異世界情報収集生活

スカーレット

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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

185.警備…?

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「ひとまず、教師役を買って出てくれたのは本当に助かったよ。こっちは時間が本当に足りなくてね。君がやってくれたことで、うちの娘に余裕ができた。ほら、私がやるべきだった情報の整理がこんなに終わってる。」

ニアに差し出した手に載せられた書類を手に軽く叩きつけることで、量をアピールして目を通し始める。

「大量の白紙を依頼された時には驚きましたが、まさかニア様の手書きですか……。」

「ニアは優秀だからね。それに、ニアがどういうものかは知っているだろう?」

「え?」

「……?え、知らない?」

これには思わず一心とニアと私の三人で顔を合わせて、もう一度ザールの顔を見る。

じっと見つめてみるけれど、噓をついているようには見えない。

「ザール、座って。殿下達はお疲れ様。今日は帰っていいよ。明日も早いから、ゆっくりお休み。」

そう言って殿下達を退出させた後、ニアの腕を外した。

「………。」

ヒュッとのどを鳴らしたザールを見て、これは本当に知らないのだろうとあたりをつける。

「知らなかった?」

「知りませんでした…。」

「一応、私の魔道具としてここに持ち込んだんだけれど。」

「…翌日通達されますので、知りませんでした…。」

それはそれでどうなのだろう…

一心と視線を交わしていると、ザールが体を縮めて呟いた。

「王城は罪人や元罪人でなければ、簡単には入れてしまう場所もあります。また、王城から自宅に帰る者もいるんです。なので、2日以上予定がある者のみ通達を行って警戒するんです。」

………

「警備って……?」

「言わないでください……。この国で犯罪といえば窃盗や横領、癒着であって、洗脳や毒、ましてや殺人なんてなかったんです……。」

それでも陛下への進言書は出したんです。……一年前ほどに。

なんてことを申し訳なさそうにいうザール。君も苦労してんのね……。

「今思えば、陛下も様子がおかしくなっていました。あの頃からどこか要領を得なかったり、お元気そうだと思えば無理な要求を権力で通そうとしたりしていました。最近では伯爵家の者達の傀儡同然です。」

「正しく今の状況を見れているようだね。よかったよ。君達がまともな判断ができているおかげで、私も動きやすくて助かるよ。」

「……そんなにも、この国の状況は悪くなっているのですね。」

「そりゃそうでしょうよ。まだわからない?今この国の権力の頂点は、伯爵家達だよ。」

「ですが、国王さえ元に戻っていただければ……。」

まだまだ甘い考えたかを持つザールに、厳しい現実のほんの一部を突きつける。

「君が見ていた国王は偽物だし、たぶん伯爵家の誰かだよ。」

「え……?それは事実なのですか?」

「私が集めた情報が信用できない?」

「…そういうわけではありませんが……。しかし、仮に王が偽物だとして、いったいいつから……。」

「たぶんだけど、精霊妃の会合があったでしょ?」

「ええ。伝え聞いております。」

「あの時は本物だけど、毒の影響は受けていたんじゃないかな。なんかちょっとぽやっとしてたし、精霊の知識があるはずなのに手にキスをしたやつを咎めなかった。それで十分でしょう。」

「しかし……。」

「精霊の知識があれば、護衛のようにそばにいて他国の王達が粗相をしないか見張らなければいけないんだ。精霊妃で、異世界からきた存在。間違った知識を植え付けられないようにしなければいけなかったんだよ。でも、彼はそうしなかった。それだけでまともじゃない。、国王としてやるべきことじゃないよ。」

そういうとザールは少し不思議そうな顔をした。私も首を傾げた。

見かねた一心が口を開く。

「マスター、彼はこの国で生まれ育ちました。他国の精霊妃に対する扱いを理解しきれていないのでしょう。」

それを聞いて納得した私は、諭すように話し始めた。

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