのだけれど……」
「いやいや、覚え方とか教えれくれたからそれで印象に残ってたやつもあったから」
どうやらこのままの調子でいけばお互いに補講は回避できそうだ。終業式の20日以降は夏休みになるけど、赤点だったり、普段の出席日数が足りなかったりする人は21日から約一週間の期間で設けられた補講に参加しなければならない。出席の方は問題ないから後は月曜日に返却されるテストの結果次第だ。
「次部室へ来るのは23日の金曜日かな?」
「ええ。わたしは今のところ予定はないわ」
「僕も。というか、僕は今日からでもちゃんと創作始めないと……」
「産賀くん、それを邪魔して悪いのだけれど……」
「何?」
「わたしが友達になりたいって思っていた子の話」
それは久しぶりに感じる話題だった。僕の方も色々あったからそのことを聞くのをすっかり忘れていたけど、関係はしっかり続いていたみたいだ。
「最近は休み時間に少しだけ話せるようになったわ」
「おお! 何か共通の話題が見つかったとか?」
「そういうわけではないのだけれど、一応、産賀くんの言った通り本が好きなことを話したら、その子も好きなものを教えてくれて、それからお互いに趣味について聞くようになったの」
なるほど。そういう質問し合うパターンで話せることもあるのか。でも、お互いのパーソナルな部分をわざわざ聞くということは岸本さんだけじゃなく、相手の子も仲良くなりたい気持ちがあるに違いない。
「それで、また産賀くんに相談なのだけれど」
「うん。大丈夫だよ」
「……その子に産賀くんのこと、話していい?」
ん? なんでそこに僕が出てくるんだ? そう一瞬思ってしまったけど、特に断る理由はないし、そもそも許可を取られるようなことでもない。
「全然構わないよ。部活の話するなら伏せても変だろうし」
「ううん。今までも直接的に名前は出さずに産賀くんのことは話してたわ」
「そりゃそうだよね。じゃあ、僕のことって……どういうこと?」
「名前とか具体的な話が聞きたいって」
「それも構わないけど……その子、そんなに知りたがってるの?」
「ええ。いろいろ聞いておく必要があるって……」
そう言われた瞬間、僕は何故か身震いした。決してドキドキの予感とかではなく、むしろ嫌な予感に近いものが。
「あっ。その子の方から代わりに自分の苗字を教えていいと言われたわ。花園さんっていうの」
「花園さん……」
「産賀くんのこと、悪いようには言わないからそこは安心して」
岸本さんに対しては何の心配もしてないんだけど、清水先輩とは別の方向で不思議な感じがする花園さんに目を付けられたのはどういう意味なのか。虫の知らせが気のせいだと思っておこう。
「岸本さん、テストの調子はどう?」
部室に入って岸本さんの隣に座った僕はそう話しかける。思えば中間テストの時はまだこんな風な話ができていなかったし、今回は一緒に勉強したから気になるところだった。
「おかげで数Ⅰは赤点じゃなく、平均くらいは取れたわ」
「それは良かった。僕もコミュ英語を岸本さんと一緒に勉強できたからちょっとだけ点数が良くなったよ」
「本当に? わたし、特別得意なわけじゃないからそんなに役立っていないと思うのだけれど……」
「いやいや、覚え方とか教えれくれたからそれで印象に残ってたやつもあったから」
どうやらこのままの調子でいけばお互いに補講は回避できそうだ。終業式の20日以降は夏休みになるけど、赤点だったり、普段の出席日数が足りなかったりする人は21日から約一週間の期間で設けられた補講に参加しなければならない。出席の方は問題ないから後は月曜日に返却されるテストの結果次第だ。
「次部室へ来るのは23日の金曜日かな?」
「ええ。わたしは今のところ予定はないわ」
「僕も。というか、僕は今日からでもちゃんと創作始めないと……」
「産賀くん、それを邪魔して悪いのだけれど……」
「何?」
「わたしが友達になりたいって思っていた子の話」
それは久しぶりに感じる話題だった。僕の方も色々あったからそのことを聞くのをすっかり忘れていたけど、関係はしっかり続いていたみたいだ。
「最近は休み時間に少しだけ話せるようになったわ」
「おお! 何か共通の話題が見つかったとか?」
「そういうわけではないのだけれど、一応、産賀くんの言った通り本が好きなことを話したら、その子も好きなものを教えてくれて、それからお互いに趣味について聞くようになったの」
なるほど。そういう質問し合うパターンで話せることもあるのか。でも、お互いのパーソナルな部分をわざわざ聞くということは岸本さんだけじゃなく、相手の子も仲良くなりたい気持ちがあるに違いない。
「それで、また産賀くんに相談なのだけれど」
「うん。大丈夫だよ」
「……その子に産賀くんのこと、話していい?」
ん? なんでそこに僕が出てくるんだ? そう一瞬思ってしまったけど、特に断る理由はないし、そもそも許可を取られるようなことでもない。
「全然構わないよ。部活の話するなら伏せても変だろうし」
「ううん。今までも直接的に名前は出さずに産賀くんのことは話してたわ」
「そりゃそうだよね。じゃあ、僕のことって……どういうこと?」
「名前とか具体的な話が聞きたいって」
「それも構わないけど……その子、そんなに知りたがってるの?」
「ええ。いろいろ聞いておく必要があるって……」
そう言われた瞬間、僕は何故か身震いした。決してドキドキの予感とかではなく、むしろ嫌な予感に近いものが。
「あっ。その子の方から代わりに自分の苗字を教えていいと言われたわ。花園さんっていうの」
「花園さん……」
「産賀くんのこと、悪いようには言わないからそこは安心して」
岸本さんに対しては何の心配もしてないんだけど、清水先輩とは別の方向で不思議な感じがする花園さんに目を付けられたのはどういう意味なのか。虫の知らせが気のせいだと思っておこう。
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