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本編
3. 出会いは偶然か必然か
しおりを挟む鳥のさえずりが聞こえて目を覚ます。いつもと変わらない時間変わらない日常だった。
それでも、今日は何かが違った。それが何かまではわからないが·····。
ベッドから出たフレッドはサイドテーブルに置いておる呼び鈴を一つ鳴らす。すると、1人のメイドが部屋に入ってきた。
「お呼びでしょうか?」
「朝食は今日、あっちで食べたいから準備してもらえる?」
「かしこまりました。」
メイドは一礼し部屋を出ていく。フレッドは身支度をし制服に着替えた後部屋を出ていく。
玄関に行くと父親が外出するとこだった。
「お父様·····おはようございます。」
「あぁ、おはよう。気をつけて行ってくるんだぞ。」
母親が病に伏せてからフレッドと父親は最低限の会話しかしなくなった。それでも、フレッドは挨拶をするだけマシだと思っている。
フレッドも外に出ると花壇で花の世話をしている使用人の所へ向かう。
「ウィルじぃおはよう。」
「これはこれはフレッド様。おはようございます。今日も1輪でよろしいんですか?」
「あぁ、頼む。」
ウィルじぃと呼ばれた使用人は、綺麗に咲いているバラを1輪ハサミで摘むと、トゲを落としフレッドに手渡す
「こちらをどうぞ。」
「あぁ、ありがとう。」
「今日は天気もいいですし奥方様も過ごしやすいことでしょう。」
「そうだといいんだが·····」
フレッドは花を受け取りその場を後にする。そして、母親のいる部屋へ向かう。
部屋の前に着くと、コンコンとドア叩く。
「母様、フレッドです。」
「どうぞ」
フレッドはドアを開け部屋の中に入る。すると、珍しく母親が窓辺の椅子に座っていた。
「おはようございます·····今日は体調が良さそうですね?」
「そうなのよ。朝起きたらびっくりしちゃったわ。」
そう言って微笑む母親を見てフレッドは安心する。
母親はフレッドが持っていたバラを見ると更に顔を喜ばせた。
「あら、バラじゃないの。綺麗に咲いたわね。」
「そうなんです。今は庭がとても綺麗ですよ。近いうちに一緒に見に行きましょう?」
「そうね。見頃のうちに見に行かないと」
互いに視線を合わせて微笑む。そして、フレッドは持ってきたバラを花瓶に挿す。
「明日は何のお花かしら?」
「それは、ウィルじぃ次第ですよ。」
そう言ってフレッドはクスッと笑う。
「フレッドご飯は食べたの?」
「いえ、今日は用事があるので学園に行ってから済ませようかと·····」
「そうなのね?じゃあもうそろそろ出発かしら?」
その時、タイミングよくドアのノック音が響いた。母親が入室を促すと、フレッドの専属メイドが入ってきた。
「奥様、フレッド様失礼します。フレッド様準備が完了しました。」
「あぁ、ありがとう。」
「じゃあ、フレッドいってらっしゃい。」
「母様·····いってきます。」
フレッドは、母親に軽く頭を下げ部屋を出ていく。そして、そのまま学園へと向かった。
フレッドは学園に着くと、学園の裏庭にあるガゼボへと向かった。
ガゼボにつくと誰も人が居ないことに一安心する。と言っても、ここに人が来ることはほとんどない。
フレッドは椅子に腰かけると手に持っていたバスケットからサンドイッチを取り出し食べ始める。
(用事があるとか言ったけど·····ただ1人になりたいだけなんだよな·····)
人と関わるのが苦手なフレッドに学園はあまりいたくない所だ。だが、今日は何故かここに来た方がいいと直感的におもった。
だが、ただ時間が過ぎるだけで何も起きない。そろそろ教室へ向かうか迷っていたところ人の気配がした。
フレッドはすぐさま気配を消し周りをこっそり見る。すると1人の学生がこちらに近づいて来てた。
フレッドはその学生を観察する。
(見たことない奴だな·······でも、タイの色と本数は俺と同じ·····入学者か?)
観察を続けるフレッドの視線には気づかなかったのであろう。学生は講堂のある方へ戻って行った。
「行ったか·····」
自分もそろそろ戻るかと思った時だった。1枚のハンカチが落ちていた。先程までなかったそれは、きっとさっきの学生のものだろう。
普段ならこのままにしといただろう。だが何故か今日はその学生を追いかけてしまった。
「おい!ハンカチ落としてるぞ。」
そう呼びかけるが前をゆく学生はなかなか振り返らない。
「おい!!」
さらに声を大きくしても相手は気づかない。仕方ないと思ったフレッドは足を速めた。
そして、前をゆくが人物の肩を軽く叩く。すると、追いかけていた相手が後ろを振り向く。
その顔を見た瞬間フレッドは思った。
(キレイな顔のヤツだ··········)
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