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1年生1学期
4月26日(月)晴れ 願いは口に出した方が叶う
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高校生活4週目。木曜になればもう4月が終わり、GWに突入(30日は学校だけど)すると思うと、1ヶ月はあっという間に終わってしまうように感じる。
それはそれとして、今日の昼休みは図書室に訪れていた。文芸部になったのだから図書室の本にも目を通しておこうと思ったのと、純粋に学校の図書室に興味があったことからやって来たのだ。
1階にある図書室は広さとしては教室とそれほど変わりなく、本の種類もそこそこといった感じだ。中に入ってすぐのコーナーには直近の小説とスポーツに関する本が並べられていた。後者は運動部へ入る新入生をターゲットにしていそうだ。
受付のすぐ横には数冊の漫画が置かれて、4つほどテーブルを挟んだ両隣には図鑑などの大きな書籍が揃えられていた。メインとなる小説などの本は5つの本棚と部屋の奥の大棚に置かれている。
(まぁ、ここで借りるなら近くの図書館でもいいかな……)
広さや本の種類で比べてしまうとそう思うけど、図書室の雰囲気自体は落ち着いた感じだ。中学の時は騒がしいグループがいることが多くて、あまり立ち寄らなかったけど、これなら勉強なり、文芸部の創作なりで訪れてもいいかもしれない。
「おお、キミ! キミじゃないか!」
「えっ?」
そんなことを思いながら本棚を眺める僕の後ろから何だか聞き覚えのある声がした。振り向くと、体が触れるほど近くにその人はいた。
「あ、あなたは……清水、先輩」
「えっ? なぜ私の名前を?」
会ったのは覚えてるのに名乗ったのは忘れているのか、と口に出さずにツッコんだ。
「先輩? ということはキミは後輩だったのか。いや、そもそも同じ学校とは驚いた」
それは僕も同じと言いたいところだけど、先週、松永から聞いた話のせいで、この学校にいるんじゃないかとは思っていた。名前だけならまだしも二つ名のエキセントリックまで当てはまる人はそうそういるものではない……と信じたい。
「ところで、日記は順調かい?」
「えっ? まぁ……はい」
「実はあの後、私も日記をつけ始めたんだ。日々の記録を見るのも悪くないと思って」
「そうなんですか?」
「それから月曜日に飽きちゃったけど、ははは」
それは土曜に始めたとしても三日坊主で終わっていることになる。なぜそんな話を僕にと思ったけど、それはこの際どうでもいい。僕は松永と……一応、自分のためにも確認すべきことがある。
「それで、今日はなぜ図書室にいるんだ?」
「それは……」
僕は清水先輩の話を適当に流しながら、彼女を観察してみる。……確かに三大美人と言われるだけあって、透明感というか、清潔感というか、そういう雰囲気はある。
「なるほど、キミは文芸部に入ったんだな。ということは、文化祭ではキミの作品が読めるということか」
長い髪をかき分ける仕草や立ち姿も何となく上品な感じがして、もしかしたらこういうところが美人の方としてピックアップされたのかもしれない。
「……私の顔に何かついてる?」
「わっ!?」
清水先輩が急に目と鼻の先になるほど顔を近づけたので、僕は大きくのけ反る。その行動に照れるよりもひやりとするのは、この人の行動がよく読めないからだ。
「なんだ? どうかしたのか?」
「いや、距離間! 考えてください!」
「こらっ、図書室では静かにするものだぞ」
やっぱりこの人は変な人だ。エキセントリックの二つ名を付けた人はよく見ていると思う。
「夢愛、また何か……あら?」
ざわざわとしていた僕と清水先輩のところにやって来たのは、図書館であったもう一人の女性だった。
「あなたもこの学校の……というのはもう夢愛とやったかしら?」
「ああ、しかも後輩らしいぞ」
何故か誇らしげに言う清水先輩に、もう一人の女性は「はいはい」と聞き流す。この対応は相当慣れているやつだ。
「私は2年の桜庭小織。あなたは?」
「1年の産賀良助です」
「産賀くんね。また夢愛が迷惑をかけたようでごめんね」
「いえ、そんなことは――」
「そんなことはないぞ、小織」
僕の言葉を遮った清水先輩を見て、桜庭先輩はため息をつく。
「私たちはそろそろ行くわ。産賀くんはごゆっくり」
「だそうだ。また会おう」
いつか見たように桜庭先輩が清水先輩を引っ張りながら図書室から去っていった。
はて、今日はどうして図書室に来たんだっけ? そう思ってしまうほど、三大美人とそのご友人との濃い時間を過ごすことになってしまった。
それはそれとして、今日の昼休みは図書室に訪れていた。文芸部になったのだから図書室の本にも目を通しておこうと思ったのと、純粋に学校の図書室に興味があったことからやって来たのだ。
1階にある図書室は広さとしては教室とそれほど変わりなく、本の種類もそこそこといった感じだ。中に入ってすぐのコーナーには直近の小説とスポーツに関する本が並べられていた。後者は運動部へ入る新入生をターゲットにしていそうだ。
受付のすぐ横には数冊の漫画が置かれて、4つほどテーブルを挟んだ両隣には図鑑などの大きな書籍が揃えられていた。メインとなる小説などの本は5つの本棚と部屋の奥の大棚に置かれている。
(まぁ、ここで借りるなら近くの図書館でもいいかな……)
広さや本の種類で比べてしまうとそう思うけど、図書室の雰囲気自体は落ち着いた感じだ。中学の時は騒がしいグループがいることが多くて、あまり立ち寄らなかったけど、これなら勉強なり、文芸部の創作なりで訪れてもいいかもしれない。
「おお、キミ! キミじゃないか!」
「えっ?」
そんなことを思いながら本棚を眺める僕の後ろから何だか聞き覚えのある声がした。振り向くと、体が触れるほど近くにその人はいた。
「あ、あなたは……清水、先輩」
「えっ? なぜ私の名前を?」
会ったのは覚えてるのに名乗ったのは忘れているのか、と口に出さずにツッコんだ。
「先輩? ということはキミは後輩だったのか。いや、そもそも同じ学校とは驚いた」
それは僕も同じと言いたいところだけど、先週、松永から聞いた話のせいで、この学校にいるんじゃないかとは思っていた。名前だけならまだしも二つ名のエキセントリックまで当てはまる人はそうそういるものではない……と信じたい。
「ところで、日記は順調かい?」
「えっ? まぁ……はい」
「実はあの後、私も日記をつけ始めたんだ。日々の記録を見るのも悪くないと思って」
「そうなんですか?」
「それから月曜日に飽きちゃったけど、ははは」
それは土曜に始めたとしても三日坊主で終わっていることになる。なぜそんな話を僕にと思ったけど、それはこの際どうでもいい。僕は松永と……一応、自分のためにも確認すべきことがある。
「それで、今日はなぜ図書室にいるんだ?」
「それは……」
僕は清水先輩の話を適当に流しながら、彼女を観察してみる。……確かに三大美人と言われるだけあって、透明感というか、清潔感というか、そういう雰囲気はある。
「なるほど、キミは文芸部に入ったんだな。ということは、文化祭ではキミの作品が読めるということか」
長い髪をかき分ける仕草や立ち姿も何となく上品な感じがして、もしかしたらこういうところが美人の方としてピックアップされたのかもしれない。
「……私の顔に何かついてる?」
「わっ!?」
清水先輩が急に目と鼻の先になるほど顔を近づけたので、僕は大きくのけ反る。その行動に照れるよりもひやりとするのは、この人の行動がよく読めないからだ。
「なんだ? どうかしたのか?」
「いや、距離間! 考えてください!」
「こらっ、図書室では静かにするものだぞ」
やっぱりこの人は変な人だ。エキセントリックの二つ名を付けた人はよく見ていると思う。
「夢愛、また何か……あら?」
ざわざわとしていた僕と清水先輩のところにやって来たのは、図書館であったもう一人の女性だった。
「あなたもこの学校の……というのはもう夢愛とやったかしら?」
「ああ、しかも後輩らしいぞ」
何故か誇らしげに言う清水先輩に、もう一人の女性は「はいはい」と聞き流す。この対応は相当慣れているやつだ。
「私は2年の桜庭小織。あなたは?」
「1年の産賀良助です」
「産賀くんね。また夢愛が迷惑をかけたようでごめんね」
「いえ、そんなことは――」
「そんなことはないぞ、小織」
僕の言葉を遮った清水先輩を見て、桜庭先輩はため息をつく。
「私たちはそろそろ行くわ。産賀くんはごゆっくり」
「だそうだ。また会おう」
いつか見たように桜庭先輩が清水先輩を引っ張りながら図書室から去っていった。
はて、今日はどうして図書室に来たんだっけ? そう思ってしまうほど、三大美人とそのご友人との濃い時間を過ごすことになってしまった。
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