異世界情報収集生活

スカーレット

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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

168.混乱するでしょうね 一心視点

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「お初にお目にかかります、精霊王様方。そして改めまして、お初にお目にかかります、一心様、ニア様。お久しぶりでございます、カリストロ殿下。スガリト男爵家の次男、ザール=スガリトと申します。遅れまして、我が国にようこそおいでくださいました。そして、我が国の者達が皆様に行った無礼の数々、重ねてお詫び申し上げます。大変申し訳ございません。償いの一端になればと思い勝手ではありますが、父が店主を務めておりますスガリト商店より食器やカトラリーを送らせていただきたきました。後ほどお受け取りください。」

そう言い顔を上げ三人を見て固まり………私の方を見て、少し困惑したようすで問いかけた。

「あの……一心様。私はてっきり精霊妃様や精霊王様方に対して行うものと思っていたのですが、……これは一体?」

「貴方が教師として教えていただくのはこの方々ですよ。殿下はもとより、公爵家の二人にあまりにも知識がなかったため、基礎の基礎からお教え願いたいのです。」

「…………。」

文字通り絶句しているのだろう。貴族として厳しい教育を受けたザールは、それに加えて商人としての教育を詰め込まれている。知識の大切さはもとより、高位貴族になればなるほど情報収集が重要になることも知っている。

(疎まれている殿下は置くとしても、高位貴族である二人は何も言い訳ができない状況。)

ふとザールを見れば、フッと脱力して倒れていく。

「……………。」

「おっと。大丈夫ですか?ザール殿。」

「ああ一心殿。申し訳ありません。めまいと立ち眩みが……。」

正面から倒れそうになったザールにはほんの少し同情するが、それよりも時間がない。

「ザール殿。我が主より、常識の範囲内で学習中に行われたことならば、不敬罪には問わない。ゆえに手心を加える必要はない。もとより得ていなければいけない知識を得ていない方がおかしいのです。ですから容赦なく、お願いいたします。と言われております。」

(嘘ですが。まぁ、これなら後から報告すればいいでしょう。)

「……かしこまりました。」

「ではお願いいたします。ああ、一応、念のためにお聞きしますが。」

正直一刻も早く別の部屋の調査に向かいたいが、騎士二人に話しかけた。

「お二方も、よろしいですね?」

有無を言わせぬ笑顔を作り、困惑するザールには見えないように視線を送る。

「「「……はい………。」」」

なぜかカリストロ殿下まで返事をしていたが、まぁ彼もこの場では教わる立場ですからよしとしましょう。

「では、私はこれで失礼いたします。ああ、ザール殿。この場の護衛として精霊王たちはおりますし、補助としてニアをこの場に残します。故に他のことはお気になさらず、集中してくださって結構ですす。」

「ご配慮感謝いたします。ご期待に添えるよう、努力いたします。」

(「ニア、録音を頼みますよ。」)

(「一心兄上、了解いたしました。」)

扉を閉めて、ゆっくりと息を吐く。

(あとはニアに任せて大丈夫でしょう。)

私はできる限りの速度で、騎士団へと向かった。
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