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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

152.アウト

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思わずぶん殴ってしまったが……え?これ、え?

「小鳥美病人!病人相手だよ!!」

「えー………。」

めっちゃ元気ですけど?!

え?なにこれ?

ナニコレ?

めっちゃ元気でハッスルしているおじさまだけれど?


「………病人?」

「そこには激しく同意するけれど、病人だよ小鳥美。」


ゲッホゲホしている自称国王を放置して会話を続けていると、ようやく復活したらしい。 

「あら……改めまして。お初にお目にかかります、精霊妃小鳥美様。お久しぶりでございます、世界樹ウィール様。ライミリの国王を務めておりますガストロ=ライミリです。お二方の前でこのような格好…誠に申し訳ございません。」

(本物ですよ皆さん。………これ、本物だって。)

ちょっと遠い目をしながら視線を逸らす。……いつだって信じたくない真実はあるのさ……。

「かまわないよ。こっちも楽にしているからね、気にせず楽にするといい。」

「はっ。」

現実逃避をしている間に、ウィール様の話は終わったらしい。ならば、と威圧しながらガストロに向き合う。

「じゃあ早速聞かせてもらおうか。ガストロ=ライミリ。なぜ君はこんな短時間で回復することが出来たのかな?私が持っている知識をもとにした結果、あなたが目を覚ますまでには最低一週間はかかると考えていたのだけれど。」

嘘は許さない。

そう伝える代わりに眼光を鋭くしてじっと観察する。

その目に怯えることなくガストロはこちらをじっと見て、ふっと顔を緩めた。

「簡単なことでございます、精霊妃様。私の最愛である前王妃の死亡の原因は、毒でした。ゆえに毒に対してはより一層警戒しておりました。私がこうして回復しているのは、今回使われたものに対しても解毒の効果を発揮する、この魔術具のおかげでございます。」

そう言って見せてくれたのは、ネックレスの大きな飾りに隠れるように後ろについていた、指輪。

「?いささか小さすぎないかい?」

「ウィール様、し―!」

そうウィール様がつぶやいてしまうほど小さな指輪。どう頑張っても成人男性の指はおろか、私にも無理なサイズをしている。

「お気遣いありがとうございます、小鳥美様。ウィール様、これはカリストロに渡す指輪ですので。まだ子供のカリストロの指のサイズですから、小さいのは当然と言えます。」

飾りと対比で小さく見えるとはいえ、どう見たって指輪は子供用に見える。………?

「ちょっと待って、殿下用?」

「ええ、我が子カリストロに渡す予定です。」

殿下だって成人してるぞ?……

「………ガストロ=ライミリ、ちょっと真面目な質問だから正直に答えて。今現在、カリストロ殿下は何歳になる?」

ふにゃりと顔を緩めたガストロは、どこか嬉しそうに答えた。

「今年で10歳になります。」

「アウト。」

思わず口に出してしまったが、後悔はしていない。

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