25 / 942
1年生1学期
4月28日(水)雨のち曇り 大山亜里沙との会話その2
しおりを挟む
連休としてのGWまで後3日。ここ数日の授業ではきっちりと宿題を出されているので、GW中も遊び呆けるわけにはいかなそうだ。
「うぶクン、ありがと!」
そんな今日も大山さんは僕のノートを借りて写していた。今のところ金曜にもある現社も含めて大山さんは全ての授業で寝ているようだ。
「ねぇ、うぶクンは目玉焼きに何かける?」
そして、ノートを貸したということは大山さんとの会話が始まる。これも金曜の休み時間と合わせて欠かされたことがない。
「塩」
「えっー!? しょうゆとかソースとかじゃなくて!?」
「そんなに意外かな。ゆで卵も塩で食べるし……」
「いやー 今までそんな人聞いたことなかったわー チョーびっくり!」
「りょーちゃん、何でも塩かけるよねー」
ぬるっと、会話に割り込んできたのはいつの間にか席の近くに来ていた松永だった。松永とご飯を食べる機会はそこそこあるけど、そんなに塩をかけているところを見られただろうか。いや、訂正しておくと何でもかけるわけではない。
そんなことを考えていると、大山さんは意外な反応をする。
「おっ、松永じゃん。そうなんだー」
「えっ!? 大山さんと松永って知り合い……?」
驚いて松永に聞くと、松永はさも当然のように言う。
「野外炊事の時に会ってから時々絡んでるよー」
そんな時間がどこにあったのか思ったけど、そういえば僕が鍋を見ている間は、みんな自由に動き回っていた。僕のところに来る前に大山さんと松永は出会っていたのか。
「俺はしょうゆかなー 大山ちゃんは?」
「アタシもしょうゆだけど、時々七味もつける感じ」
「へー、辛くするのか。あっ、ブラックペッパーとかも……」
それから会話の主導は松永に移っていき、僕は二人の言葉に相槌を打つだけになっていた。大山さんのタイプ的には松永の方が話が合いそうと思っていたけど、知らぬ間に知り合いになっているのだからやはり松永のアクティブさには適わない。
「って、なんか俺がいっぱい喋っちゃったな」
「ホントだよ。うぶクンと話してたのにー」
だけど、僕はそんな松永が嫌と思うわけじゃなく、むしろありがたいと思った。僕が大倉くんや本田くんと話す時も盛り上げてくれるのは松永だ。それは小学校……もしかしたら幼稚園から変わってないかもしれない。
「僕は別に……」
「まっ、こんな感じでりょーちゃん聞き上手だから、どんどん話しかけるといいよ」
「えっ?」
松永の急なフリに僕はまた驚いてしまった。そんな話になるとは全く思っていない。
「ふふっ、そうする! うぶクン、覚悟しといて☆」
「う、うん……」
それを聞いた松永が笑いながら自分の席へ戻っていくと、休み時間は終わっていた。
結局、今日の出来事は松永の気まぐれだったのか、それとも遠目で見て不甲斐なかった僕をアシスト(?)しにきてくれたのかはよくわからない。
ただ、ノートの貸し借り以外でも大山さんとの会話が増えそうで良かった……のか?
「うぶクン、ありがと!」
そんな今日も大山さんは僕のノートを借りて写していた。今のところ金曜にもある現社も含めて大山さんは全ての授業で寝ているようだ。
「ねぇ、うぶクンは目玉焼きに何かける?」
そして、ノートを貸したということは大山さんとの会話が始まる。これも金曜の休み時間と合わせて欠かされたことがない。
「塩」
「えっー!? しょうゆとかソースとかじゃなくて!?」
「そんなに意外かな。ゆで卵も塩で食べるし……」
「いやー 今までそんな人聞いたことなかったわー チョーびっくり!」
「りょーちゃん、何でも塩かけるよねー」
ぬるっと、会話に割り込んできたのはいつの間にか席の近くに来ていた松永だった。松永とご飯を食べる機会はそこそこあるけど、そんなに塩をかけているところを見られただろうか。いや、訂正しておくと何でもかけるわけではない。
そんなことを考えていると、大山さんは意外な反応をする。
「おっ、松永じゃん。そうなんだー」
「えっ!? 大山さんと松永って知り合い……?」
驚いて松永に聞くと、松永はさも当然のように言う。
「野外炊事の時に会ってから時々絡んでるよー」
そんな時間がどこにあったのか思ったけど、そういえば僕が鍋を見ている間は、みんな自由に動き回っていた。僕のところに来る前に大山さんと松永は出会っていたのか。
「俺はしょうゆかなー 大山ちゃんは?」
「アタシもしょうゆだけど、時々七味もつける感じ」
「へー、辛くするのか。あっ、ブラックペッパーとかも……」
それから会話の主導は松永に移っていき、僕は二人の言葉に相槌を打つだけになっていた。大山さんのタイプ的には松永の方が話が合いそうと思っていたけど、知らぬ間に知り合いになっているのだからやはり松永のアクティブさには適わない。
「って、なんか俺がいっぱい喋っちゃったな」
「ホントだよ。うぶクンと話してたのにー」
だけど、僕はそんな松永が嫌と思うわけじゃなく、むしろありがたいと思った。僕が大倉くんや本田くんと話す時も盛り上げてくれるのは松永だ。それは小学校……もしかしたら幼稚園から変わってないかもしれない。
「僕は別に……」
「まっ、こんな感じでりょーちゃん聞き上手だから、どんどん話しかけるといいよ」
「えっ?」
松永の急なフリに僕はまた驚いてしまった。そんな話になるとは全く思っていない。
「ふふっ、そうする! うぶクン、覚悟しといて☆」
「う、うん……」
それを聞いた松永が笑いながら自分の席へ戻っていくと、休み時間は終わっていた。
結局、今日の出来事は松永の気まぐれだったのか、それとも遠目で見て不甲斐なかった僕をアシスト(?)しにきてくれたのかはよくわからない。
ただ、ノートの貸し借り以外でも大山さんとの会話が増えそうで良かった……のか?
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
彼ノ女人禁制地ニテ
フルーツパフェ
ホラー
古より日本に点在する女人禁制の地――
その理由は語られぬまま、時代は令和を迎える。
柏原鈴奈は本業のOLの片手間、動画配信者として活動していた。
今なお日本に根強く残る女性差別を忌み嫌う彼女は、動画配信の一環としてとある地方都市に存在する女人禁制地潜入の動画配信を企てる。
地元住民の監視を警告を無視し、勧誘した協力者達と共に神聖な土地で破廉恥な演出を続けた彼女達は視聴者たちから一定の反応を得た後、帰途に就こうとするが――
女神と共に、相談を!
沢谷 暖日
青春
九月の初め頃。
私──古賀伊奈は、所属している部活動である『相談部』を廃部にすると担任から言い渡された。
部員は私一人、恋愛事の相談ばっかりをする部活、だからだそうだ。
まぁ。四月頃からそのことについて結構、担任とかから触れられていて(ry
重い足取りで部室へ向かうと、部室の前に人影を見つけた私は、その正体に驚愕する。
そこにいたのは、学校中で女神と謳われている少女──天崎心音だった。
『相談部』に何の用かと思えば、彼女は恋愛相談をしに来ていたのだった。
部活の危機と聞いた彼女は、相談部に入部してくれて、様々な恋愛についてのお悩み相談を共にしていくこととなる──
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
終わりに見えた白い明日
kio
青春
寿命の終わりで自動的に人が「灰」と化す世界。
「名無しの権兵衛」を自称する少年は、不良たちに囲まれていた一人の少女と出会う。
──これは、終末に抗い続ける者たちの物語。
やがて辿り着くのは、希望の未来。
【1】この小説は、2007年に正式公開した同名フリーノベルゲームを加筆修正したものです(内容に変更はありません)。
【2】本作は、徐々に明らかになっていく物語や、伏線回収を好む方にお勧めです。
【3】『ReIce -second-』にて加筆修正前のノベルゲーム版(WINDOWS機対応)を公開しています(作品紹介ページにて登場人物の立ち絵等も載せています)。
※小説家になろう様でも掲載しています。
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
樹企画第二弾作品集(Spoon内自主企画)
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらはspoonというアプリで、読み手様個人宛てに書いた作品となりますが、spoonに音声投稿後フリー台本として公開許可を頂いたものをこちらにまとめました。
1:30〜8分ほどで読み切れる作品集です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる