185 / 205
ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
166.思わぬ出会い
しおりを挟む
(これで終わりましたね……。)
ようやく執務に区切りがつき、時計を見れば午前10時。
(騎士団に向かいたいところではありますが、そろそろマスターも連絡を思い出す頃でしょう。)
ひとまずニアとその他の様子を見に、殿下がいる部屋に向かう。
近づくにつれ、使用人が増え礼をされることも多くなってきた。
そして話しかけてくる者も、増えてきた。
「おや、失礼。名前をうかがっても?」
「お初にお目にかかります。精霊妃様小鳥美様の執事、一心と申します。」
「おお!これは大変失礼いたしました。私は赤の副騎士団長を務めております、ザール=スガリトと申します。いやはや、見かけない顔だったものですから。」
「お気になさらず。騎士の方が仕事をしっかりしているからこそ、我が主も王城で心が休まるというものです。」
そのうちの一人に副騎士団長がいた。
(……?なぜここに?)
本来であれば、赤の騎士団が王城にいること自体は構わない。
しかし騎士団が見回りをしているのは、さっきまでいた貴族たちの住居兼執務室のあたりのはず。
「失礼ですが、副騎士団長殿はなぜこのような場所にいらっしゃるのでしょうか。」
「………お耳を失礼。」
(「実家の方から知らせがありまして。どうやら精霊妃様がいらっしゃってからも緑のドレスを着ている令嬢達がいるようでして。」)
(「それは何とも……(命知らずな)。」 )
(「無礼極まりない行為ですが、今までは国王陛下の一存でそれを許可していたのです。ですがウィール様がいらっしゃった今、国王陛下の命よりもウィール様の意見が尊重されます。」)
そういったザールに同じように小声で返す。
(「つまり、令嬢たちがいない今洋服をすべて回収しようと?」)
(「洋服についてはこれからです。今は宰相様と陛下から、貴族令嬢たちがよく使っている仕立て屋に通達を出していただこうとこちらに参った次第です。」)
(「おや、ご存じありませんか。今は双方いらっしゃいませんよ。」)
(「なんと!……。」)
……いや待て、国王達はまだ通達を国内全域に出していなかったのか?
(精霊妃来訪の通達を正式に出したのは精霊妃様のお披露目会の時……。)
どんなに遅く考えたとて、意図的に通達を出していないのだろう。
(まぁ偽物たちは精霊妃様に対する尊敬など皆無ですからね。面倒だったのでしょう。しかし、どうやってあの場にいた公爵達の口をふさいだのか……。)
まぁ、今はそれ以上にこちらのことに集中するとしましょう。
「ところでザール様。少々お時間よろしいでしょうか。よろしければ、この国の規則などについてご教授願いたいのです。」
「………私などでよろしければ、喜んで。」
しっかりと話がしたい、という意図が伝わったのだろう。ザールはこちらを見てニコリとほほ笑んだ。
「ちょうどこちらで部屋を借りておりまして。そちらでよろしいでしょうか。」
「ええもちろんかまいません。」
「ではこちらです。」
そういって殿下たちがいる部屋に案内を始める。ついて説明するくらいには昼食の時間だろう。
(昼食のマナーやこの世界のことはニアにも教えてもらいましょう。私は離脱して、宰相の部屋を調べた後、公爵の部屋も調べなくては。)
顔を赤らめたメイドに微笑を浮かべながら、殿下の部屋の前に移動し待ってもらう。
ノックをするとニアが返事をしたので中へと一人はいれば、ほんのわずかに青い顔をした三人と目が合う。
「赤の騎士団の副団長が来ています。」
自分の部下が来たことに驚いたのだろう。レイピストが目を見開いた。
ようやく執務に区切りがつき、時計を見れば午前10時。
(騎士団に向かいたいところではありますが、そろそろマスターも連絡を思い出す頃でしょう。)
ひとまずニアとその他の様子を見に、殿下がいる部屋に向かう。
近づくにつれ、使用人が増え礼をされることも多くなってきた。
そして話しかけてくる者も、増えてきた。
「おや、失礼。名前をうかがっても?」
「お初にお目にかかります。精霊妃様小鳥美様の執事、一心と申します。」
「おお!これは大変失礼いたしました。私は赤の副騎士団長を務めております、ザール=スガリトと申します。いやはや、見かけない顔だったものですから。」
「お気になさらず。騎士の方が仕事をしっかりしているからこそ、我が主も王城で心が休まるというものです。」
そのうちの一人に副騎士団長がいた。
(……?なぜここに?)
本来であれば、赤の騎士団が王城にいること自体は構わない。
しかし騎士団が見回りをしているのは、さっきまでいた貴族たちの住居兼執務室のあたりのはず。
「失礼ですが、副騎士団長殿はなぜこのような場所にいらっしゃるのでしょうか。」
「………お耳を失礼。」
(「実家の方から知らせがありまして。どうやら精霊妃様がいらっしゃってからも緑のドレスを着ている令嬢達がいるようでして。」)
(「それは何とも……(命知らずな)。」 )
(「無礼極まりない行為ですが、今までは国王陛下の一存でそれを許可していたのです。ですがウィール様がいらっしゃった今、国王陛下の命よりもウィール様の意見が尊重されます。」)
そういったザールに同じように小声で返す。
(「つまり、令嬢たちがいない今洋服をすべて回収しようと?」)
(「洋服についてはこれからです。今は宰相様と陛下から、貴族令嬢たちがよく使っている仕立て屋に通達を出していただこうとこちらに参った次第です。」)
(「おや、ご存じありませんか。今は双方いらっしゃいませんよ。」)
(「なんと!……。」)
……いや待て、国王達はまだ通達を国内全域に出していなかったのか?
(精霊妃来訪の通達を正式に出したのは精霊妃様のお披露目会の時……。)
どんなに遅く考えたとて、意図的に通達を出していないのだろう。
(まぁ偽物たちは精霊妃様に対する尊敬など皆無ですからね。面倒だったのでしょう。しかし、どうやってあの場にいた公爵達の口をふさいだのか……。)
まぁ、今はそれ以上にこちらのことに集中するとしましょう。
「ところでザール様。少々お時間よろしいでしょうか。よろしければ、この国の規則などについてご教授願いたいのです。」
「………私などでよろしければ、喜んで。」
しっかりと話がしたい、という意図が伝わったのだろう。ザールはこちらを見てニコリとほほ笑んだ。
「ちょうどこちらで部屋を借りておりまして。そちらでよろしいでしょうか。」
「ええもちろんかまいません。」
「ではこちらです。」
そういって殿下たちがいる部屋に案内を始める。ついて説明するくらいには昼食の時間だろう。
(昼食のマナーやこの世界のことはニアにも教えてもらいましょう。私は離脱して、宰相の部屋を調べた後、公爵の部屋も調べなくては。)
顔を赤らめたメイドに微笑を浮かべながら、殿下の部屋の前に移動し待ってもらう。
ノックをするとニアが返事をしたので中へと一人はいれば、ほんのわずかに青い顔をした三人と目が合う。
「赤の騎士団の副団長が来ています。」
自分の部下が来たことに驚いたのだろう。レイピストが目を見開いた。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる