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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
127.湧き上がる不穏
しおりを挟む「おかえりなさいませ、マスター。」
そう言って出迎えてくれる可愛い子供たちに笑顔を返して、情報を簡単にまとめて投げ渡す。
既に朝食の時間になっていたらしいので、報告を聞きながら朝食を食べ進める。
どうやら予想通りと言うかなんというか、昨日の帰りに襲撃?された事実はきれいさっぱり何も伝わらなかったらしい。
「おかげで馬鹿の洗い出しに役立ちました。」
とは息子談。
「馬鹿が集まった国なんだよ、きっと。」
「最高神様が造られた人間に欠陥は無かったから、彼らの遺伝性じゃないかな?努力しない癖と搾取する、される癖がついている気がするよ。」
とはウィール様と神様談。
「そうだ一心、国王って賢王と呼ばれているらしいね?」
「はい。他国からの評価も高く毅然とした様子だったと。いうなれば、精霊の領域に来て会合に参加していた時の様な。」
「じゃあ、精霊妃と精霊に関して正しい知識を持っているってことだよねぇ。」
「そうなりますね。」
「じゃあなんで王妃を優先させた?」
「不明です。しかし気になることがございます。」
「ん?」
「近づかなかったため僅かですが、薬草の香りを検出いたしました。」
(……)
「ウィール様、フォルじい。世界樹&樹の精霊王として聞くけど、人を操る薬草や薬品は存在する?」
「するよ。確か、ペカニブル国とパラミウス国に生えてる薬草から作れたような気がするね。」
ペカニブルは呼び出したアホの国で、パラミウスは精霊に否定的で、精霊の領域で行われた会合にも来てなかったっけ。
「一心、王妃の出自については?」
「ミーロト伯爵家出身で、現当主の姉にあたります。それと追加の報告ですが、どうやら二人目の王妃みたいですね。最初の王妃と国王の間には恋愛感情があったようですが、現在の王妃には全く興味と関心がないらしいです。本人曰く、仕事にしか興味がないそうですよ?」
「国王なら、そうあらなければいけないのが当然だろうに。それで?」
「マスターの予想通り、ミーロト伯爵家はパラミウスと繋がっている様で、薬草の入手は可能かと思われます。」
「そっか。ならあり得るかもね。」
今後の計画を簡単に立てつつ、報告書を読みふける。
食事を終えて、執務室代わりの自室へ移動して。
ありとあらゆるところに行っては揺蕩っているウィンから、噂程度の情報を聞いてまとめフォルじいに薬草や薬を片っ端から教えてもらう。
「姫様~。光の子きたよ~。」
じっとしていられなくなったウィンが、お腹に抱き着き知らせてくれる。
「姫様、お忙しいところお邪魔して申し訳ございません。この国の公爵から伝言です。今日の会合と教育はできそうも無いと。」
「でしょうねぇ。ちなみに殿下へ渡した書類はどうなってる?」
「それでしたら、夜遅くに終えた後倒れるように眠っておられました。」
「そ。じゃあ公爵に伝えてくれる?1、君らは何時から光の上級精霊にお使いさせられるほど偉くなったの?2、国の事情なんて知らないよ。精霊妃よりも重要なことはウィール様関係以外存在しないはずだけど……?以上だよ、分かった?」
「………………はい!分かりました。違えることが無いよう、伝えてまいります。」
「よろしく~。」
僅かに頷きながら伝言を繰り返してから顔を上げたので、確認のために引き留めることなく送り出す。
「ニア、出発の準備を。一心、ドレスに着替えるから手伝いを。ウィール様は出発の準備を、王城に行って公爵達を威圧してきてください。ウィン、フォルじいはさっき話していた薬草の採取を少し多めにお願い。ミカ、アーシェ、イアは引き続き情報を集めて。アクス、アイセン、ラトネス、ダーネスは誰でも姿を認識できるように認可許可をしてついてきて。悪いけどこれは命令だよ。」
「了解(しました。/した。/分かったわ。/ですわ!)
緑のドレスを纏ったら胸元に扇を差し込み、2週間程度ならば胃酸に耐えられる素材で作られた袋を飲み込む。
注意点は、すぐに吐き出せる位置に飲み込むこと。
「……………………。」
「神様、なんです?」
「女性らしい恰好をした君は珍しいから見ていたら、何かがはいっているであろう袋を飲み込んでるから驚いて止まっただけだよ。」
「今回は誘拐されることが確定してますからね。一応、今日から警戒して強力な酸と解毒薬を入れた薬瓶を飲み込んでおきました。」
他の武器は持ち込めないのでこれぐらいしか用意が出来ない事に少し不安を覚えるが、今回の敵は馬鹿っぽいので十分だろう。折り畳み式の武器は入れてあるし。
「……君、いつもそれ飲み込んでるの?」
「時々ですよ。今日みたいに誘拐されるときや長期間監禁されそうなときは飲み込んでます。まぁ、あまり長期間になると袋ごと溶けて自滅しちゃうので、そこは考えつつ。」
「そんなことを考えなくてもいい、と言いたいところだけどね。」
子供にする様に頭を叩いた後、「無理はしないように」と言って神様はいったん戻っていった。
「…ちなみに帰る理由ありましたっけ?」
「神威って最高神様の許可がいるんだよ。」
「……面倒ですね。」
「思っていても口にしないの。」
「や。」
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