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本編

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現在、リアルが忙しくしており更新が遅くなっています。来週も更新が遅くなってしまうことがあります。更新を楽しみにしてくださる方、大変申し訳ありません。











ステージ上では次々とショーが行われていく。水の魔法で作り出された空へ伸びるアーチ。次の瞬間、水のアーチがかたまり氷のアーチへと変化した。

精霊を模した女性が風魔法を使いながらその氷のアーチをくぐり抜け空へ飛んでいく。

女性が通り抜けたあと氷のアーチの周りに火がまとわりつく。そして次の瞬間、アーチがパーンっと弾ける。

小さく割れた氷は陽の光を浴びキラキラと輝いていた。キラキラと空に舞う光が綺麗で思わず手を空に伸ばしそうになってしまう。


「うわぁ~、すごく綺麗だねルー!」

「そうですね·····ギル」


属性の違う魔法をかけあわせながら使うという想像をしていなかったショーにルーカスは見とれてしまった。

夢中で上を見上げているルーカスをみてギルバードは微笑んだ。


(本当に楽しそうで·····良かった。)


ルーカスは自分からは何も言おうとしない。しかし、聞かれれば本音で答えてくれる。今回のお出かけもすぐに了解してくれたが本当にルーカスが行きたかったかはわからない。

誘いを断ろうとしないルーカスに対しギルバードは少し悩んでいることがあった。

自分が嫌な誘いがあったとしても誘いを断ろうとしないのは自分の方が身分が上だから断れないのではないかと。

 普段、表情があまり変わることのないルーカスの気持ちを判断するのは難しいのである。しかし、そんなルーカスでも自分が楽しいと感じれば少し表情が柔らかくなるし雰囲気も明るくなる。

だから、今も横で楽しそうにしているルーカスを見ることでギルバードは安心することが出来た。
ルーカスを見つめていると視線に気がついたのか、ルーカスがギルバードの方向を見た。


「ギル·····疲れましたか?」

「えっ!いや、疲れてないよ。なんで?」

「先程からこっちを見てボーッとしてるので·····」

 
ルーカスのその言葉を聞いてギルバードは恥ずかしくなり顔を赤くした。


(えっ、そんなにルーを見つめてたかな!?)


確かに少しは見ていたがルーカスに言われるほど見つめていたとは思わなかった。


「ギル?顔が赤いですけど·····もしかし暑いですか?涼みますか?それとも体調が悪いんですか?ですか?」


目の前でオロオロとしているルーカスに思わずギルバードはふふっと笑ってしまった。
急に笑いだしたギルバードをルーカスは訝しげに見た。


「大丈夫大丈夫。なんでもないよ。」

「本当·····ですか?」

「うん!」


ギルバードはルーカスを安心させるように笑うとルーカスはその笑顔を見て落ち着きを取り戻すことが出来た。

表情は変わらなくても雰囲気から読み取れる。だからこそなのか、ギルバードは最近ルーカスから目を離せなくなっていた。


(あーどうしよう·····ルーをずっと見ていても飽きないや。)


その気持ちはどこから来るのかはまだハッキリはしない。それでも、ギルバードはルーカスといれるだけで良かった。







ショーが終わり再び街の散策を始めようとした時だった。ルーカス達が進もうとしている方向から一際目立つ集団がやってきた。

この国ではあまり見られない褐色の肌と色素の濃い髪の毛を持っており、フォーサイスで見たことのない服を着ていた。


「ねぇ、ブラントあの人たちは·····エルツの国の人かな?」

「そうですね。外見だけでするのであればエルツの可能性が高いですね。」


鉱山を多く所有するエルツ。鉱石や宝石などを輸出している。フォーサイスでも見かける宝石類はほとんどエルツ産のものである。


「エルツの人達か~少し苦手なんだよね·····」


国柄なのかはわからないがエルツに住む人々は利己的な性格の人が多い。もちろん全員が利己的という訳では無い。フォーサイスとも友好関係を築いている。

エルツの人達とすれ違おうとした瞬間ルーカスはとある人物と目が合った。思わず目を逸らしてしまったが失礼な態度だったのではと思いもう一度目が合った人物を見た。

すると、目が合った人物は少し驚いた顔をしたあと、笑顔で手を振ってきた。

ルーカスは自分に手を振ってきているのかわからず首を傾げた。


「あれは·····もしかしたらエルツの王族かもしれませんね。」


着ている服にエルツの王族の印を見つけたブラントがそう呟くとルーカスはビックリした。


「あの目が合っちゃったので思わず目を背けてしまったんですけど·····」


不敬な態度を取ってしまったのではとルーカスが心配しているとダレンがルーカスを落ち着かせようと頭をポンポンと撫でた。


「この人混みのなかでたった数秒しか会ってない人間を不敬罪にするような人達じゃないですよ。大丈夫大丈夫!」

「そうだといいんですけど·····」


少し嫌な気配を感じつつもルーカスはその場を後にした。







「イグナシオ様随分ご機嫌ですね。」

「ん?そうか?」


鼻歌交じりに歩く主人を見て従者であるダビドはそう言う。

先程、イグナシオが幼子に対して手を振っていた。もとより人懐こい性格のイグナシオのため気まぐれで手を振っていたのかと思えばそれは全く違うようだった。


「ダビド·····影を使ってもいいからさっきの子供を調べろ。」

「あの少年をですか?一体なんの理由で·····」

「まぁまぁ。俺らが損することじゃねーよ。一旦調べるだけだ。」


怪しく笑う主人を見てため息をつきながらもダビドは先程の少年を調べるよう影に指示を出したのであった。
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