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1年生1学期

5月29日(土)晴れ 明莉との日常その8

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 テストから解放された土曜日。今日くらいはだらりと過ごしても許されそうな気がするけど、そうはいかない理由がある。

「りょうちゃん、ずるいなー もうテスト終わっちゃうなんて」

「ずるくはない。高校の方が科目が多かったし」

 本日も居間で無駄話を僕と明莉はしていた。木曜日から始まった中学のテストはこの土日を挟んで続いてしまったから、明莉はテスト勉強から解放されていないのだ。そうなると、お互いを見張る役割を果たすため、先抜けして遊べなかった。

「あーあ、中学の時は一緒だったのになー」

「そうは言っても僕と明莉のテスト期間同じだった中1と中3の1年しかなかったぞ」

「そっか。いつからこんな風に居間でやってるんだっけ?」

「僕が中学に入ってからだった気がするから、明莉が小5の時くらい?」

「おー もうそんな長いことやってるんだね~」

 そこからずっと続いているのだからお互いを見張るのもある程度効果が……いや、絶賛雑談してるから本当に効果的か怪しいところだ。早いところ明莉のやる気スイッチを押さなくては。

「今回はわからないところあったりしないの?」

「わかんないところは切り捨てる!」

「時にはそれも大事だけど、まだその時間じゃないと思う」

「うーん、別にわかんないって感じじゃなくて、覚えてないだけな気がするー」

「明莉は僕と同じで暗記微妙なタイプか」

「そんなところ似たくなかったねー たぶん、お父さんの血だよ」

 そういう言い方をすると、父さんは本当に凹んでしまうので今の話は僕の心に封印しておこう。でも、確かに忘れっぽさなら母さんより父さんの血だと思う。

「じゃあ、僕が問題出すから明莉が答えるか?」

「えー!? それだと絶対勉強しなきゃいけないじゃん!」

「この時間はそのためのものだぞ」

「りょうちゃんにそこまでして貰うと心苦しいから明莉は孤独に戦うよ……」

「じゃあ、がんばれ我が妹よ」

「りょーかい…………ところで何の本読んでるの?」

「おいおい」

 その後もちょくちょく明莉の集中が切れる度に無駄話が続いた。これが明日も続くと思うと……妹のためならそんなに苦ではない。
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