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1年生1学期
7月11日(日)曇り 明莉との日常その14
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引き続きテスト勉強日。いつも通り自分の部屋ではなく、居間で腰を据えることになる。そして、今日は既に期末テストを終えた明莉が見張りとして付いてくれた。
「りょうちゃん、今回は大丈夫? 赤点回避できそう?」
「うーん……」
「わからない時もちゃんと空欄全部埋めるんだよ?」
「うーん……」
「それか鉛筆サイコロ……」
「いや、シャーペンだし。というか、そんなに話しかけられると集中できない」
「えー、先にテスト終わった優越感に浸りたかったのに~」
なんてひどい理由だ。僕が優しい兄じゃなかったら普通に怒ってしまうぞ。絶対怒らないけど。
「別に無理して付き合わなくてもいいよ。せっかくテスト終わったんだから」
「りょうちゃんはあかりが遊びに釣られてりょうちゃんを見捨てるようなヤツだと思ってるの……?」
「思ってない! 全然思ってないから! 付き合ってくれて凄く嬉しい!」
なんだ、やっぱり素晴らしい妹じゃないか! わざわざ僕のために付いてくれるなんてこんな出来た妹はそうそういない。
「まー、本番の夏休みはすぐそこだし、今日くらいは見張ってあげる! ところでりょうちゃんは夏休みに予定あるの?」
「予定? 今のところは何も」
「えー!? 高校生で女子の友達が二人くらいいるのに何もないの!?」
「両方夏休みには何も関係ないと思うぞ」
「なんか高校生はもっといろいろやるもんだと思ってた」
「高校生だからって何か特別になるわけじゃないよ……僕の周りでは」
でも、いざ指摘されると、高校生になった初めての夏休みがノープランなのはまずいのかもしれない。これまでの夏休みも遊びやイベントごとは松永に任せて、他の予定は家族に合わせるくらいで、後はダラダラと本を読んだり、ゲームをしたりするばかりだった。
「文芸部は合宿とかないの?」
「たぶんない。でも、夏休み中も部活はありそうだから……」
「それは中学でも一緒だから高校生っぽい夏休みとは別じゃない?」
そう言われると……そうなんだけど、逆に高校生っぽく過ごせる夏休みとは何なのだろうか。うちの高校は基本的にバイト禁止で資金面は限られてくるから遠出して海とか山とか気楽に行けるわけではない。そもそも僕としてはそういうアウトドアよりはエアコンの効いた部屋でのんびり過ごす方が好み……って考えてしまう時点で高校生というか、若者らしくないのかもしれない。
「そう言う明莉は何か予定あるの?」
「7月中はとりあえず夏祭りとプールは絶対行くし、気になってる映画も空いてたら友達と行こうかなーって」
「盛りだくさんだ……」
「あとはGW行ったスイーツバイキングみたいなのにも行きたいんだよね~ あれ期間限定だったみたいだし」
どうやら明莉は本当に夏休みを精一杯楽しむらしい。別に高校へ入ってからも夏休みはあるのだからそんなに予定を詰めないでもいいと思ってしまうけど、そういう風に考えているから僕はダラダラ過ごしてしまうのだろう。大人が口々に言う「もっと遊んでおけば良かった」は明莉みたいに遊び尽くそうとする人よりも僕みたいなろくに予定を立てなかった人が思うことになるんだろうか。
「……僕も何か予定を立てるかぁ」
「おっ! じゃあじゃあ、久しぶりにあかりへ何か甘いモノをおごるとかは?」
「なんでそうなるんだ!?」
「だって、あかりテストがんばったしー」
「テストはがんばるのが普通って……そうだ! 僕はテスト勉強中じゃないか!?」
結局、今回も明莉に数十分時間を取られながらテスト勉強をすることになってしまった。それはそれとして、夏休み……どう過ごすべきかちょっと考えよう。
「りょうちゃん、今回は大丈夫? 赤点回避できそう?」
「うーん……」
「わからない時もちゃんと空欄全部埋めるんだよ?」
「うーん……」
「それか鉛筆サイコロ……」
「いや、シャーペンだし。というか、そんなに話しかけられると集中できない」
「えー、先にテスト終わった優越感に浸りたかったのに~」
なんてひどい理由だ。僕が優しい兄じゃなかったら普通に怒ってしまうぞ。絶対怒らないけど。
「別に無理して付き合わなくてもいいよ。せっかくテスト終わったんだから」
「りょうちゃんはあかりが遊びに釣られてりょうちゃんを見捨てるようなヤツだと思ってるの……?」
「思ってない! 全然思ってないから! 付き合ってくれて凄く嬉しい!」
なんだ、やっぱり素晴らしい妹じゃないか! わざわざ僕のために付いてくれるなんてこんな出来た妹はそうそういない。
「まー、本番の夏休みはすぐそこだし、今日くらいは見張ってあげる! ところでりょうちゃんは夏休みに予定あるの?」
「予定? 今のところは何も」
「えー!? 高校生で女子の友達が二人くらいいるのに何もないの!?」
「両方夏休みには何も関係ないと思うぞ」
「なんか高校生はもっといろいろやるもんだと思ってた」
「高校生だからって何か特別になるわけじゃないよ……僕の周りでは」
でも、いざ指摘されると、高校生になった初めての夏休みがノープランなのはまずいのかもしれない。これまでの夏休みも遊びやイベントごとは松永に任せて、他の予定は家族に合わせるくらいで、後はダラダラと本を読んだり、ゲームをしたりするばかりだった。
「文芸部は合宿とかないの?」
「たぶんない。でも、夏休み中も部活はありそうだから……」
「それは中学でも一緒だから高校生っぽい夏休みとは別じゃない?」
そう言われると……そうなんだけど、逆に高校生っぽく過ごせる夏休みとは何なのだろうか。うちの高校は基本的にバイト禁止で資金面は限られてくるから遠出して海とか山とか気楽に行けるわけではない。そもそも僕としてはそういうアウトドアよりはエアコンの効いた部屋でのんびり過ごす方が好み……って考えてしまう時点で高校生というか、若者らしくないのかもしれない。
「そう言う明莉は何か予定あるの?」
「7月中はとりあえず夏祭りとプールは絶対行くし、気になってる映画も空いてたら友達と行こうかなーって」
「盛りだくさんだ……」
「あとはGW行ったスイーツバイキングみたいなのにも行きたいんだよね~ あれ期間限定だったみたいだし」
どうやら明莉は本当に夏休みを精一杯楽しむらしい。別に高校へ入ってからも夏休みはあるのだからそんなに予定を詰めないでもいいと思ってしまうけど、そういう風に考えているから僕はダラダラ過ごしてしまうのだろう。大人が口々に言う「もっと遊んでおけば良かった」は明莉みたいに遊び尽くそうとする人よりも僕みたいなろくに予定を立てなかった人が思うことになるんだろうか。
「……僕も何か予定を立てるかぁ」
「おっ! じゃあじゃあ、久しぶりにあかりへ何か甘いモノをおごるとかは?」
「なんでそうなるんだ!?」
「だって、あかりテストがんばったしー」
「テストはがんばるのが普通って……そうだ! 僕はテスト勉強中じゃないか!?」
結局、今回も明莉に数十分時間を取られながらテスト勉強をすることになってしまった。それはそれとして、夏休み……どう過ごすべきかちょっと考えよう。
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