135 / 205
ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
116.これくらいできるね? ね?
しおりを挟む
「さて。」
ビクッと、傍から見れば同情するほど動揺してこちらを見る貴族達。
もはやさっさと終わらせた方がよさそうなことも感じるし、私が殿下の教育をすることに異論もないようなのでとりあえず指揮権を奪い取る。
「私の策を丸ごと使うのであれば、私が指揮をして構いませんね?」
「それは……。」
「構いませんね?」
「しかし公爵としての威厳が……。」
「精霊妃に対して不敬を働いた奴を野放しにしている時点で威厳なんかありませんが何か。私に対して威厳をもって接したいのであれば私がここに来る前に自分達で考えた策を実行してから言ってください。時間はあったでしょう?」
「我々が考えた策は夜会で使うもので……。」
(そんな言い訳聞きたくもないし聞く時間ももったいないね。)
「まぁ、いつ使おうが処分対象の伯爵家に情報が流れている時点で失格ですが。」
「なっ!」
少しかぶせて言えば、本気で情報漏洩に気付いていなかったようでとても驚かれた。
まじかお前ら。伯爵も伯爵だが公爵も公爵じゃないか?
そんな馬鹿どもだったとはと再び驚くが、主候補から教育対象に変化した殿下へと声をかける。
「ああ殿下、私の指導を願いましたよね。では、とりあえず明日までにこれを。もちろん本来の執務はこなしてください。」
ひとまず殿下に一日ごとの課題とそれを送る用の魔法陣が書かれた紙を放る。
「この量………?夜会までではなく一日ですか?」
軽く書類の山が出来たことに驚いて、顔をひきつらせた。
………これ、私が元の世界でやっていた仕事を書類にして計算したら多分これの倍ぐらいあると思うけど……。そうか…これで引くぐらい多いのか。
頭の片隅に置いておこう。まぁ、一枚たりとも減らさないけど。
「そうですよ?頑張ってください。ああ、言い忘れていましたが主の遺言には『見捨ててはいけない』なんて書かれてませんから、ついてこれないのなら切り捨てます。」
そう脅せば、多少どころではないほどムカついていたらしい一心から追撃が来た。
「ご安心を。私とマスターで計算したところ、睡眠時間を削ることなく終えることが切る量ですから。それに、今日は一番少ない量です。明日からは王城の執務を分担している文官達が多少なりとも成長しますからね。成長しない文官など必要ありませんし、殿下ご自身も成長していただかなくては。」
そう言えば小さな声で「………頑張ります。」といった。
「公爵のお二方?こちら今回のシナリオですから目、通してくださいね。もちろん夜会は女性の戦場ですから、奥方にもお願いいたします。」
「しかし、妻が納得するかどうか。」
「精霊妃の命令に背ける人間って誰?」
「……………………。」
文句言ってる暇あったら頭に叩き込もうねー。君ら策を提供してもらう立場だよ?分かってる?文句言うなら自分で考えて処分せい。
「ヤドゥール殿。」
「はっ。」
「夜会当日の会場を警備する騎士の表、持ってきて。」
「はっ?」
「夜会当日警備を担当する騎士達の一覧表!」
「はっ!!」
僅かな殺気を込めて言えば、すぐさま部屋を飛び出していった。
これくらいの殺気で騎士隊長あろうものが顔が青ざめていたのは、どうかと思うよ?
「レイピスト殿。」
「はっ!」
「これが証拠になります。これに目を通してください。」
「分かりました。明日までには覚えます。」
「この場で覚えるんですよ。今日中ならこれ全てです。」
護衛対象に似た表情を浮かべて、何とか逃げ道を探しているのだろう。
「し、しかし今は殿下の護衛がありますので………。」
「アクス、イア、ウィン、アーシェ、この部屋にいる人間全員の護衛よろしく。」
完全に空気と化していた精霊王達に頼んで、言われずに動いた一心が一つの椅子を引いた。
「どうぞ?」
レイピストが座ると同時に書類の山を目の前に置く一心。
そして私の元へ来ると、その倍ぐらいの書類の山を置いた。
「さて、では皆で頑張りましょうか。貴族でもない精霊妃よりも暗記が遅いなんてことは、尊き公爵家の方や国を支える王族の事です。ありませんよね?」
正直この場は一心に任せて今日治る予定のニアを見に行きたいけれど、私への不満を心の中に抱えられても困る。ここは、私も頑張ってますアピールで過ごすとしよう。
一心が机の上に乗せた普段の半量の書類を、黙々とさばいていった。
少しするとヤドゥールが返って来たので、レイピストとの騎士団長コンビを質問攻めにする。
……………………………
「ねぇ君ら本当に騎士団長としての執務してる?」
そう聞いてしまうほどには口ごもっていることが多かったので、今後は私の教育対象の一人としてぜひとも直して欲しいね!
騎士団長が団員の実家知らないって、親の派閥が政治に直結この世界では致命的だよ?分かっているかい?
ビクッと、傍から見れば同情するほど動揺してこちらを見る貴族達。
もはやさっさと終わらせた方がよさそうなことも感じるし、私が殿下の教育をすることに異論もないようなのでとりあえず指揮権を奪い取る。
「私の策を丸ごと使うのであれば、私が指揮をして構いませんね?」
「それは……。」
「構いませんね?」
「しかし公爵としての威厳が……。」
「精霊妃に対して不敬を働いた奴を野放しにしている時点で威厳なんかありませんが何か。私に対して威厳をもって接したいのであれば私がここに来る前に自分達で考えた策を実行してから言ってください。時間はあったでしょう?」
「我々が考えた策は夜会で使うもので……。」
(そんな言い訳聞きたくもないし聞く時間ももったいないね。)
「まぁ、いつ使おうが処分対象の伯爵家に情報が流れている時点で失格ですが。」
「なっ!」
少しかぶせて言えば、本気で情報漏洩に気付いていなかったようでとても驚かれた。
まじかお前ら。伯爵も伯爵だが公爵も公爵じゃないか?
そんな馬鹿どもだったとはと再び驚くが、主候補から教育対象に変化した殿下へと声をかける。
「ああ殿下、私の指導を願いましたよね。では、とりあえず明日までにこれを。もちろん本来の執務はこなしてください。」
ひとまず殿下に一日ごとの課題とそれを送る用の魔法陣が書かれた紙を放る。
「この量………?夜会までではなく一日ですか?」
軽く書類の山が出来たことに驚いて、顔をひきつらせた。
………これ、私が元の世界でやっていた仕事を書類にして計算したら多分これの倍ぐらいあると思うけど……。そうか…これで引くぐらい多いのか。
頭の片隅に置いておこう。まぁ、一枚たりとも減らさないけど。
「そうですよ?頑張ってください。ああ、言い忘れていましたが主の遺言には『見捨ててはいけない』なんて書かれてませんから、ついてこれないのなら切り捨てます。」
そう脅せば、多少どころではないほどムカついていたらしい一心から追撃が来た。
「ご安心を。私とマスターで計算したところ、睡眠時間を削ることなく終えることが切る量ですから。それに、今日は一番少ない量です。明日からは王城の執務を分担している文官達が多少なりとも成長しますからね。成長しない文官など必要ありませんし、殿下ご自身も成長していただかなくては。」
そう言えば小さな声で「………頑張ります。」といった。
「公爵のお二方?こちら今回のシナリオですから目、通してくださいね。もちろん夜会は女性の戦場ですから、奥方にもお願いいたします。」
「しかし、妻が納得するかどうか。」
「精霊妃の命令に背ける人間って誰?」
「……………………。」
文句言ってる暇あったら頭に叩き込もうねー。君ら策を提供してもらう立場だよ?分かってる?文句言うなら自分で考えて処分せい。
「ヤドゥール殿。」
「はっ。」
「夜会当日の会場を警備する騎士の表、持ってきて。」
「はっ?」
「夜会当日警備を担当する騎士達の一覧表!」
「はっ!!」
僅かな殺気を込めて言えば、すぐさま部屋を飛び出していった。
これくらいの殺気で騎士隊長あろうものが顔が青ざめていたのは、どうかと思うよ?
「レイピスト殿。」
「はっ!」
「これが証拠になります。これに目を通してください。」
「分かりました。明日までには覚えます。」
「この場で覚えるんですよ。今日中ならこれ全てです。」
護衛対象に似た表情を浮かべて、何とか逃げ道を探しているのだろう。
「し、しかし今は殿下の護衛がありますので………。」
「アクス、イア、ウィン、アーシェ、この部屋にいる人間全員の護衛よろしく。」
完全に空気と化していた精霊王達に頼んで、言われずに動いた一心が一つの椅子を引いた。
「どうぞ?」
レイピストが座ると同時に書類の山を目の前に置く一心。
そして私の元へ来ると、その倍ぐらいの書類の山を置いた。
「さて、では皆で頑張りましょうか。貴族でもない精霊妃よりも暗記が遅いなんてことは、尊き公爵家の方や国を支える王族の事です。ありませんよね?」
正直この場は一心に任せて今日治る予定のニアを見に行きたいけれど、私への不満を心の中に抱えられても困る。ここは、私も頑張ってますアピールで過ごすとしよう。
一心が机の上に乗せた普段の半量の書類を、黙々とさばいていった。
少しするとヤドゥールが返って来たので、レイピストとの騎士団長コンビを質問攻めにする。
……………………………
「ねぇ君ら本当に騎士団長としての執務してる?」
そう聞いてしまうほどには口ごもっていることが多かったので、今後は私の教育対象の一人としてぜひとも直して欲しいね!
騎士団長が団員の実家知らないって、親の派閥が政治に直結この世界では致命的だよ?分かっているかい?
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
スコップ1つで異世界征服
葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。
その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。
怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい......
※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。
※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。
※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。
※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる