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イケナイ身体

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 つうかそこまで事細かに知りたくなかった。
 なによ。上に跨がって擦り付けて、って。
 行為を堂々と述べる旦那様はよっぽど頭がオカシイのね。それともこれが都会の常識? まさか社交界ってそういう話もしなければならないのかしら。
 だとしたら私も淑女として時が来ればこういった類いの話も堂々としなければならないってこと?
(ええい! 女は度胸! 旦那様がクリスティーヌ様と別れた以上、パーティーに参加することも増えるんだから……!)

「えっ、そしたら……」

 そうよ。視点を変えれば今まで私が参加しなければならなかったであろうお茶会やパーティーも全てクリスティーヌ様がやってくれてたってことよ。
 だからその間私は好きなことが出来てたのに。

「こいつァてーへんだァ……!」

 釣りに行く時間がねェじゃねえか!
 私が突然叫び立ち上がるもんだから旦那様ったら驚いてピンと背筋を伸ばした。別に怒ってるわけじゃないのだけど。

 都会にすら慣れていないのに釣りに行く時間まで奪われたら恐らく祭りで大変に狂乱する。そうなったら死者が出るかもしれない。こりゃエライコッチャ。クリスティーヌ様には申し訳無いが、もう少しお世話になりたいなぁ。

「急に大声だしてどうしたんだ……!?」
「オイ! 勃たせろ! なんとしてでも!」
「は、は……?」
「つまりは勃てば良いんだろ!? 但し離婚はしない!」
「た? え、え……?」
「勃たせろつってんの!」
「いいいま……?」
「今じゃねェ! クリスティーヌ様にだよ!」

 私に勃たせてどうすんだよと足ドンして胸ぐらを掴み揺らすと、「だからそれが無理なんだと言ってるじゃないか……!」なんて生意気にも口答えしてくる。不倫してた分際で。

「何で無理なんだよ!」
「無理なものは無理だ……!」
「だから何で! 理由を言え!」
「たっ、勃たなくなったのはエマ! 君のせいなんだ……!」
「は?? コイツクソヤローか?? 人のせいにするクソヤローなのか??」
「君のッ! この太ももがイケナイんだろう……!?」
「ぎゃ!?」
「このお尻も! 全部全部! この身体のせいでッ、私は、私はッ……! クリスティーヌを傷付けてッ……!」
「ちょっとどこ触って!?」

 旦那様に足ドンしていた太ももを掴まれ、ぐるりとベッドに押し倒される。股を開かされてグニグニとお尻を揉まれ一体これはどういう状況だ。何で私のせいでクリスティーヌ様を傷付けることになるんだ。そしてコイツは何をやってやがるんだ。

「てめー! 何しやがんだコノヤローー!」

 腕の動きを封じ込めようとグッと太ももで絞め上げれば苦しそうな声を出す旦那様。少し締めすぎたのか私の上に倒れてきて、衝撃を胸のクッションで和らげている。

「ぅ゙ぅ゙……う~……」
「フフン。苦しいでしょう。旦那様が変なことするからです、よ!!?」
「ぅ゙~、ぅ゙ん、ん゙ー……ッ」

 もがき苦しんでいるのかと思えば此奴……!
 ヘコヘコ。ヘコヘコ。
 そんな擬音が聞こえてきそうな腰の動きが伝わってくるではないか……!

「は!? は!? なッ、なななななにやって……!!?」
「ふっ、ふっ、はぁッ、ん゙うっ、ん゙ッ、」

 私の恥部に何やら硬くて熱いものが当たっている。しかもヘコヘコする度に大っきくなっているような……。

「オォオオオオオイ……!! 何やってんだコラァーーー!!」

 この状況であまりにも奇怪な行動だから思い切り蹴飛ばした。相手次期侯爵だけど。
 なのに相手も懲りずに迫ってくる。

「ッは、何やってんだコラではない!! 私はもうッ、君でしかっ、エマにしかッ、勃たなくなってしまったんだよ……! 一体どうしてくれるんだ……!!」
「ッ!? はあッ!? なっ、何を仰ってるんです!?」
「君が初夜であんなに締め付けるから……! 駄目なんだよ! クリスティーヌでは!!」
「ハッ! 私のせいってそういうコト言ってやがんのか!? クリスティーヌ様がゆるゆるだって言いてェのかコイツは……!」
「クリスティーヌの為にも反論しておくがそれは違う! 君がキツキツなんだ──ッ!」
「んなァ──っ!!?」

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