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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
135.優秀なのはこの国限定
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「まず先に、レイピスト=セルバ。貴方の答えを聞かせなさい。」
「私は現状維持を望みます。」
「はぁ…それを具体的に説明して。」
「?赤の騎士団団長兼カリストロ殿下の護衛騎士として生活することを望みます。」
「カリストロ殿下はいずれカリストロ陛下となります。貴方はその時も護衛騎士として就くことを望み、赤の騎士団団長を兼任するという事?」
「はい。」
いい加減頭が痛い。
ああ一心、頭痛薬ありがとう。うちの息子が優秀で有能なのが心から嬉しいよ。
「二人とも、殿下から陛下になることで騎士団長と言う肩書は同じでも、それを取り巻く環境や立ち位置が変わってくるのは分かってるの?」
「「?」」
「あ、駄目だこれ。」
「マスター、私から説明しましょうか?」
「お願いしていい?なんかもう………疲れた。」
「愚者を前にすると話すだけで大変ですから、当然かと。ウィール様を交えて現状確認をしていただきますか?」
「多分意味ないからいいや。」
「本音は?」
「思っていた数倍アホなこいつらに主ほどではないけれど美しいウィール様を近づけたくない。」
「了解いたしました。では、その様に。」
全く持って取り繕えていないが、もうどうでもいい気がしてきた。
「……散々な言いようですね。」
なんて小声で言っている奴がいるけれど、ピクリと動いたニアに任せてしまおう。
私はお茶が食べたい。小精霊という癒しが欲しいけれど、ウィール様の命令でいないから寂しいね。
そんなことを思いながら小さいシュークリームを口に放り投げて、呼びかけと共に投げられた殿下を受け取る。
「?」
「マスターはお疲れでしょうから守られる側としての心構えはマスターから、守る側の心構えは私達で分担しましょう。…ああ、ご安心ください。殺しはしませんし、静かに行いますので。」
「了解。じゃ、あっち借りるねー。一心人払いよろしく~。」
「元から隣の部屋もウィール様の命令で誰も入れないようになっています。また、毒の検査は終わっておりますのでご安心してお使いください。」
「了解!んじゃ殿下、行きましょうか。」
「?…?!」
いまだに投げれたことで放心状態の殿下を引きずり、部屋へとごあんなーい♪
さあさあきっちり絞めてあげようね~。大丈夫、殺さない死なない。
「ヒッ?!せ、精霊妃様なぜそのような笑みを…。」
「なんでだろうねぇ?怒りが突き抜けて楽しくなってきたかなぁ?それとも…」
押さえてはいるものの僅かに全身を震わせる殿下に、死神の微笑みと名高い顔で嗤う。
「貴方があまりにも無能だったからかな。」
ズルズルと引きずってベッドに放り投げ、上に跨りその首にナイフを当てる。
「たとえ相手が女性であろうと、殿下が王族である限りこういったことは起こります。それ自体は分かりますね?」
「えっ…ええ、今まで何度か刺客が送られてきました。しかし、護衛騎士がいれば問題ないのでは?」
「では、護衛騎士が入れないお風呂場の中や閨ではどうするおつもりで?」
「ねっ!?………ね……やで襲撃されることなどないでしょう。」
顔を赤くして否定する殿下に、嘲笑で返す。
「おや素晴らしい。殿下は未来に起きる出来事をご存じの様子。そうでなければ何故、妻となった人間に殺される可能性がないなど言い切れるのですか?」
「妻となる人物は徹底的に調査されるからです。調べている事実は隠され、相手はそれを知ることも無い。」
「まったくもって信じられませんね。今回の獲物である伯爵家達に情報漏洩した上、情報収集能力は私の足元にも及ばない。それで?私に情報の精度と管理を信頼させるための実績はなんです?」
「それ…は。」
「一応言っておきましょうか。他国から見ればどれもこれもこの国の能力は低いんですよ。情報に関することも、騎士、文官の質も貴族の教育だってそうです。」
「そんなことが、ありえるのですか?」
「私の集めた情報は信用ならないと?」
「いえ!そのようなことは。」
「こんなことは、少し調べればわかるんですよ。だからこそこの国に嫁入り、婿入りしてくる人物は一人の例外なく優秀と言われているのですから。実際には、他国からすれば平凡な才でも全体の質の悪いこの国では優秀と見えるだけなんですよ。」
そういうと殿下は黙った。少しは思い当たることがあったのだろう。と言うか、本当に気付かなかったらしいな。
王城に来る人達は優秀じゃないといけない。だからこそ殿下に関われる人達は他国から来た人が多いはずだけれど……。
(まぁ、爆弾殿下なら人とも関われなかったのかな?国王が元気な時でもそれを疑問に思わない時点で、この国の質が分かるってものだね。伯爵家があんなにアホなのも納得できてしまう。)
ひとまずこの真面目王太子には、貴族としての常識から全てを教えなければいけないらしい。
(………教育は鞭と飴が基本だっけ?なら飴と言う名目で国王に放り投げよう。)
あと何杯飲めばこの時間が終わるのわからない紅茶を、自分で注いだ。
「私は現状維持を望みます。」
「はぁ…それを具体的に説明して。」
「?赤の騎士団団長兼カリストロ殿下の護衛騎士として生活することを望みます。」
「カリストロ殿下はいずれカリストロ陛下となります。貴方はその時も護衛騎士として就くことを望み、赤の騎士団団長を兼任するという事?」
「はい。」
いい加減頭が痛い。
ああ一心、頭痛薬ありがとう。うちの息子が優秀で有能なのが心から嬉しいよ。
「二人とも、殿下から陛下になることで騎士団長と言う肩書は同じでも、それを取り巻く環境や立ち位置が変わってくるのは分かってるの?」
「「?」」
「あ、駄目だこれ。」
「マスター、私から説明しましょうか?」
「お願いしていい?なんかもう………疲れた。」
「愚者を前にすると話すだけで大変ですから、当然かと。ウィール様を交えて現状確認をしていただきますか?」
「多分意味ないからいいや。」
「本音は?」
「思っていた数倍アホなこいつらに主ほどではないけれど美しいウィール様を近づけたくない。」
「了解いたしました。では、その様に。」
全く持って取り繕えていないが、もうどうでもいい気がしてきた。
「……散々な言いようですね。」
なんて小声で言っている奴がいるけれど、ピクリと動いたニアに任せてしまおう。
私はお茶が食べたい。小精霊という癒しが欲しいけれど、ウィール様の命令でいないから寂しいね。
そんなことを思いながら小さいシュークリームを口に放り投げて、呼びかけと共に投げられた殿下を受け取る。
「?」
「マスターはお疲れでしょうから守られる側としての心構えはマスターから、守る側の心構えは私達で分担しましょう。…ああ、ご安心ください。殺しはしませんし、静かに行いますので。」
「了解。じゃ、あっち借りるねー。一心人払いよろしく~。」
「元から隣の部屋もウィール様の命令で誰も入れないようになっています。また、毒の検査は終わっておりますのでご安心してお使いください。」
「了解!んじゃ殿下、行きましょうか。」
「?…?!」
いまだに投げれたことで放心状態の殿下を引きずり、部屋へとごあんなーい♪
さあさあきっちり絞めてあげようね~。大丈夫、殺さない死なない。
「ヒッ?!せ、精霊妃様なぜそのような笑みを…。」
「なんでだろうねぇ?怒りが突き抜けて楽しくなってきたかなぁ?それとも…」
押さえてはいるものの僅かに全身を震わせる殿下に、死神の微笑みと名高い顔で嗤う。
「貴方があまりにも無能だったからかな。」
ズルズルと引きずってベッドに放り投げ、上に跨りその首にナイフを当てる。
「たとえ相手が女性であろうと、殿下が王族である限りこういったことは起こります。それ自体は分かりますね?」
「えっ…ええ、今まで何度か刺客が送られてきました。しかし、護衛騎士がいれば問題ないのでは?」
「では、護衛騎士が入れないお風呂場の中や閨ではどうするおつもりで?」
「ねっ!?………ね……やで襲撃されることなどないでしょう。」
顔を赤くして否定する殿下に、嘲笑で返す。
「おや素晴らしい。殿下は未来に起きる出来事をご存じの様子。そうでなければ何故、妻となった人間に殺される可能性がないなど言い切れるのですか?」
「妻となる人物は徹底的に調査されるからです。調べている事実は隠され、相手はそれを知ることも無い。」
「まったくもって信じられませんね。今回の獲物である伯爵家達に情報漏洩した上、情報収集能力は私の足元にも及ばない。それで?私に情報の精度と管理を信頼させるための実績はなんです?」
「それ…は。」
「一応言っておきましょうか。他国から見ればどれもこれもこの国の能力は低いんですよ。情報に関することも、騎士、文官の質も貴族の教育だってそうです。」
「そんなことが、ありえるのですか?」
「私の集めた情報は信用ならないと?」
「いえ!そのようなことは。」
「こんなことは、少し調べればわかるんですよ。だからこそこの国に嫁入り、婿入りしてくる人物は一人の例外なく優秀と言われているのですから。実際には、他国からすれば平凡な才でも全体の質の悪いこの国では優秀と見えるだけなんですよ。」
そういうと殿下は黙った。少しは思い当たることがあったのだろう。と言うか、本当に気付かなかったらしいな。
王城に来る人達は優秀じゃないといけない。だからこそ殿下に関われる人達は他国から来た人が多いはずだけれど……。
(まぁ、爆弾殿下なら人とも関われなかったのかな?国王が元気な時でもそれを疑問に思わない時点で、この国の質が分かるってものだね。伯爵家があんなにアホなのも納得できてしまう。)
ひとまずこの真面目王太子には、貴族としての常識から全てを教えなければいけないらしい。
(………教育は鞭と飴が基本だっけ?なら飴と言う名目で国王に放り投げよう。)
あと何杯飲めばこの時間が終わるのわからない紅茶を、自分で注いだ。
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