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番外編 たった一つ 5
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助手席に相手を乗せ、再び車に乗り込みエンジンをかける。
確認なんてしていなかったが、幸い内部にも故障はなかったようだ。
「では、改めてよろしくお願いいたします。ああ、道は案内しますね。ここからだと何度も曲がるので、ゆっくり進んでくださると助かります。」
「わかりました。事故を起こした後では説得力ありませんが、安全運転で参ります。」
慎重に車を動かして、知らない道を男の案内だけを頼りに進んでいった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(遠い。……………思ったより遠い。)
あれからずっと車を動かしているが、到着はまだらしい。
(もう20分も山道だぞ。……さすがに疲れてきた。)
「そこです。そこのわき道を右に行って、すぐに左に曲がれば到着です。」
少しボウっとしてきた頭でその通りに進むと、小さな小屋が見えた。
「ここです!!本当にありがとうございます。お疲れさまでした。」
「いえ、少しでもお詫びになったならよかったです。」
「一時間以上の運転、お疲れでしょう。簡単なコーヒーくらいなら出せますから、いかがです?」
「お言葉に甘えさせていただきます。」
車の外に出ると、山の空気が肺を満たして心地いい。
「どうぞ。ゆっくりしていってください。…まぁ、何もないところですけれど。」
小屋の中は簡単なキッチンがあるだけで、本当に何もない。
正直水道・電気・ガスが通っているだけで奇跡な気がする。
他にあるものといえばパソコンとコーヒーマシンと…
(あれ、ビーカー?よく見りゃ隣は実験室か?)
きょろきょろとあたりを見渡して、コーヒーに口をつける。
俺好みの酸味の強いコーヒーで、少し嬉しくなると同時に体から力が抜ける。
(……!!違う。これは……力が……)
意識が薄れていく。動かない頭で必死に考えていくが、なぜこんなことをされるのかわからない。
「お休み、愚かな警察官さん。………永遠に、ね?」
「ど…………どうして………。」
そういうと男は、さも不思議そうに答えた。
「どうして?決まってるじゃないか。」
男はにこやかな笑顔で、ドスのきいた声で答えた。
「お前が私の最愛を貶したからさ。許せるはずがないだろう?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
テレビからアナウンサーの声が聞こえる。
「今日未明、山奥の廃小屋で男性の遺体が発見されました。遺体には複数の傷がつけられており、警察は恨みを持った人物が殺害した線で捜査をしています。」
「………千葉。報告したか?」
口を開いた人物は、ジロリと男を見る
「問題ないよ、隊長。………死人に口なし、だろう?」
男は、妖艶な笑顔を返した。
「はぁ……。」
今日もこの部屋には、悪意ある噂と腐臭と血の匂いが漂っていた。
ある隊員の一人は話す。
「副隊長の前で隊長の悪口を言うとは……あいつ、自殺希望者か狂人か?」
ある隊員の一人は返す。
「なに言ってんだ。副隊長がそれぐらいで起こるわけないだろう?あのお優しい、副隊長様が。」
「そ、そうだよな!なんたって優しいことで有名なあの副隊長だもんな!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「………ニュースをお伝えします。先日発見された、廃小屋の死体を殺害した犯人が逮捕されました。犯人達は闇金グループの構成員だと判明しており、犯人達の多くは犯行を否定しています。しかし、その内一人の供述によれば、一方的に車をぶつけた上で相手側に非があるとこじつけ、高額の修理費を払うために闇金の契約をしろと迫ったとのことです。しかし死亡した〇〇さんは契約書に名前を書こうとせず、無理やり書かせようと暴力をふるい、やりすぎて殺してしまったとのことです。警察はその線で、調べを進めています。」
確認なんてしていなかったが、幸い内部にも故障はなかったようだ。
「では、改めてよろしくお願いいたします。ああ、道は案内しますね。ここからだと何度も曲がるので、ゆっくり進んでくださると助かります。」
「わかりました。事故を起こした後では説得力ありませんが、安全運転で参ります。」
慎重に車を動かして、知らない道を男の案内だけを頼りに進んでいった。
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(遠い。……………思ったより遠い。)
あれからずっと車を動かしているが、到着はまだらしい。
(もう20分も山道だぞ。……さすがに疲れてきた。)
「そこです。そこのわき道を右に行って、すぐに左に曲がれば到着です。」
少しボウっとしてきた頭でその通りに進むと、小さな小屋が見えた。
「ここです!!本当にありがとうございます。お疲れさまでした。」
「いえ、少しでもお詫びになったならよかったです。」
「一時間以上の運転、お疲れでしょう。簡単なコーヒーくらいなら出せますから、いかがです?」
「お言葉に甘えさせていただきます。」
車の外に出ると、山の空気が肺を満たして心地いい。
「どうぞ。ゆっくりしていってください。…まぁ、何もないところですけれど。」
小屋の中は簡単なキッチンがあるだけで、本当に何もない。
正直水道・電気・ガスが通っているだけで奇跡な気がする。
他にあるものといえばパソコンとコーヒーマシンと…
(あれ、ビーカー?よく見りゃ隣は実験室か?)
きょろきょろとあたりを見渡して、コーヒーに口をつける。
俺好みの酸味の強いコーヒーで、少し嬉しくなると同時に体から力が抜ける。
(……!!違う。これは……力が……)
意識が薄れていく。動かない頭で必死に考えていくが、なぜこんなことをされるのかわからない。
「お休み、愚かな警察官さん。………永遠に、ね?」
「ど…………どうして………。」
そういうと男は、さも不思議そうに答えた。
「どうして?決まってるじゃないか。」
男はにこやかな笑顔で、ドスのきいた声で答えた。
「お前が私の最愛を貶したからさ。許せるはずがないだろう?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
テレビからアナウンサーの声が聞こえる。
「今日未明、山奥の廃小屋で男性の遺体が発見されました。遺体には複数の傷がつけられており、警察は恨みを持った人物が殺害した線で捜査をしています。」
「………千葉。報告したか?」
口を開いた人物は、ジロリと男を見る
「問題ないよ、隊長。………死人に口なし、だろう?」
男は、妖艶な笑顔を返した。
「はぁ……。」
今日もこの部屋には、悪意ある噂と腐臭と血の匂いが漂っていた。
ある隊員の一人は話す。
「副隊長の前で隊長の悪口を言うとは……あいつ、自殺希望者か狂人か?」
ある隊員の一人は返す。
「なに言ってんだ。副隊長がそれぐらいで起こるわけないだろう?あのお優しい、副隊長様が。」
「そ、そうだよな!なんたって優しいことで有名なあの副隊長だもんな!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「………ニュースをお伝えします。先日発見された、廃小屋の死体を殺害した犯人が逮捕されました。犯人達は闇金グループの構成員だと判明しており、犯人達の多くは犯行を否定しています。しかし、その内一人の供述によれば、一方的に車をぶつけた上で相手側に非があるとこじつけ、高額の修理費を払うために闇金の契約をしろと迫ったとのことです。しかし死亡した〇〇さんは契約書に名前を書こうとせず、無理やり書かせようと暴力をふるい、やりすぎて殺してしまったとのことです。警察はその線で、調べを進めています。」
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