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日焼けのあとは蜜の味

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「うわぁ……!? えま!? 何を……!」
「なにって、塗るんですよ」
「まッ……! きみはッ……! まさか!」
「なんですか」
「わわわたしのッ、私のものに触れるのか!? きききみの手で……! 直接ッ……! さわ、さわ!? んんんなんて大胆な……ッ!!」

 はわわわと女の子みたいに口に手をやるもんだから思わず止まって見てしまった。恥ずかしいのか酔って顔が赤いのかもう分からん。
 とろりとジェルが掌から零れ落ちてゆく。
 やばいやばいと慌てて掬えば、目の前にはそそり勃つ肉棒。

「えッ、何で。まだ塗ってないのに」
「身を任せることしか知らぬ歳ではないか……っ! それなのにッ、それなのに! 男性器を扱こうなどと……!」

 まさか想像だけで勃ったのか。お目出度い頭だ。
 でもせっかく出したジェルを戻すわけにもいかず、数秒考えたのち、エイと塗りたくった。まだ少し冷たかったのかひゃんと鳴いている。

「ああああっ……! くぅっ……、なんて淫乱な手捌き……ッ」
「塗ってるだけですけど」
「っはぁ、はあッ、ああッ! どうやら私はとんでもない妻を娶ったようだな……!」
「こっちの台詞じゃボケ」
「ボケ!?」
「ああいやその、えぇっと、旦那様酔ってますよね!??」
「酔ってなどいない!!」
「……うーん、と。ホントにするんですか?」
「当たり前だ! 君がひぃひぃ啼くのを見上げてやるさ!」
「そっすか」

 口を開けば開くほど大層ウザい夫である。
 まぁもうお勃ちになっておられるのでサクッと終わらせてちゃちゃっと寝よう。
 私はローブの腰紐をするりとほどいて上へ跨り、自身のにもジェルを馴染ませるためそこを擦り合わせた。出し過ぎてしまったおかげで潤滑剤としては十分なので、そのままツプリと中へ呑み込んでゆく。

「ん、んんっ……」
「嗚呼ッ……! これだこの穴が私を……ッ!」

 全部入って互いの熱がひろがるとじんじん痺れてきた。ゆらゆら腰を揺らして少し愉しんでいれば、旦那様の指先が此方へと伸びてきてバストの輪郭をなぞるようにして撫でる。思わず背中が反ってきゅんと締まる。

「ッは、く、うッ……まるで、搾り取られるみたいだ……。それにこの日焼けあと……貴族の女性ともあろうものが……けしからん、全くもってけしからん……」
「日焼け……」

 指先でなぞられたところ。綺麗に水着で日焼けしたあとがある。
 ずっと海で暮らしてたから気付かなかった。私はもう侯爵家の妻だから。これから社交界にだって出なきゃいけないんだから。

「そういえばクリスティーヌ様はとても色白でしたね……。そっか。日焼けは駄目なんですか。そうですか……じゃあ……これからは気を付けます」
「いや、消すな」
「は?」
「そのままで、そのままで居ろ」
「え、でも都会の淑女は……」
「私は都会の淑女と結婚したのではない。君はそのままで良い。合わせるな」
「…………そう、ですか」

 一瞬──、侯爵家の妻なのに大丈夫なのかしらって心配したけど、そっか。社交界では旦那様とクリスティーヌ様との関係は周知の事実だから、嫌々結婚した私がとんでもない奴の方が都合がいいのよね。
 辺鄙な田舎娘と都会の美しい娘、あからさまな方が同情を買いやすい。
(やっぱクソボケじゃねぇかこの男……!)

「あっ、そーですかッ! じゃお好きにさせていただきます、ねっ!」
「ひぃいい!? きみッ……! そんなに激しくしたら! ああッ……!!」
「嫌なら止めてくださいっ! ンん、あんっ!」
「締め付けが! 強すぎる……! こんなんじゃあすぐに出てしまう……!」
「いーじゃないですかっ。なかに、いっ…ぱい出して下さいよっ。そしたらっ、あッ、はやくに後継ぎが出来てっ、安心出来るんでしょ……ッ!?」
「なッ、なんて淫乱なッ! おねだりなんだ……!!」
「おねだりなんてしてねぇっ!」

 それからビリビリと海月の痺れが全身にひろがって、溢れるほどに奥に注がれた。
 くたりとそのまま眠りに落ちる旦那様の横で私はまた汚された部分を自分で拭うのだった。その後足りない酒をもう数杯飲んだのは言うまでもない。
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