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裸夫が描きたい自称清楚系ヒロインはあらゆる手段で俺を脱がせようとしてくる
シャイニングテルクニ
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中楚の脳みそが悪い意味できちんと働いていることを確認した俺はそのまま中楚の枕元に座ってスマホを見始める。
それに対して中楚は不思議そうな顔で俺を見てくる。
「テルクニ……その……」
「なんだよ。言っておくけど、中楚が思っているようなことを起こすつもりはないからな」
「そうじゃなくて……いいの? アタシ、風邪引いてるからうつっちゃうかもしれないのに」
そう言った中楚はやっぱりいつも通りとはいかないようだ。中楚は時折極端に弱気というか、しおらしくなることがあるけど、今もその状態になっている。
「さっきからずっといるんだから今更だろ。それに……」
「……それに?」
「風邪引いてる時に一人になるのは心細くなるものだから、誰かいた方がいいと思うし」
「それって……テルクニがそういう経験がある感じ?」
「俺自身じゃなくて、妹が風邪引いた時にそう言ってたんだ。兄さんがいてくれて良かったって」
「……テルクニ、妹いたんだ」
「言ってなかったっけ?」
「言ってない……か、アタシが聞き流しただけかも」
中楚は普段から人の話を聞いていないから後者の可能性もあるかもしれないが……中楚と日常的な話をするようになったのはつい最近のことで、恐らく直接的に妹の話は振っていない気がする。
「暁葉っていう中学2年生の妹がいる。中楚の兄弟は?」
「……姉が一人」
「へー 何歳?」
「女性の歳を聞くのはどうかと思う」
「す、すまん。じゃあ……」
続けて何か聞こうとするけど、中楚の機嫌が明らかに悪くなっているので、俺はその話題を打ち切る。兄弟姉妹の話なんて知りあったらすぐに出てきそうなものだけど、どうやら中楚の方で話しづらいことあるから避けられていたようだ。
「な、何か飲み物買って来ようか? こういう時も水分をしっかり取らないと……」
「飲み物は買ってるやつがあるから……他のこと頼んでもいい?」
「ああ。遠慮なく言ってくれ」
俺は親切心からそう言った。でも、その言葉を聞いた中楚は弱々しい表情から待ってましたと言わんばかりの表情に変わる。
「風邪引いた時って、熱いから汗かくでしょ?」
「なんか嫌な予感がするけど聞こう」
「でも、お風呂には入りづらいからタオルで身体を拭いて貰うっていうのが定番じゃない? だから……テルクニに今すぐ脱いで欲しいの」
「なんだその強引な転換!? 仮に脱ぐとしても中楚の方だろ!?」
「最後まで聞いて。それでテルクニが脱いだ上でアタシも脱ぐの。それからテルクニが自分の身体をタオル代わりにしてアタシの身体を――」
「最後まで聞けるか!!! なんの話をしてるんだよ!?」
危険を感じた俺がいつも通りにツッコむと、中楚は咳き込みながら笑う。
「ごほっ……テルクニはそういうシチュエーション嫌い?」
「好き嫌いの話じゃないわ。色々混ざっててよくわからないんだよ。あと、咳出すくらいならそういう話は今日はやめとけって」
「そういう話って? どういう話?」
「エッチな話だよ。言わせるな」
「でも、この風邪を引いたっていうシチュエーションを活かせるのは今しかないから。今日はお願いしたらワンチャン脱いでくれそうな気がするし」
「遠慮なくって言葉、撤回させてくれ」
その俺の返しを聞いた中楚はまた楽しそうに笑う。弱ってしまうよりはマシだし、笑いは何にでも効く薬と例えられることはあるけど、俺の頭の中ではさっき倒れていた中楚の姿がよぎっていた。
いくら今は調子が良さそうに見えても高校生にもなって倒れるほど熱が出るのは、絶対に本調子とは言えない。
「……ごめん、テルクニ。真面目に心配してくれてるのに変なこと言って」
そう思っていたら中楚は突然しおらしい態度に戻って言う。
「えっ? ど、どうした急に?」
「だって、テルクニが楽しそうじゃないから。それにさっきも必死になって保健室まで呼びに行ってくれて……本当にありがとう。もっと早く言うべきだったけど」
中楚はそう言ってくれるけど、それよりも中楚が俺の表情から察してくれたことに少し驚いていた。俺がいつもツッコミを楽しんだいたかどうかは別として、心配しているのは当たっている。
「わかってるならいいよ。話してた方が楽になるなら、ほどほどに付き合ってやるから」
「……アタシ、ずっとわがまま言ってるよね」
「別にそんなことは……」
「嘘。絶対思ってる」
「……その問答やらないと駄目か?」
「ダメなわけじゃないけど……」
「わがままって感じはしてないな。俺が中楚の要求を呑むのは稀なことだし」
「それもそうだわ! もっとアタシの言うこと聞いてよ!」
中楚は今にも起き上がりそうな勢いでそう言う。何でそこで噛みつかれなきゃいけないんだと思ってしまったけど、これに乗ってしまうとまた話が逸れてしまう。
「それで、わがまま言ってるのがどうしたんだ」
「……自分でわかってるのにずっと甘えてるのは良くないなって。今日だって保健室へ行けばいいのにわざわざテルクニに呼んで貰って、この準備室だって長いこと占拠して、授業だって特別措置を取って貰いっぱなしで……」
「だから、自分で自分が嫌になるって話か?」
俺の言葉に中楚は毛布で少し顔を隠しながら頷いた。
弱気な発言が出るのは風邪で参ってしまっているせいか。それとも常日頃から思っていたのか。どちらにせよ中楚の中で引っかかっている部分には違いない。
話して楽になると言ったのはそういう意味じゃなかったけど、中楚が隠さず話したということは、何かしらの言葉を待っているのだろう。
ただ、それに対する答えはあまり考えることなく出てきた。
「別にいいじゃないか。わがままでも」
「えっ……!? で、でも……」
「さっきも言ったけど、俺は普段からわがままを聞いてないし、わがままだとも思ってもない。まぁ、ぶっ飛んでるとか、少しくらい自重しろとは思うことはあるが」
「それはテルクニだから……」
「いや、俺以外の人もきっと中楚が気にするほどわがままだなんて思ってないさ。そうそう。今日ここで中楚を見つける前に文芸部の部員とちょっとだけ話したんだ。まぁ、ほとんど聞かれる側だったけど。その話の中には中楚が今どうしてるのかって話もあってさ」
俺がそう言うと、中楚はひどく驚いた。たぶん悪い方に取っている驚き方だ。
「別に悪いことは何も言われてないぞ。むしろ、みんな中楚のことを心配して、また顔を見せて欲しいって感じだった」
「そ、そうなんだ……」
「それに榎沢先生も保健室の先生も中楚の今の状況をわかった上で、受け入れてるんだと思う。中楚的にはわがままだって気にしてしまうかもしれないけど、それをみんなが許してくれてる間は甘えても大丈夫さ」
そう言ったのは中楚が風邪を引いているから優しくしているわけではなく、本当に思っていることだからだ。
自分がわがままだと感じることはあまりないが、今の中楚のように自己嫌悪に陥る状況は俺も目の当たりにしたことがある。
その時の俺はここまで詳しく考えてなかったし、上手く言葉に表せなかったけど、伝えたかったのは今言ったような思いだった。
「……本当にそれでもいいの?」
毛布から顔を出した中楚は不安そうに聞く。
「少なくとも俺は構わないよ。まぁ、気にするなって言う方が無理だから、どう思うかは中楚次第だ」
「テルクニ。アタシ……なんか熱くなってきたかも」
「えっ!? ま、まさか熱がぶり返して――」
「たぶん……ムラムラしてる」
この流れで出てくると思っていなかった言葉に俺は目が点になった。
「……いや、普通にまた熱が上がっただけだろ」
「ううん。これは絶対ムラムラしてる方。だって、さっきよりも身体熱いもん」
「じゅ、重症だ……! 救急車呼ばないと」
「……テルクニ」
「何だ。おふざけもほどほどにしないと……」
「これからもアタシのわがまま聞いてね」
そう言った中楚はようやく表情が柔らかくなる。もしかしたら俺が残ってしまったことで中楚にはかえって気を張らせてしまったのかもしれない。
でも、残ったおかげで中楚の悩みが一つ解決できたのは怪我の功名だった。
「全裸になれとかそういうのは聞くつもりはないが、ちょっとした頼みなら……中楚?」
「……すー……すー」
安心した中楚はそのまま眠ってしまった。迎えを呼ぶように説得する話だったけど、せっかく落ち着けたのにすぐ起こすのは気が引ける。
幸い下校時刻まではまだ余裕があるから、俺は起こさないことにした。
「まったく……大人しくしてれば自称清楚も間違いないんだけどな」
それに対して中楚は不思議そうな顔で俺を見てくる。
「テルクニ……その……」
「なんだよ。言っておくけど、中楚が思っているようなことを起こすつもりはないからな」
「そうじゃなくて……いいの? アタシ、風邪引いてるからうつっちゃうかもしれないのに」
そう言った中楚はやっぱりいつも通りとはいかないようだ。中楚は時折極端に弱気というか、しおらしくなることがあるけど、今もその状態になっている。
「さっきからずっといるんだから今更だろ。それに……」
「……それに?」
「風邪引いてる時に一人になるのは心細くなるものだから、誰かいた方がいいと思うし」
「それって……テルクニがそういう経験がある感じ?」
「俺自身じゃなくて、妹が風邪引いた時にそう言ってたんだ。兄さんがいてくれて良かったって」
「……テルクニ、妹いたんだ」
「言ってなかったっけ?」
「言ってない……か、アタシが聞き流しただけかも」
中楚は普段から人の話を聞いていないから後者の可能性もあるかもしれないが……中楚と日常的な話をするようになったのはつい最近のことで、恐らく直接的に妹の話は振っていない気がする。
「暁葉っていう中学2年生の妹がいる。中楚の兄弟は?」
「……姉が一人」
「へー 何歳?」
「女性の歳を聞くのはどうかと思う」
「す、すまん。じゃあ……」
続けて何か聞こうとするけど、中楚の機嫌が明らかに悪くなっているので、俺はその話題を打ち切る。兄弟姉妹の話なんて知りあったらすぐに出てきそうなものだけど、どうやら中楚の方で話しづらいことあるから避けられていたようだ。
「な、何か飲み物買って来ようか? こういう時も水分をしっかり取らないと……」
「飲み物は買ってるやつがあるから……他のこと頼んでもいい?」
「ああ。遠慮なく言ってくれ」
俺は親切心からそう言った。でも、その言葉を聞いた中楚は弱々しい表情から待ってましたと言わんばかりの表情に変わる。
「風邪引いた時って、熱いから汗かくでしょ?」
「なんか嫌な予感がするけど聞こう」
「でも、お風呂には入りづらいからタオルで身体を拭いて貰うっていうのが定番じゃない? だから……テルクニに今すぐ脱いで欲しいの」
「なんだその強引な転換!? 仮に脱ぐとしても中楚の方だろ!?」
「最後まで聞いて。それでテルクニが脱いだ上でアタシも脱ぐの。それからテルクニが自分の身体をタオル代わりにしてアタシの身体を――」
「最後まで聞けるか!!! なんの話をしてるんだよ!?」
危険を感じた俺がいつも通りにツッコむと、中楚は咳き込みながら笑う。
「ごほっ……テルクニはそういうシチュエーション嫌い?」
「好き嫌いの話じゃないわ。色々混ざっててよくわからないんだよ。あと、咳出すくらいならそういう話は今日はやめとけって」
「そういう話って? どういう話?」
「エッチな話だよ。言わせるな」
「でも、この風邪を引いたっていうシチュエーションを活かせるのは今しかないから。今日はお願いしたらワンチャン脱いでくれそうな気がするし」
「遠慮なくって言葉、撤回させてくれ」
その俺の返しを聞いた中楚はまた楽しそうに笑う。弱ってしまうよりはマシだし、笑いは何にでも効く薬と例えられることはあるけど、俺の頭の中ではさっき倒れていた中楚の姿がよぎっていた。
いくら今は調子が良さそうに見えても高校生にもなって倒れるほど熱が出るのは、絶対に本調子とは言えない。
「……ごめん、テルクニ。真面目に心配してくれてるのに変なこと言って」
そう思っていたら中楚は突然しおらしい態度に戻って言う。
「えっ? ど、どうした急に?」
「だって、テルクニが楽しそうじゃないから。それにさっきも必死になって保健室まで呼びに行ってくれて……本当にありがとう。もっと早く言うべきだったけど」
中楚はそう言ってくれるけど、それよりも中楚が俺の表情から察してくれたことに少し驚いていた。俺がいつもツッコミを楽しんだいたかどうかは別として、心配しているのは当たっている。
「わかってるならいいよ。話してた方が楽になるなら、ほどほどに付き合ってやるから」
「……アタシ、ずっとわがまま言ってるよね」
「別にそんなことは……」
「嘘。絶対思ってる」
「……その問答やらないと駄目か?」
「ダメなわけじゃないけど……」
「わがままって感じはしてないな。俺が中楚の要求を呑むのは稀なことだし」
「それもそうだわ! もっとアタシの言うこと聞いてよ!」
中楚は今にも起き上がりそうな勢いでそう言う。何でそこで噛みつかれなきゃいけないんだと思ってしまったけど、これに乗ってしまうとまた話が逸れてしまう。
「それで、わがまま言ってるのがどうしたんだ」
「……自分でわかってるのにずっと甘えてるのは良くないなって。今日だって保健室へ行けばいいのにわざわざテルクニに呼んで貰って、この準備室だって長いこと占拠して、授業だって特別措置を取って貰いっぱなしで……」
「だから、自分で自分が嫌になるって話か?」
俺の言葉に中楚は毛布で少し顔を隠しながら頷いた。
弱気な発言が出るのは風邪で参ってしまっているせいか。それとも常日頃から思っていたのか。どちらにせよ中楚の中で引っかかっている部分には違いない。
話して楽になると言ったのはそういう意味じゃなかったけど、中楚が隠さず話したということは、何かしらの言葉を待っているのだろう。
ただ、それに対する答えはあまり考えることなく出てきた。
「別にいいじゃないか。わがままでも」
「えっ……!? で、でも……」
「さっきも言ったけど、俺は普段からわがままを聞いてないし、わがままだとも思ってもない。まぁ、ぶっ飛んでるとか、少しくらい自重しろとは思うことはあるが」
「それはテルクニだから……」
「いや、俺以外の人もきっと中楚が気にするほどわがままだなんて思ってないさ。そうそう。今日ここで中楚を見つける前に文芸部の部員とちょっとだけ話したんだ。まぁ、ほとんど聞かれる側だったけど。その話の中には中楚が今どうしてるのかって話もあってさ」
俺がそう言うと、中楚はひどく驚いた。たぶん悪い方に取っている驚き方だ。
「別に悪いことは何も言われてないぞ。むしろ、みんな中楚のことを心配して、また顔を見せて欲しいって感じだった」
「そ、そうなんだ……」
「それに榎沢先生も保健室の先生も中楚の今の状況をわかった上で、受け入れてるんだと思う。中楚的にはわがままだって気にしてしまうかもしれないけど、それをみんなが許してくれてる間は甘えても大丈夫さ」
そう言ったのは中楚が風邪を引いているから優しくしているわけではなく、本当に思っていることだからだ。
自分がわがままだと感じることはあまりないが、今の中楚のように自己嫌悪に陥る状況は俺も目の当たりにしたことがある。
その時の俺はここまで詳しく考えてなかったし、上手く言葉に表せなかったけど、伝えたかったのは今言ったような思いだった。
「……本当にそれでもいいの?」
毛布から顔を出した中楚は不安そうに聞く。
「少なくとも俺は構わないよ。まぁ、気にするなって言う方が無理だから、どう思うかは中楚次第だ」
「テルクニ。アタシ……なんか熱くなってきたかも」
「えっ!? ま、まさか熱がぶり返して――」
「たぶん……ムラムラしてる」
この流れで出てくると思っていなかった言葉に俺は目が点になった。
「……いや、普通にまた熱が上がっただけだろ」
「ううん。これは絶対ムラムラしてる方。だって、さっきよりも身体熱いもん」
「じゅ、重症だ……! 救急車呼ばないと」
「……テルクニ」
「何だ。おふざけもほどほどにしないと……」
「これからもアタシのわがまま聞いてね」
そう言った中楚はようやく表情が柔らかくなる。もしかしたら俺が残ってしまったことで中楚にはかえって気を張らせてしまったのかもしれない。
でも、残ったおかげで中楚の悩みが一つ解決できたのは怪我の功名だった。
「全裸になれとかそういうのは聞くつもりはないが、ちょっとした頼みなら……中楚?」
「……すー……すー」
安心した中楚はそのまま眠ってしまった。迎えを呼ぶように説得する話だったけど、せっかく落ち着けたのにすぐ起こすのは気が引ける。
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