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1年生1学期

6月19日(土)曇り 親子はどこか似るもの

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 この日の夕方。僕ら家族は父さんの誕生部を祝うため、外食に出かけていた。正確に言うと本来の誕生日は二日前の6月17日なんだけど、誕生日は外食で祝うことが定番になっている。更に言えば明日は父の日であるからそっちも含めてお祝いすることになる。

 そして、今回のお店は回転寿司屋だ。これは父さんきっての希望……ではなく、「あかり、お寿司とかいいと思うな~」のひと言で父さんが何の反論もなく決めた場所だった。一応、祝われるのは父さんのはずなんだけど、本人は嬉しそうだからそれでいいのだろう。

「りょうちゃん、何皿食べれるか勝負する?」

「勝負って、今日は父さんが主役なんだからそれは……」

「何皿でも食べていいぞ! 明莉!」

「やったー!」

 ……本当にこれでいいのか不安になってきた。外食代はさすがに僕と明莉の支払いが難しいから誕生日プレゼントと父の日のプレゼントはそれぞれ別に用意している。だけど、このままでは今日の外食は明莉が主体になってしまいそうだ。

「心配しなくて大丈夫よ。お父さん嬉しそうだし」

 そんな僕の表情を読み取ったのか母さんは声をかける。

「別に心配してるわけじゃ……」

「そう? なら良かったわ」

 中学生辺りになってからわかったことだけど、僕の思考は母さんと似ている。反対に明莉の思考は父さん寄りだ。例えば今、テーブル席に通された時、明莉と父さんは率先してレーンが近い席を取っているのに対して、僕と母さんはお手拭きを取りに行っている。
 
 そして、明莉と父さんは既に回っている寿司に目移りしてるのに対して、僕と母さんはお皿を並べたり、箸を取ったりしている。


 でも、見た目としては僕の方が父さんに似ていて、明莉は母さんに似ているから中身と外観が見事に交換されているのだ。他の家庭がどうかはわからないけど、兄弟姉妹がいる家庭はこういう風になるものかもしれない。

「それじゃあ、改めてお父さん二日前のお誕生日おめでと&父の日でいつもありがと~!」

「ありがとう! 明莉!」

「もう食べていいよね!?」

「うん、大丈夫だぞ! ほら、母さんと良助もいるものがあったじゃんじゃん言ってくれ」

 勝手に音頭を取った明莉とその流れを止めない父さん。そんな二人を見てちょっとだけ呆れて笑う僕と母さん。何の変哲もない光景だけど、僕らは家族なんだなぁと改めて思った。

 その後、僕も照れながら父さんの誕生日と日頃の感謝を述べたとさ。
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