異世界情報収集生活

スカーレット

文字の大きさ
上 下
161 / 205
ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

142.減点減点また減点

しおりを挟む
アーこちら千利。千利よりレイピストへ。
そんな、おやまあびっくり!な顔されても40点は40点です。

……ションボリされても点数は変わりませーん。ま、一夜漬けにしてはいい方だけれどね。

扉が完全に閉まった事を見計らって、胸元から個包装のクッキーを一つ取り出し殿下に放る。

「昨夜ぶりです殿下。早速ですが昨日毒の知識詰め込みましたよね?じゃあそれ、毒入りかどうか判断できますよね?」

「……昨夜ぶりです精霊妃様。ひとまず毒入りだろうと何だろうとクッキーを投げないでください。そしてこれは毒入りです。」

「じゃあ暗殺者に、いついかなる時でもナイフを投げないでください、なんて聞いてもらえると思います?ちなみに正解です。」

(そして残念でした減点です。)

「………。」

「そしてヤドゥール=ガディア。貴方の剣は飾りかしら?信頼できる者であろうと護衛対象に何かが投げつけられたのであれば叩き落としなさい。ナイフや攻撃用の魔術具だったらどうする気かしら?」

「油断しました。申し訳ございません。」

(ついでにあなたも減点です。)

「ただでさえ今までのつけで、騎士とは思えぬほど体力を始めとした全ての能力が落ちているのだから、反射神経ぐらい身につけなさい。」

「はい。」

「最後にレイピスト?何を呆然としたまま突っ立っているのでしょうか?私は精霊妃ですよ?この世界の、身分上から二番目。エスコ-ト、しないといけませんよね?」

「おっしゃる通りです。ちなみに精霊妃様、その口調はいかがしましたか?」

(もちろんあなたも減点です。)

「全く………相手に隙を見せないようにお願いしますよ。そしてこれは社交用精霊妃の口調です、慣れてください。」

「マスター、発言をよろしいでしょうか?」

「ん?どうした一心?」

「その割には口調が崩れているようですが?」

「言うんじゃないよ一心。」

扇で口元を隠し、レイピストのエスコートを受けソファーに座る。

「あわせてマスター、以前から申し上げているはずなのですが、いつになったら胸元から物を取り出すのをやめていただけるので?」

ソファーの後ろから少し身を乗り出して、目が笑っていない笑顔をこちらに向ける一心。
紅茶を飲んでシレッと、一心の方を向きもせずに答える

「永遠に来ないんじゃないかな?」

「……一応聞きますが、理由はどういったもので?」

「日常で行う動作の中で触れない場所の中で、触れられた場合相手を批判でき、相手に何を隠しているのか悟られない場所だからですが?」

「はぁ………。」

私の答えに説得を諦めたのだろう。一心はため息を吐いてニアの方を向き、真面目な顔でニアに話しかけた。

「いいですかニア。貴方はマネしてはいけませんからね。あれはマスターが生き抜くために使っていたせいで癖づいただけなのですから。あれは本来褒められたものではありません。分かりましたね?」

「分かりました。しかし一心兄上、マスターのおっしゃるように効率的ではないでしょうか。」

「淑女として問題大ありです。効率的なのは認めますがやめなさい。分かりましたね、ニア。」

「分かりました。」

………言外に、淑女として見本にするなって言われてない?マスター傷付くよ?
やろうと思えばマスターできる子だよ?一心?目、合わせようか一心?

「まあいいや、ひとまず殿下。今日からは毒よりも優先して威厳を身につけていただきます。殿下は王太子としての威厳を、騎士二人は騎士隊長としての威厳と殺気を身につけられるよう、頑張ってくださいな?」

「発言を、よろしいでしょうか精霊妃様。」

「ええヤドゥール、もちろんですわ。」

「………夜会までに、身につけられるのでしょうか。」

「3日後夜会ですよね?演技でいいので相手を圧倒させられるような圧を身につけてください。何なら魔法使ってもいいですから。」

「わかりました。」

「それから、教師役としてニアがここに残ります。私は別件で用がありますので。また護衛として、水と氷と闇と光の精霊王が残ります。」

「…かしこまりました。皆様、よろしくお願いいたします。」

少し引きつった笑顔で、殿下は答えた。

(………これくらいの威圧には耐えてもらわないと困るんだけど……)

こっちもこっちで心配になるから、どうにか頑張ってほしいね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹
ファンタジー
辺境の片田舎の弱小貴族の一家の屋敷に、ある日高位貴族達のちょっとした気まぐれで高位貴族とその子息子女、更に第二王子殿下までもが滞在することになってしまった。 田舎貴族の次男クリスはその頃から、奇妙な白昼夢を見るようになる。それは屋敷に滞在している王子や令嬢、令息達の未来のように思えた。 不幸になりそうな未来なら何とか手助けしたい!でも、本当に起きることのかな? 半信半疑のまま、手助けできそうなことを、やりたいようにやっていく。 ただし、普段は魔道具を作ったり、魔獣を倒したり、美味しいご飯を食べたり、緩くマイペースに辺境ライフを楽しんでいます!

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

転生召喚者は異世界で陰謀を暴く~神獣を従えた白き魔女~

*⋆☾┈羽月┈☽⋆*
ファンタジー
両親亡き後、叔父夫婦に冷遇されながら孤独に生きてきた少女・白銀葵。 道路に飛び出した子供を助けた事により命を落とした――はずだった。 神界で目を覚ました葵は時空の女神クロノスと出会い、自身の魂に特別な力が宿っていることを知る。 その答えを探すために異世界に転生することになった葵はシエル・フェンローズとして新たな人生を歩む事になった。 しかし転生召喚の儀式中、何者かに妨害され、危険区域ヴェルグリムの深森へと転送されてしまう。 危険区域の深層部で瀕死の神獣を救い、従魔契約を結ぶことになった。 森を抜ける道中で変異種の討伐に来た騎士団と出会い、討伐任務に参加することになったシエルと神獣。 異世界で次第に明かされていくシエルの正体。 彼女の召喚が妨害された背景には世界を巻き込む陰謀が隠されていた――。 前世で安易に人を信じられず、孤独だった少女が異世界で出会った仲間と共に陰謀を暴き、少しずつ成長していく物語――。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

処理中です...