嫌われ愛し子が本当に愛されるまで

米猫

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本編

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建国祭の期間があっという間に過ぎて残り2日となった。建国祭の最終日は王族がパレードを行い夜には大きな花火大会がある。

街が人でごった返している中、ルーカスは自分の部屋で本を読んでいた。ルーカスは地頭がいいのか教えてもらったことはすぐに吸収していきあっという間に1人でも本が読めるようになった。

字が読めるようになってからルーカスは本の虫だった。本を読むことで知識を得れて視野が拡がっていくのがルーカスにとってはとても面白かった。

今はとある物語を読んでいた。次の展開はどうなるのかが気になり次々とページをめくっていく。

だが、次の瞬間急に視界が暗くなった。普通ならここで慌てふためくだろうがルーカスは動じなかった。


「だーれだ?」

「ギルなのはバレバレですよ。」

「えぇ~もう少し悩んでよ!」


そう言うとギルバードはルーカスから手を離した。そして、ルーカスが座っている横に置いてあった本をどかしそこに座った。


「最近は本ばっかり·····たまには身体を動かしたら?大きくなれないよ?」

「うっ·····」


同い歳だと言うのにルーカスはギルバードより一回り身体が小さかった。身体が小さいことは少しはあまり気にしてこなかったが誰かに指摘をされると少し心に刺さる。


「まず、ルーは食べる量が少なすぎ!女の子の方がもっと食べてるよ?もっと食べて身体を動かして筋肉をつけないと!」


以前に比べたら多少は食べる量が増えたルーカスだがその量はまだまだ少ない。それに、体力も筋力も周りと比べたらまだ少ない方である。


「·····善処します。」

「いつもそればっかりじゃん。まぁ、いっか!それよりもさ明日はさ俺城にいなくちゃ行けないから·····ルー今から遊びに行こ!?」

「今からですか?·····ギルが良ければ是非。」

「今日はね、街の広場で魔法を使ったショーをやるんだって!」

「本当ですか!?」


魔法という言葉にルーカスはすぐに反応した。普段はあまり表情や声のトーンが変わらないルーカスはだが好きな物になるとすぐに反応する。
その様子をみてギルバードは思わず笑ってしまった。


「ははっ、相変わらずルーは魔法が好きだね。」

「·····別に·····」

「もう、拗ねないで~!」

「拗ねてないです。」

「はいはい。じゃあ、さっさと行こう!」


あまりからかいすぎるのも可哀想と思ったギルバードは恥ずかしそうにそっぽを向いてしまったルーカスの手を取りギルバードは部屋を出て街へと向かうのであった。





今回も2人の護衛を担当したのはブラントとダレンだった。見知った2人が護衛をしてくれるということでルーカスは少し安心した。

街へつくとギルバードが無言でルーカスの手を握った。以前と比べたら人混みへの恐怖は薄れたがまだ完全ではなかった。それをギルバードは察したのか何も言わずにルーカス手を取り先を歩いた。


「ギル·····あのっ!」

「今日は人が多いからね。迷子になったら大変だよ?」


そう言ってギルバードは満面の笑みを見せた。その笑顔は何も気にしないでと物語っていた。
その気遣いはルーカスを例えようもなく嬉しくさせた。ルーカスは感謝の意を込めて握る手に少し力を込めたのだった。


街の中心にある広場に来るとそこはたくさんの人で賑わっていた。


「流石に人が多いですね。お二人共人の流れに流されないように注意して下さいね。」

「ブラントりょーかい!」


ダレンが先をゆきその後にギルバードとルーカスが歩き最後にブラントが歩くことでなんとか4人ははぐれずにショーが見やすい位置まで進んだ。

開演まであと少しということでステージの前のボルテージは最高潮だった。次の瞬間だった。


「皆さん楽しむ準備は出来てますか!?」


ステージ上に1人の女がマイクを持って現れ観客に向かって叫んだのであった。するとその声に返事をするかのようにステージ前にいた人々が声を上げた。


「おぉ~!準備万端ですね!それじゃあ早速行きましょう!」


ルーカスとギルバードはこれからステージで何が起こるのかわからずステージ上を食い入るように見つめたのであった。



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